☆20☆ 思い出の中に
あ!またタイトルが予告と違う!
ごめんなさい!!うまくつながらなくて話を追加しちゃいました。時間がなくてこんな方法しかおもいつかなかった私をお許しください;;
男の子に興味がまったくなかったあたしの中にある数少ない緑川君関連の記憶。
いつもふざけてばかりでいい思い出は少なくて。
それでも、時々真面目になる緑川君をあたしはちゃんとおぼえている。
あれは中学2年の今頃。
美術は好きだった。
特に絵を描くのは得意だったから。
学校からの風景の写生がその日の授業内容で、あたしは優ちゃんたちとは離れて、自分の好きな景色を探した。
2時間つづけての授業だったけど、とても終わらなくて放課後も絵を描いた。
できあがった絵は納得のいくものになったのを覚えてる。
廊下に絵をはりだす時に先生の評価も一緒に貼り出されていて、あたしの絵の脇には金色の色紙がはられてたから、優ちゃんは大興奮してた。
放課後、ゆっくりとみんなの絵を見てた時。
「絵、うまいね」
進行方向、隣の人影があたしに声をかけてきた。
「・・・・・・え?」
それまで自分ひとりの世界にはいっていたから、突然の声にすぐに反応できない。
「澤田さんの絵。いいね」
あたしの絵を見て、悔しそうにしている男の子の顔は少し子供っぽい。
「ありがとう。えっと、緑川君・・・・・だよね」
あれはひどかった。
よくからかわれていたのに、「変な人」とだけおぼえていて名前がすぐに出なかったもんな。
一瞬、困ったような顔をしたけど、すぐにかわいらしい笑顔が返ってくる。
「うん、やっと名前おぼえた?」
「緑川君の名前くらいおぼえてますっ」
強気にでたけどはっきりいって名前は微妙なところだった。
同じクラスの男の子の名前なんてあたしにはまったく必要がなかったし。
いつも執拗にちょっかいを出してくる男の子なんて「変な人」で十分だったから。
「変な人」緑川君は他にも「委員長」なんて呼び名もあって。
名前をおぼえる必要はどんどん遠くなる。
「どうだか、どうせ何こいつーっとか思ってて変態とかって呼んでるんじゃないの?」
おしい。
変態とまではひどくないけどね。
ココロの中でペロッと舌をだす。
「そんなひどいこと言ってないよ、そっちこそ澤田さん澤田さんって言ってるけど本当はバカ女とかって言ってるんじゃないの?」
あたしは少し前に男の子達が「バカ女がさ〜」と言っているのを聞いて誰の事なのか気になっていた。
別に緑川君がそう言ったわけでもないし。
あたしが言われたわけでもない。
「そんなー!確かに澤田さんは頭は良くないけどそんなにハッキリ言えないよー!」
ヒーッとばかりに頬を両手でおさえてふざけて言う。
こうなると緑川君ペースにまきこまれるのがいつものパターン。
「なっ!バカ女って言ってるのとかわんないじゃないっ!」
「えー・・・・・・被害妄想?」
「どこが!」
目をつりあげて両足をふんばっている姿はとても乙女とはほど遠い。
そんなあたしを見て緑川君は楽しそうに笑う。
遊ばれてる。
くーっ!バカにしてーっ!
「あ〜あ、澤田さんは可愛いのに・・・・・・」
あきらかにふざけているので、少しも褒められた気がしない。
哀れむような目で見られて余計、面白くない。
「そんな・・・・・・人をバカにして・・・・・・」
ふるふると握った拳が震える。
「本当だよー、アヤちゃんかぁわいい〜」
「もーっ!ほっといてよっ!」
かまわないでっ!
どこかいけ!アホ緑川っ!
「絵ぐらい見せてよー、部活と委員会とで時間ないんだよ〜」
「だったら・・・・・・最初からさっさと鑑賞したらいいでしょ!」
実際、多忙な人ではあったと思う。
勉強、部活、委員会。
塾に習いものをしてるとか・・・・・・。
そういえば、何の習いものなのかな。
「美術の斉藤先生は澤田さんの絵が好きなんだって」
「へー・・・・・・そうなんだ」
斉藤先生はかなりおじいちゃん先生だったけど、とても絵がうまい。
そりゃあ、先生なんだからうまいんだろうけど。
「僕も好きだな〜」
「え?」
「絵」
「・・・・・・」
一瞬、沈黙。
真顔でこのやりとりはないだろうと思う。
「あー、つまんないギャグになってたか」
「寒いよ・・・・・・」
あたしが寒いのジェスチャーをする。
「偶然だし・・・・・・そんな目でみなくても」
「くだらないし」
「だから偶然だろー!」
恥ずかしいのか声が大きくなった。
あたしはおかしくて笑う。
そういえば、緑川君の絵ってどれだろう。
絵の下にはってある名前から探す。
あたしの絵より少し右側にその名前をみつける。
銀色の色紙が張られていた。
「銀色だ」
「そ、斉藤先生も見る目ないね」
あたしはその言葉にうなづく。
学校からいつも見ている景色がそこにはあって。
絵の具の色がすこしも濁らずに透明で。
すごく丁寧で、あたしよりうまい。
「すごい上手、川の色がきれい、どうしたらできるの?」
「それは―――ひみつ」
そんな冗談をくりかえしてしばらく廊下で話していた。
「澤田さんは澤田さんらしい絵をかくよね」
最後にそういわれてドキッとした。
あたしらしい。
それまであまり話した事もなくて、ただクラスが一緒なだけの男の子にあたしというイメージがどう思われているのか気にもなって、ムズムズした。
「あたしらしいのかな・・・・・・」
「うん、すごく。この絵と澤田さんは似てる」
絵を見ながら満足そうな笑顔で言われた。
「あ、ありがとう」
その顔がまるで自分の事のように喜んでいるものだから恥ずかしくて、早くどこかに行きたい気持ちともう少し話していたい気持ちでいっぱいになった。
笑顔で言うのは愛想笑いでもなんでもなくて本当にうれしかったから。
「や・・・・・・な、なんていうの?ど、どういたしまして?」
「・・・・・・耳、赤い?」
「いや〜、一本とられた!そんなに素直に喜ばれると調子くるうな〜」
頭を叩きながら緑川君は落ち着きなく照れ笑いをして逃げるように走って消えた。
あんなに、赤くなったり、照れたりした緑川君ってあんまり見たことないよな〜・・・・・・。
という事は、この思い出ってすごく貴重なのかな?
そもそも、あの告白もそうだけど、なんであの人あんなに余裕なの!?
少しくらい慌てたり焦ったりしたらいいのに・・・・・・。
やっぱり野村さんの事があるから慣れてるのかな〜。
って、野村さんとつきあってたのかな?
か、関係ないけどさ。
ちょ、ちょっとは気になる?
あたしらしいって。
緑川君にはどう見えてたのかな・・・・・・。
それに・・・・・・ずっと好きだったってあたしに言ったけど。
好きになってもらえるような記憶ないんだよな〜・・・・・・。
何がそんなによかったのかな。
わかんないよな〜・・・・・・。
あたしはうーんっと考え込む。
あれ?そういえば、何か忘れてる?
何か大事なことがあったような・・・・・・。
どこか遠くのほうで聞こえる音が耳をくすぐる。
サラッ・・・・・・・・サラッ。
規則正しく何かがこすれる音が耳に入ってくる。
紙がすれてる?
本かな?
本のページをめくってる音?
これは夢?現実?
耳に届く音があたしを現実にもどすように浮き上がっていく。
夢をみてたんだ・・・・・・あたし。
あたしはゆっくりと目を開ける。
こっちが現実?
どこ?・・・・・・ここ。
ぼやけた視界の中で最初はどこにいるのか全然わからなかった。
知らない部屋。
きれいに整えられた部屋が見える。
部屋の隅にあるオレンジ色のライトが部屋をうっすらと明るくしている。
あれ・・・・・?
うす暗い?夕方?
いつ寝たんだろう。
あれ・・・・・・何してたんだっけ。
あたしは何かに寄りかかりながら眠っていたみたいだ。
無意識に目でどこかにあるだろう時計を探す。
サラッ。
紙のすれる音がすぐ耳元で聞こえた。
音の方に目だけ向けると厚い本をめくる手が見えた。
手はページをめくるのをやめる。
「起きたの?」
声は寄りかかっていた壁から響くように伝わる。
「ずっと寝てたよ」
頭を預けている心地のよい壁が誰かの肩で。
その誰かがさっきまで夢の中に登場していた緑川君で。
ここは緑川君のお部屋で。
あたしは押しかけてきて寝ちゃったわけで。
「・・・・・・」
なっ! なに?
思考回路が爆発しそうだ。
えっ・・・・・・。
えっ?
ええっ!!!
あたしはその状態のまま固まった。
机の上にあるデジタル時計はパッと5時26分を表示していた。
※下にあとがきと次回予告がひっそりとあります。
(あとがきパスな方用に見えないようにしています。
■あとがきという名の懺悔■
回想はつまったときのなんとかで。
つまったというか、時間がなくて。書き直しを自分に要求したい前話を直す時間もなくて。
あそこからどうつなげていくかあらすじノートとにらめっこした結果。
回想いってみよーということに・・・・・・。
他の方のお話を読む時間もないなんて・・・・・・こういうのなんていうんだったかな。
とりあえず、最近思うのは年齢設定を低くしてしまったために自分モラルが
あ、それだめーっそれもだめーってピーピーうるさい感じです。
さて次回。☆21☆ 教えてほしい
今度こそこのタイトルで。
できるかな〜・・・・・・つながるかな〜・・・・・・不安。
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2日ほどお休みをしてラブ電池を満タンにしてまた更新していきたいと思ってます!
お休みといってますが、更新をお休みという意味で本人は馬車ウマの様に働いてます;;
28日日付変更ギリギリ、もしくは29日に更新予定になります♪




