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ネームレスワールド ~ 星空の降る夜に~   作者: 茄子 富士
第三章 【NAMELESS WORLD】 旅立ちの前に
21/49

冒険者登録!やるぜ薬草採取!!



 さて、レリアママからの忠告も聞いたし旅立つ準備は出来たぜ!

……と言いたい所だけど急がば回れって奴だな。

実家から徒歩五分でブルグント市に着くという

この恵まれ過ぎた現状を活かさない手は無いよな?

ってな訳で旅に出る前に一ヶ月ほどブルグント市の冒険者ギルドで活動して旅費を貯めて

ついでに冒険者としての予行演習をする事にした。


「ってな訳でルー姉ェッ!ブルグント市に行って冒険者登録して来ようぜ!」


と後ろで完全武装したルー姉に呼びかけたってわけだ。

我ながら今日というこの時はテンションが高い!

冒険者デビューだもんYO!


「待ちなさいよソリッド!冒険者ギルドに行って登録するだけなのに

この完全武装をして行く意味ってあるの!?」


と、ルー姉は俺を呼び止め何やら不満顔で仰る訳だが


「あるに決まってんだろ!重装備での訓練を兼ねるんだよ訓練を!

装備してるだけでいい感じで鍛えられるんだぜ!?

やらない手は無いだろう!……まぁ疲れるし恥ずかしいってのは判るけどさ。

そこは……我慢だ!!」


と俺が口を酸っぱくして力説すると

顔を真っ赤にしながらシブシブと云った按配で


「ウゥ~……判ったわよ……もう!」


と全然納得はしていないが仕方が無いと割り切ったようです。ハイ

まぁあのエロ鎧だしなぁ……判らんでもないけどね。

鎧の下に着てるものも変身?を考慮して背面の露出が凄いんで

とにかくエロいんだよなぁ……。

でも足元まで靡く外套(マント)を羽織ってるから傍目には誤魔化せてる……はずだ。多分。


ちなみにそのマントは俺も羽織ってるわけだが……。

これってさ旅用の物で毛布代わりになったり

雨露よけの雨合羽(レインコート)の役割を果たしたり

後は迷彩柄でこそ無いけれど砂色のマントなので自然の中で

そこそこの迷彩色として期待をしてるんだよね。

とは言っても迷彩に関しては大した期待出来ないかも知れないかな……?


「それにルー姉、登録するだけじゃなくて一応仕事も請ける予定だぜ?」


当然だ、登録してハイ終わり……な訳が無いだろ?

やるぜ!?

ファンタジーお約束の薬草採取系依頼って奴をよ!

一応ある程度以上の街には治療士が最低でも一人は居るからね。


前世で言うなら街のお医者さんって人達だ。

治療士にしても薬草調合の専門家で消耗品故に

薬草採取依頼ってのは常に依頼されている。

以前試した通り薬草関係は自家栽培だと薬効が落ちるからね。


ちなみに……治療士が怪我や病気の回復を行うのには魔法も使ってる訳だけど

この回復する魔法を【神聖魔法】と呼び神に授けられた魔法

……奇跡って事で大抵の治療士は神官も兼ねているんだよね。

ただ、実際の所【神聖魔法】ってのは人が勝手につけた呼称で奇跡って訳では無く

真言を使った魔法の一種……というのが本当の所なんだ。

でも治癒の真言を教えたってのが神々らしいから嘘って訳でも無いのかなぁ?


だけどこれは秘密だ、まぁ言い触らしても誰も信用しないだろうし

神殿から暗殺者を呼ばれちゃうかもしれないしな!

魔法だけじゃ怪我人、病人の手当てが間に合わないってんで

副業として調合した薬なんかも扱ってるみたいだ。

ゲームの時も治療士に【調合】技能(スキル)を教えてくれるNPCが神殿に居たからなぁ。


それに対して【錬金術士】と呼ばれる人達は

表向き鉛を黄金に変えるというのを建前にしてるんだが

実際の所は……この世の真理を追究する者達なんだ。


前世でいう所の科学者……にもしかしたら近いのかも?

理からこの世界に隠された真実を追求する為の行為が

様々な恩恵を齎した(もたらした)ってとこかな?

薬草調合理論を作り出したのも【錬金術士】達らしいからね。

え~っと、確か……【深奥の秘儀】だったかな?

それに至る為の一つの手段があの【ホムンクルス】だ。


【ホムンクルス】を作る本来の目的としては……

確か……理と人の手によって神を作り出しそこから新たな世界の構築理論を求める

と言ったものだった気がする。

まぁゲームでの話しだけど。

実際のこの世界じゃ錬金術士ってのにお目にかかった事無いんだよね……いるんだろうか?

と俺がそんな事を考えてると


「ウソ!?どんな仕事を請けるつもりなの?」


ルー姉が驚いた様子で受ける仕事内容を聞いてきたんだ。


「薬草採取とかの採取系かな?

この重装備でやれば良い訓練になるだろ?旅のさ。

ついでに旅費も貰えちゃうという一石二鳥作戦だ!」


なので自信満々で答えたんだけどさ……。

ルー姉、キョトンとした感じで


「訓練って……私はこの鎧を着ててもそんなに普段と変わらないよ?

それに採取系のお仕事ってあんまりお金に成らないって聞いたけれど?」


グハッ!?お……お姉さまの体力だと……た……確かに大した訓練にならないかも?

採取系依頼の報酬額なんて仰る通りに微々たる物なのも確かだ……。


「く……訓練はもっぱら俺の為だと思ってください……ハイ。

後は装備の慣らし……っていうか採取してる間に違和感を感じる場所が無いかを

旅に出る前に調べて、もしあったら調整しないといけないからね」


と、正直に本来の目的を述べた俺に


「だったら、最初からそう言えば良いのに。

でもまぁ、そういう事なら判ったわ。

初の依頼、お互いに頑張りましょう!」


と気を取り直したのか?

耳をピコピコさせ張り切りだしたんだ。



◆◆◆◆◆◆



 砦を出てから凡そ五分で【ブルグント市東街門】に着いた。

ぶっちゃけ他の門に比べるとこちらの門での人の出入りは極端に少なかったりする。

門から出て続くのが領主の砦と魔物も出る【オークウッド大森林】だもんなぁ。

この門を使うのは領府関連の人達か大森林へ探索しに行く冒険者達

そして大森林内部へ交易しにいく大隊商(キャラバン)位だしな。


大隊商は多くの冒険者達を護衛に数々の交易商人達が森の住人達に

各々の特産物(主に農産物が多い)を売り込み

帰りにオークウッドなどの木材を仕入れて帰ってくるんだよね。

そういう訳で大隊商とかち合わなかったら此処で待たされる事も少ないぞ。



 そうこうしてる間に東街門に近づき門を守る番兵さんが居るので


「「お勤めご苦労様です」」


俺とルー姉が挨拶すると少々慌てた様子で


「これは……領主様の所の坊ちゃんとお嬢様ですか!?市内に御用でしょうか?

もし御用でしたら決まりなので通行証を拝見しなくてはならないのですが……」


と申し訳無さそうに俺達にお伺いして来たんだ。

役職柄当然の要求だよな。

なので俺とルー姉はレリアママから貰った通行証を番兵さんに見せたんだ。


「ハ!確かに拝見させて頂きました!ご協力ありがとうございました!通行して良し!」


すると一言一言ハキハキ喋りビシッ!っとした擬音が聞こえそうな仕草で

門の通行を許可してくれたんだよね。

……領主の子息だから簡単だったけれど普通だったらもうちょっと取り調べなり

賄賂をせびられたりとかあったのかなぁ?

ん~、その辺の疑問は旅に出て俺達の知名度が無い場所に行けば判るか?


「「ありがとう」」


俺とルー姉は番兵さんにお礼を言ってブルグント市内に入った。



 東門側の市内通路沿い……もとい東側の区画(エリア)はどうやら住宅街の様だ。

領主府で働く人達の住居が多そうだ。

つまり……一応高級住宅街になるのかなぁ?

見た感じ建物は石と煉瓦と木材を使ったしっかりとした造りだわ。

辺りは静かで人通りが少ない。


ちなみにブルグント市内は街全体をグルッと城壁に囲まれてる。

こういった造りの街がこの世界の基本かな。

で……街の出入りには通行証が必要で税金とかも取られたりする。


街門に続く大通りには石畳が敷かれ馬車なども通行してるな。

なので荷車を引く騎獣のフンなんかが落ちてる事もあるんだけど

それを拾って清掃する仕事なんかも街の予算が降りて存在するようだ。

まぁ微々たる額らしいけどね、子供達が集団でする仕事なんだってさ。

で、集まったフンは一応肥やしとして売り出されるらしい。


「この東側の区画(エリア)は街並みは綺麗だけれど

活気が無いわね……」


と周りを見渡しながら呟くルー姉に


「こういうのは活気が無いって言うんじゃなくて

閑静な住宅街って言うんだぜ?」


と俺が言うと


「ッ同じ様な意味じゃない!」


とムッ!とした様に眼と耳を吊り上げて

断言されました……ハイ。


俺達の目的地は冒険者ギルドなので

この東側区画(エリア)を抜けて西側区画(エリア)に行く必要がある。

なのでチャッチャとこの場所を抜ける事にした。



 街門から続く大通りが交差する中央広場には目印となる?

噴水広場があって、それを中央に円を描くように市場が開かれていて

辺りは活気に包まれている。


「私はやっぱり街の中じゃ此処が活気があって一番好きだなぁ」


とルー姉が周囲を見渡し、特に果物系を売り出す生鮮露店を注目し

耳をピコピコピコと動かし瞳を輝かせながら仰った……。

判りやすい……これ以上無いくらいに判りやすい……。

俺は露店からリンゴに似た果物を二個買って一個をルー姉に放ったんだ。


「……ルー姉、ホレッ!」


片手でそれを掴んだ(キャッチした)ルー姉は

もう、ホントにご機嫌でシャクシャク音を立てながらリンゴを咀嚼してた。


「……ングング……アヒアホ(ありがと)~♪」


ちなみにこのリンゴに似た奴……形は歪だが当然?無農薬なので

軽く布で拭くだけでそのまんま食えるんだ。

味は……濃いなぁ。…………ングング。

それにしても、無農薬とかって農作業メチャメチャ大変そうだな。

……売り物に虫食い状態の物も普通にあるからなぁ。

ま……それはともかくとして俺とルー姉はリンゴを食べながらその広場を抜けたんだ。



 で、冒険者ギルドがある街の西側区画(エリア)だけど

ここは中央広場を除いた各区画の中で最も活気のある区画になるかもしれない。

冒険者ギルド以外にも鍛冶工房ギルド商業ギルド……他にも色んな職人ギルドが並び

冒険者向けに武器防具、それに雑貨店や服飾店なんかも並んでるからね~。


ちなみに此処で売っている武器の大半が鋳造の物で鍛造の物は少ないな。

まぁお値段がエライ違いだもんなぁ。

防具も全身甲冑(プレートメイル)なんて置いてない……。

オーダーメイドであれもまた凄いお値段だからな……。


普通の冒険者の防具は皮素材の物や金属を使った防具だと

小さな金属の環を綴ったリングメイルや

金属の小片を綴りあわせたラメラーアーマー

ブリガンダインやスケイルメイルといった所かなぁ?

ゲームの時はゴツイのとか派手な物、珍妙な物もあったんだけどな。



ちなみに北側区画は主に神殿関係の物が建ち並び南側区画には住宅街が続いてる。

ま、今回は冒険者ギルドにしか用が無いはずなのでそっちの方は関係ないかな?

そんな事を考えてると冒険者ギルド前に着いたんだ。



◆◆◆◆◆◆



 ここの冒険者ギルドは一階が酒場の造りで飲んでる者や密談をしてる者

或いは吟遊詩人の歌を聞いてる者達が居て

入り口横にある掲示板の様な物に依頼の張り紙が色々張り出されてるな。

奥のカウンターには酒場の親父(マスター)が居て酒の注文を受け取ったりしてるわ。



俺とルー姉は冒険者登録に来たのであって飲みに来た訳じゃ無いから

酒場の隅っこにある階段を登り、受付などがある二階に向うことにした。

ちなみに依頼を受ける時は一階で張り紙を剥がして二階の受付で受けるんだ。


で、階段を登ると更に上に行く階段と

廊下があって依頼を受け付ける為の部屋の扉と

依頼者がギルドに依頼を申請しに来る受付の部屋の扉

新規冒険者登録を受け付ける為の扉の三つがあるので

俺達は一番右にある扉、新規冒険者登録をする為に部屋に入った。


冒険者登録を受ける者は多いのか少ないのかは良く判らんけれど

二人、登録申請してる人がいる。

受付は三つあったので空いてた一つで俺とルー姉の申請をすることにした。

受付の人は女の人で清潔感があり上品な物越しのある人だった。

俺とルー姉がその受付の席に座ると


「当冒険者ギルドへお越し下さり(まこと)にありがとうございます。

本日のお客様のご用件は冒険者登録申請で宜しいでしょうか?」


と品の良い営業微笑(スマイル)と模範的で教本(マニュアル)の様な

台詞でお出迎えをしてくれました。ハイ


「ええ、俺とこちらに居る姉とで冒険者登録をお願いします」


と、受付のお姉さんに俺とルー姉の二人で登録の申請を出したんだ。



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