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☆9☆ 世界中でふたり

苦戦中でおそくなりました。

なんとか毎日更新間に合いました。

 「遅かったね」


 声をかけられて、あたしは精一杯やわらく微笑んでみた。 

 下駄箱に寄りかかり手まねきしている緑川君にゆっくりと近づく。

 

 上手に笑顔ができているだろうか?

 気持ちを読みとられてはいないだろうか?

 不安になる。


 「松田さん達なら帰ったよ」


 松田は優ちゃんの苗字だ。


 「優ちゃん・・・・・・何か言ってた?」

 

 「これ渡してくれって」

 

 そう言って、紙を手渡される。

 ゆっくりと開くと、きれいな字で1行。

 

 『大丈夫だった? 話は明日にでも聞くよ。今日は先に帰るね、緑川君が待つって言うから邪魔はしないよ〜By優』


 「松田さん心配してたけど、何かあったの?」


 心配そうに覗きこむ緑川君をみて、きゅっと胸が締めつけられる。


 まただ・・・・・・。

 

 「何も」


 自分でも驚くくらいにぶっきらぼう。

 明らかにあやしんでいる。

 

 「ふーん」

 

 「そっちこそ、委員会かなにか?」

 

 「まあ、それもあるけど」

 

 言いながら床においたカバンを持ちあげて肩にかける。


 「待ってた」


 体温が上昇するのを感じる。

 きっと顔が赤い。

 そう思った瞬間、顔をそむけた。


 待ってた。

 

 胸の中で何度も繰り返される。

 特別な言葉でもなんでもない。

 

 何か変。

 どうしたんだろう・・・・・・。

 

 「帰ろう、先生に見つかったら怒られるよ」

 

 緑川君は外へ向かって歩き出す。


 「あ、うん」


 靴を履き、先に歩いている背中を追う。

 生徒の姿はどこにもない。

 部活の時間すら過ぎていた。


 一歩、うしろを歩きながら。

 背中と近づく校門を交互に見ていた。


 あたしは左へ。

 この人は右へ。

 通学路・・・・・・もうちょっと一緒でもいいのに・・・・・・。


 え・・・・・・。

 どうしちゃったの? あたしっ!

 この乙女発言はなによっ!

 なしなしっ! 今のなしっ!


 小さくため息をもらす。


 「今日、全然聞いてなかったでしょ」


 「えっ? なにを?」


 ―――焦る。

 

 チラッと振り向いてジタバタしているあたしをみてクスッと笑う。

 緑川君の歩調がゆっくりになる。

 1歩の差がなくなる。

 緑川君の横顔は影がかかってかっこよさが10割り増し。


 いつも、こうならモテるだろうに・・・・・・。


 「聞いてる? 5限目の時だよ。松田さんと私語多かったよね、せっかく僕が話してるのにさ」

 

 ひどいよ〜と意地悪そうにわざとらしくよろめく。


 「いつもの事でしょ」


 「そうなんだよ! そうなんだよな〜、澤田さんはいっつも見てないんだよな〜」


 「いっつもって! それは言いすぎっ」


 「じゃあ、見てた? 今日、澤田さんにだけサインを送ったでしょ」


 は?

 サインって・・・・・・。


 「ま・・・・・・まさかとは思うけど」


 うんうん? と犬のように嬉しそうに聞いている。

 

 「目が合ったやつ・・・・・・?」


 「せいかーーーいっ、えらーい、よくできましたっ!」


 問題の緑川スマイル。

 あれは偶然が生み出したものじゃなかったのか。


 「ほら、変な話になってたし、澤田さんが悲しむと悪いから『大丈夫だ!! 俺にはお前だけだ!』ってサインだしてみたんだよーっ」

 

 「・・・・・・あほ?」


 とんでもない男だ。

 前言撤回。

 どうしてこんなのがいいの?

 野村さんも田巻さんも趣味悪っ。


 告白を受けてしまったあたしも含めて。

 趣味が悪すぎ。

 

 「アホはないよ〜・・・・・・」


 「情けない声をださないでっ」


 校門を一歩でて立ち止まる。


 「ほらっ、しっかりしてっ、気をつけてね」


 あたしは軽く手をふって、いつもの通学路を歩き出す。


 「澤田さんっ!」


 振り返ると小走りで隣へ立つ。


 「ど、どうしたの?」


 「どうしたのじゃないでしょ、待ってたって言わなかった?」


 「え?」


 意味がよくわからない。


 「一緒に帰るため、っていうか送るため?」


 「道、逆だけど・・・・・・」


 「あほ?」


 さっきのお返しだと言いたげに鼻で笑う。


 「・・・・・・」


 「いいよね」


 真剣な顔で聞いてくる、そして悲しそうに笑う。

 

 まるで試してるみたいだ。

 

 「わかった・・・・・・」


 いつもは友達と歩く道。

 今は緑川君と歩く。

 聞きたいことはたくさんあった。

 でも、どれも全部聞いてはいけないような気がしてきけなかった。

 

 日が落ちるのが早い。

 まだ5時を過ぎたところなのに、すでに暗くなっている。

 

 「どうして何も言わないの?」


 やさしい声が問いかける。

 顔はもうほとんど見えない。


 「え?」


 「何かあったんでしょ?」


 「な、何の事?」


 やっぱりあやしんでたか。

 ゆっくりと歩きながら、そのままのはやさで数拍待つ。


 「待ってたとき、田巻さんは無視するし、野村さんは睨むし」


 あんな時間から待ってたんだ・・・・・・。

 たて続けにワケありな人物が下校してたら馬鹿でも気がつくか。

 

 「そっか・・・・・・なーんだっ、本当はわかってるんでしょ。あたし、田巻さんと話してたの」


 「田巻さんと?」


 「そうっ!全然、話はできなかったけどね・・・・・・」


 顔をあげられない。


 ずるいあたし。

 最低なあたし。

 曖昧ではっきりしないで周りを傷つけている。

 いっそ、言ってしまおうか。

 あたしのずるい考えも気持ちも。


 「田巻さんね・・・・・・緑川君の事――」

 

 「だからなに?」


 背中がゾクッとするような冷たい声だった。

 いつものおどけた感じはまったくない。

 言葉を失った。

 視点がうまくあわない感じだ。

 

 そうだ、この感じ。

 ふざけている時も、何も聞けないのはこの感じ。

 これだったんだ。

 拒まれていたんだ・・・・・・。


 言ってはいけない事なんだ。

 聞いちゃいけない事なんだ。


 「・・・・・・ごめん、言い方悪かった」


 温かい手があたしの右手をつかんだ。

 

 「ごめん・・・・・・こわかった?」


 心配そうにいつもの緑川君が顔をのぞきこんでくる。


 ――――キュッ。


 胸が苦しい。


 「震えてる・・・・・・」


 「え・・・・・・?」


 震えている?

 怖かった?

 ちがうよ・・・・・・。


 「さ、寒いからだよ・・・・・・ほら、息が白い」


 とっさに嘘をついた。

 

 「ごめん・・・・・・」

 

 緑川君は今にも泣きそうな声をだし、ぎゅっとつないだ手に力をいれてきた。

 手をはなす気はないらしい。

 あたしも拒む理由がない。


 「手、つなぐの2回目だね」


 緑川君に謝ってほしくなくて明るく言ってみたけれど、気まずい空気はきえない。


 ――――大丈夫だよ。

 と、ぎゅっとつなぐ手に力をいれた。

 

 暗いせいだろうか。

 恥ずかしいと感じない。

 むしろ、このままこうしていたい気分になる。


 「ずっと、こうしていられたらいいのにな」


 あたしが思わず言ってしまったのかとドキッとした。


 何かが動いているような。

 何かが変わっていくような。

 

 好きって何?


 浮き上がる疑問に答えは出せない。


 今はつないだ手が温かくて。

 胸は苦しくない。


 震えていたのは・・・・・・。

 拒まれていると知ったから。

 

 緑川君にも言えない事があるんだ。

 あたしにも言えない事がある。


 ごめんね、田巻さん。

 ごめんね、野村さん。

 もう少しだけ時間をちょうだい。

 なんでだろう。

 今は失いたくない。

 好きとかそういうのじゃないかもしれない。

 もしかしたら、好きなのかもしれない。

 よくわからない。


 でも、今。

 同じ気持ちでいる人が隣にいるのがうれしい。

 

 ごめんね、緑川君。


 空にうっすらと星が輝きはじめていた。

 

 

 

※下にあとがきと次回予告がひっそりとあります。

    (あとがきパスな方用に見えないようにしています。



















 ■あとがきという名の懺悔■


 本日もご来場ありがとうございます(i-i)

 どうしよう・・・おもしろくない・・・。

 ただ今、葛藤の中でもがき苦しんでおります><


 さて次回っ♪ ☆10☆ 伝わる想い(仮

 内容はほとんど決まっているのであとは打ち込むだけですが。

 苦戦の予感。明日もできたら更新いきますっ><

 できなかったら・・・・・・連続更新が;;


********

 修正が必要ですっ><

 も〜〜〜〜やだ〜〜〜〜っと苦しんでます。

 まだ次にはすすめない感じですっ;;ごめんなさっ;;

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