プロローグ?初めての××
2007年10月3日。
読み返したら変だったので加筆しました。
※まえがき、あとがきがお好きでない方はスルーでお願いいたします。
「澤田さんが好きなんだ」
明日に控えた文化祭の準備におわれている教室の雑音は大きく。
言葉はうまく届かない。
「へ?」
自分の作品をおもわず落としそうになるのを間一髪のところでとどまる。
「あの〜・・・・・・ここ教室なんだけど」
生まれて15年。
告白なんてされたこともなければ。
恋しちゃったっ的な瞬間さえまだなのに。
こんなオープンに。
ありえない話でしょう。
「本気だよ本気」
冗談まじりの彼の顔は怒るのをあきらめさせる力がある。
「そういう冗談はやめてくれる? 緑川君」
必死に平静を装うので精一杯。
なんでもないよーなんてそんなワケない。
初の告白が教室のど真ん中。
しかも、彼を好きな田巻さんの視線が痛い。
なんで今なの?
なんでここなの?
なんでなんで―――――――――っ。
仲の良いトモダチはニヤニヤしてるし。
頭が・・・・・・イタイ。
「俺のこと嫌い?」
うがっ!
ひっ卑怯な・・・・・・。
机にひじをついて上目づかい。
特別かっこいいわけではないけれど。
おもしろくて頭が良くておまけに学級委員長。
中学3年間、同じクラスのミラクル。
そりゃぁ、嫌いじゃないけど。
まさか告白されるなんて・・・・・・。
教室の中で。
しかも大勢の注目の中。
ギャラリー多すぎでしょっ!
少女マンガじゃないつーのっ!!
「そっ、そんな事ばっかり言って」
「そうそう、さーちゃん困ってるよ」
彼の後ろの席からすべてを見ていた彼女は笑って言っているが。
あたしに向ける視線は冷たい。
うおーっ田巻さん怒ってるよ。
ちょこっとぽっちゃり系。
ピアノが上手で家庭科も優良。
おまけに成績優秀でもう一人の学級委員様。
しかも、この二人はできてるって噂まであるときた。
これはやばいんじゃない?
なんとかして逃げなきゃ。
「浮気はいけないよ、田巻さんって人がいるじゃん。ね〜?」
潔白の意味をこめて田巻さんへ会話をなげてみる。
「なにそれっ変なこと言わないでよっ」
逆効果だっ!
と、思ったら顔を赤くして黙ってしまった。
「ねえ」
そんな事はおかまいなしの緑川君のいつもより低い声。
「ねえ、返事は?」
こいつ・・・・・・。
「そういう冗談にはつきあってられませ〜ん、忙しい忙しい」
あたしは作品をもって教室をでた。
後ろから緑川君の声が聞こえたような気がしたけど。
振り返ることなんかできなかった。
廊下にでると。
秋の風がほどよく冷たい。
顔が熱い。
心臓が痛い。
あれは何?
何だった?
今すぐ消えてしまいたい。
緑川君があたしを好き?
だって緑川君は田巻さんとつきあってるんでしょ!?
でも、これって・・・・・・あたしにも春がきたってこと?
あたしが夢みてたドリーミングライフが現実に!!
いやいや、ムリムリっ!
夢と現実はちがうもん。
輪郭もないような気持ちだったのに・・・・・・。
突然カタチつくれなんて言われてもムリっ!!
緑川のあほ――――――っ!!!