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☆21☆ 教えてほしいこと

 

 なんとか間に合いました・・・・・・か?

 コメントもいただいちゃったりしてパワーになりました!

 ありがとうございます!!

 

 「大丈夫?」


 声はこちらを伺うように耳から伝わる。

 しっかりとした肩からは温かさが伝わる。

 

 これって!

 これって!!

 どういう状況!?


 目は開けているのに斜め上にあるだろう顔を見ることができずに、あたしはただ必死で開いた本を見つめていた。

 緊張と戸惑いで体は石のように硬くなっていく。

 

 「澤田さん?」


 声と一緒に肩が動くとあたしの体が滑り落ちそうになる。

 少しずつだけど確実に床へ近づいている。


 「わ!」


 体を支えようと咄嗟に床に手をつく。

 手は床、体はねじまがってまさに土下座状態。

 

 「あぶなかったー、床に頭打つところだったよ」


 「ご、ごめんなさい」


 床とお友達。

 あたしの視界はおしゃれなセンターラグの目の目まで見えていた。


 きわめつけは、やっとの事で出た言葉。

 もちろん、突然おしかけたこと。

 眠ってしまったこと。

 階段での出来事のこと、すべてを含めての言葉。

 ダブルミーニングどころかトリプル?それ以上?

 まとめすぎな感じはするけれど、それが今の気持ちだった。


 「何いってるの、痛いのは澤田さんなんだから」


 笑い声が聞こえた。

 あたしが眠っている間に緑川君になにがあったのかはわからないけど。

 もう怒ってはいないことはわかる。

 でも・・・・・・。

 なんだか話が通じてない気がするのはあたしだけ?


 チラッと上目づかいで気づかれないように見るとそこには会いたいと思っていた人がいた。

 「寝ちがえた・・・・・・とか?」

 

 変な気をつかってどんどん真実から離れていく。


 「ち、ちがうの!」


 バッと顔を上げるといつもの緑川君が笑っている。


 「何?どうしたの?」


 「だから、ちがうの!」


 「何のこと?」


 薄暗い部屋に目が慣れてくる。

 オレンジ色のライトだけでも部屋の中は明るく感じた。


 「だから・・・・・・ごめんなさいっていうのは熊田君の事とか、寝ちゃったこととか」


 「ああ、その事か〜」


 パタンと本を閉じて、床に置くと緑川君はつづけた。


 「熊田に告白の手伝いを頼まれた?」


 「え?」


 「澤田さん言ってたでしょ、熊田に相談されてたって」


 そんな事言った??


 「おぼえてないの?いきなり抱きついてきて寝ちゃうんだもんな〜、寝ぼけ!?」


 「そこはおぼえてる!だから思い出させないでよ!恥ずかしい!!」


 変にニヤニヤする緑川君と顔を真っ赤にしているだろうあたし。


 なんでこんなにもこの人は余裕なんだろう・・・・・・。


 それにしても記憶がぼやけていてよく思い出せない。

 思い出そうとすると夢の中の幼い緑川君の顔が浮かぶ。


 「まっ!いやらしぃ〜」


 「変な声出さないでよっ!しかたないでしょ、おぼえてるような、おぼえてないような・・・・・・」


 「ええ!!おぼえてないの!?あんなに好きって言ってくれたのに!」


 「は!?言ってないっ!」


 ふたりで驚きの表情で向き合う。

 一瞬の間があって緑川君が。


 「ちえっ、おぼえてるじゃん」


 面白くなさそうに顔をそらす。


 「変なこと言わないでよ、びっくりした〜」


 そうだ、それは言ってないはず。

 ぼやけてはいるけれど、それだけは言ってないはず。

 

 そんな事、寝ぼけて言うなんて絶対にブッブーッだ。


 「まあ、やっと澤田さんらしくなったね」


 え?

 

 このセリフをどこかで聞いたことがあると思った。

 前にも同じように言われたような。

 ふたりの時に・・・・・・。


 「それ・・・・・・前にも」


 言いかけて気がついた。

 夢だ。

 夢の中で言われたセリフ。


 あれは夢だけど夢じゃない。

 あたしの記憶。


 緑川君はあたしの次の言葉を待っていた。


 「そ、そのあたしらしいってどういうの?」


 ずっと知りたくても聞けなかったことその1。

 何度も夢の中で思ったこと。

 あの時、聞きたかったこと。


 「うーん、澤田さんらしいっていうのはさ・・・・・・あ、やっぱりヒミツー」


 いたずらっぽく笑う緑川君と夢の中の緑川君が重なる。


 「ヒミツって!答えになってない!」


 「いいのいいの。今日はいっぱい、いい事あったし〜いろんな事考えたくないな〜」


 上機嫌で鼻歌まではじめた。


 「いいことって・・・・・・」


 「もちろん!澤田さんと〜」


 顔がデレっとニヤついている。


 なんか、嫌な予感。

 まさか!!


 「何を言うつもり!?」


 「え?だからハグ?」


 「いやぁーーーっ!ダメ!そのことはナシって言ったのに!」


 「嫌だよ」


 上機嫌だった顔がものすごく不満そうな顔になりあたしを睨んでいた。


 「そんな顔で睨んだってダメ!あれは寝不足からくる寝ぼけだって」


 「泣いてたじゃん・・・・・・」


 「あ〜・・・・・・あれは、あくびしたから!」


 床の上を跳ねる魚のようにジタバタしながら苦しい言い訳をしてみた。


 「・・・・・・」


 笑顔が崩れて泣きそうな顔があらわれる。


 本当に表情がよく変わる。

 怒った緑川君とは大違いだ。

 あたしが知ってる緑川君は今、目の前にいる百面相だ。


 ずいぶん変わっちゃって・・・・・・。

 

 あの夢の時と今。

 ずいぶん、緑川君は変わったように見えた。

 あたしの中での緑川君はいつもふざけて笑っていて、うるさくて、邪魔で。

 いつも少しだけ自信なさそうに笑う。

 もう、あの幼い緑川君はいない。


 いつから・・・・・・。


 「緑川君って・・・・・・変わったね」


 「そうかな?」


 「変わったよ。だって前はこんなじゃなかった。なんていうか、もっとふざけてて、バカでうるさくて、それからそれから・・・・・・」


 「ちょーっと待って!」


 手をあたしの前にだしてとめる。

 不服そうな表情でため息をつく。


 「いい所ないように聞こえるけど・・・・・・」


 「うん。なかった」


 「なかったって・・・・・・」


 「でも、最近の緑川君はときどきすごく優しいし、まあ、怖い時もるけど、なんか・・・・・・違う。それに・・・・・・自信満々だし?何にでも余裕があるみたい」


 あたしは自分の言ってることがとても恥ずかしいことに思えて逃げたくなった。


 「ふ〜ん、澤田さんからは余裕あるように見えるんんだ」


 「ちがうの?」


 「どうかな?」


 「ほら!またそうやってどちらでもどうぞ〜みたいに言うでしょ、そういうところが嫌味っぽいよ!」


 あたしはそこ!と膝を叩いて緑川君に指摘する。

 

 「澤田さんはどっちの僕が好き?」


 「え、うぁ?!」


 好きという単語にのけぞる。

 一本いただきとばかりに満足そうな笑顔で緑川君は立ち上がる。


 「今日は貴重な一日だったな〜、まさか澤田さんから熱烈にアピールされるなんて、たまにはこういうのもいいね。むしろいつもこうがいい?な〜んて」


 ゆっくりと部屋の隅へ歩いていき部屋の電気をつけた。

 一瞬、まぶしくて目が閉じてしまう。

 ふと、手に力がはいる。


 「み、緑川君はあたしのどこがす、好きなの?」


 ずっと知りたくて聞けなかったことその2。

 気がつけばいつもそばにいて、特別になっていた男の子はふざけてはいたけれど委員会や部活、勉強なんかも目立つ存在で憧れる人は田巻さんや野村さん以外にもいたはず。

 それにひきかえあたしは。

 どこのクラスにもいそうな普通の女の子だ。

 もともと、3年間も想われる要素なんかない。


 クローゼットから紺色のコートをとりだしながら緑川君は笑った。


 「どこだろうね」


 「聞いてるのはこっちなんだけど」


 「うーん・・・・・・どこって聞かれても難しい」


 コートを着込んでなにかゴソゴソと忙しく動き始める。


 「なにしてるの?」


 「え?帰るでしょ?送る準備」


 「え?」


 「もう6時になるよ」


 そういって時計を見せられて驚く。


 5時52分。

 危険だ!!


 「まずい!」


 「でしょ、ゆっくり話したいけど、また怒られちゃうよ」


 「もーっ!そういう事は早く言ってよ!送りなんかいらないから!あたし自転車だし」


 「えーっ!」


 「いらないいらない!」


 あたしも急いでコートを着込んで立ち上がる。

 ずっと座っていたせいか足が少ししびれたような感じがする。


 「おじゃましました!」


 ものすごい勢いで部屋を出る。

 後ろから同じくらいの勢いで緑川君が追いかけてきた。


 「まって!待ちなって!」


 「いいって、本当にひとりで大丈夫」


 靴を履きながら言葉少なめにいうとドアに手をかける。

 思いついたように家の中のほうへ振り返りお辞儀をする。


 「おじゃましました」


 「そんなのどうでもいいよ、少しくらい送らせてよ」

 

 同じく靴を履きながら追いかけてくる。


 「もー、いらないって!」


 ドアをあけると外は別世界のように空気がつめたかった。


 「さむっ」


 体を一瞬、丸めて自転車の方へ歩く。

 

 「待って!じゃあ、これだけでも」


 そういってチョコレート色のマフラーをあたしの首にまく。

 

 「あ、ありがとう・・・・・・」


 「頑固すぎ、もうちょっとゆるしてよ」


 「もー!いいから寒いし家にはいって」


 自転車を両手で支えて言うと、マフラーの位置を直しながら緑川君は何かを言いたそうに口をもごもごさせている。


 「ほ、本当は澤田さんが好きとか付きあうとかそういうのに戸惑ってるの知ってたんだ・・・・・・だけど、うれしくて・・・・・・さ」


 顔が熱くなるのを感じていた。

 

 「な、なんでそういう事を平気に言えるのよ!」


 「ばっ!平気なはずないだろ!」


 そういって鼻をつままれる。

 緑川君の顔は耳まで赤いのが玄関のライトに照らされて良く見えた。


 「・・・・・・耳、赤い?」


 「だから、平気じゃないって・・・・・・あれ?この会話、前にも・・・・・・」

 

 緑川君は首をかしげる。

 確かに、前にも・・・・・・。


 「ああ、あれか。澤田さんは忘れてるだろうけど、2年の時だ」


 緑川君は恥ずかしそうに笑うと少し離れた。


 おぼえてるよ。

 あたしの貴重な思い出。

 でも、教えてあげない。

 

 「知らないそんなの。じゃあ、また学校でね」


 「だよね」

 

 寂しそうな声が背中越しに聞こえるとなんだかかわいそうになった。

 ペダルに足をかけて思い出したように。

 

 「あ、そうだ」


 「なに?」


 「今日はごめんね・・・・・・あと、会えてよかったなって」


 あたしにしてはがんばった。

 あたし的、最高傑作笑顔を緑川君におくった。

 緑川君の顔がみるみる真っ赤になる。

 

 なんだ、これでいいんだ。

 こんなので貴重な緑川君が見れるのか。


 あたしは軽く手をふって足に力をいれ冷たい空気をきって走りだした。

 マフラーに顔をうずめると微かにツンと柑橘系の匂いがする。


 緑川君のコロンかなにかの匂いだったのか。


 眠りながらずっと鼻から離れなかった香り。

 マフラーを鼻におしあてて冷たい空気を吸いこんだ。


 空には星が出ていた。

 ※下にあとがきと次回予告がひっそりとあります。

    (あとがきパスな方用に見えないようにしています。

















   ■あとがきという名の懺悔■

 

 お久しぶりでございます!本日もご来場ありがとうございました!

 時間もないし頭もないですすまないすすまない・・・・・・。

 かなりの難関でした・・・・・・。

 とくに目覚めたあと!あんな状況になった事がないのでまったく!想像できませんでした;;

 予告していた時間にはやはりUpできませんでしたが。

 こちら側ではこの話の存続すらあやしい取引が・・・・・・。

 文章って本当に難しいですね、駄文も駄文ですがとにかくマラソンも完走が目標ってありますし、私も完結を目指してがんばります!


 さて次回。☆22☆ かわいくなりたい


 とにかく優ちゃんは失恋してるわけだし、そこんとこ触れてないし

 なんで普通なの?みたいな違和感があるので・・・・・・。


**********


 読み返したら削除したくなってしまうくらいギャースです。

 ちょっと手直ししていきます・・・・・・。

 

 

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