エクセレント!!
あれは俺の同級生の【アリステア アルメニア王女】じゃねぇか!?
あの姫様ってあれだ、家のイルパパのファンらしい。
何でも俺が生まれる前にあの姫様の姉ちゃんが冒険者時代のイルパパのPTに救われたらしいぞ。
で、始めはその姉ちゃん、確か名前は【シルフィース アルメニア】……だったかな?
まぁその第一王女がイルパパの大ファンになった影響を受けてアリステア……略してアリアも
イルパパのファンになったらしい。
この学校に入学して、クラス分けした後、直ぐにアリア本人が
俺に絡んで来てそう言ってたんだから間違いないはずだ。
ついでに毎日イルパパの情報を寄越せば私の家来だか下僕にしてやるとか何とか言ってたけど
そっちは丁重にお断りしておいたけどな!
ちなみにその時はアリステア王女殿下と呼んだんだけど、学園じゃアリアと呼びなさいよッ!
と漢前に宣言されたのでそれ以来アリアと呼ぶようになったんだ。
……でも、なんだかんだでイルパパ情報はいつも持ってかれてるんだけどね。
この学園に来て以来の腐れ縁と化しつつある姫様だよ。
そういえばルー姉をライバル視してたっけ?それにしてもあの真紅の騎士甲冑は派手だよなぁ。
聞いた話じゃアリアのジョストの腕はいいんだっけか?授業じゃ男女別だったから今ひとつ判らん。
二人とも競技場を一回りした後にお互い礼をとった後、審判の号令で試合開始なんだけど
やっぱ美少女同士の対戦ってだけあって歓声が凄いな。
「ここに居ましたか、ソリッドさん。あなたならどちらが勝つと予想しますか?」
と空いていた俺の隣の席に腰を掛けながら妖艶と表すしかないボンッ!キュッ、ボンッ!な
美人さんが声を掛けてきた。
「そりゃあ、ルー姉でしょ?去年の実績から言ってもさ。
ってゆうか、先生、こんな所に来てて仕事は良いんですか?」
と、俺は過剰な色気を振りまくクラスの担任に向け素直に答えてみた。
…………この人が視界に入ると自然とおぱ~いに目がいくなぁ。この胸は、いい揺れだ……。うん。
「ええ、この馬上槍試合中は生徒主導で運営されますからね、教員は暇なんですよ。
それはそうと、クラスメートの応援じゃ無いのですか?
アリステアさんの腕なら学年女子の随一と聞いていたのですが。
…………それにしても、あなたは私と居るといつも私の顔を見ずに胸しか見ませんね……」
呆れ混じりの苦笑を漏らしつつクラスの担任【ラウラ ハネット】先生が
組まれた足の膝に肘をつく頬杖をつき俺にジト目で呟いた。
「当然です。思春期真っ盛りで異性に興味深々の健康な男子ッスよ?
寧ろ見ない振りのほうがこの素敵おぱ~いに対する侮辱です!」
俺は全力で先生のおぱ~いに敬意を表し最大限の賛辞を述べた!
……あ、あれ?ラウラ先生、眉間を押さえてこめかみを揉み解してるよ?
あ、先生、胸元のポケットから煙管を取り出した。
「ッ!?先生!そこは胸の谷間からキセルを取り出す場面じゃッ!?」
お約束を外した先生に俺は物申した!!……あぁ、ここは譲れないさ!譲っちゃイケネェ!!
すると、ラウラ先生はキセルに【着火】で火をつけ
キセルをふかし見事な丸い輪っかの煙を三つほど俺に吹き付けて
「?……何を訳の判らない事を言ってるんですか、あなたは」
と心の底から不思議そうな顔で仰った!
キセルの煙をもろに吸い込んでしまった俺はむせながら
「ブァッ!?……ゴホッ、ゴホッ、ちょ……ま……先生、それは立派な煙害です!?」
と抗議したぜ!?まったく!
「フンッ、それはあなたが私に堂々とセクハラをするからでしょう?
それでは女性の受けが良くないでしょう、せめて顔を紅くして
恥じらいを持ちながらチラ見するくらいにしておきなさいな」
ラウラ先生のセリフを聞いて俺は悟ったね、間違いない…………。
俺はラウラ先生に、そう探偵が犯人へ宣告を下すかの様に
「なるほど、……ラウラ先生って純情で照れ屋な美少年が好きだったんですね」
ビシッ!と決め付けてみました。……すると
「ッ!ブホッ、ゴホッ…………ゴホッ、ナ、ナな……何を言ってるんですか
あ……あなたは!?まったく!そ……そんな、ね……根も葉もないことを!
本当にまったく、いけない子ですねッ!!」
……うん、うん、ラウラ先生がキセルでむせてドモッたのを見て
俺は……そう、それは仏の様に慈悲深く、天使の様に優しい微笑みを浮かべながら
「判ってます、判ってますよ先生……この事は内密にしておきますよ」
周りには聞こえないように小声で言うとラウラ先生が
「……そ、その目はそこはかとなく腹の立つ目付きですね? まぁ、いいでしょう。
……イヤイヤ全ッ然、良くありませんが……冗談はここまでにしておきましょう。
話を戻しますがあなたはルーシュナさんが勝利する……と見てるんですね?」
話を戻して来たので俺も合わせる事にした。
「えぇ、俺がアリアのジョストの力量を知らないと言うのもありますが
ルー姉……いや、ルーシュナ姉さんの力量を知る者として彼女が負けるところを想像出来ませんね」
と、正直に答えた。
実際、ルー姉の身体的スペックはあの可憐な姿からは想像つかないほどに高い。
今じゃ長期休暇などで実家に帰った時にする、あの幼い頃からしてた早朝午前の剣術訓練で
従騎士さん達と互角に戦える程に強いんだぜ?
学生レベルで負けること自体ありえない気がするよ。
まぁ剣術と馬上槍試合じゃ全く物が違うのは確かだけど……それでも、だ。
「フム、……それなら私と一つ賭けをしてみませんか?」
俺の返事を聞いてラウラ先生はキセルを吹かしながら少しの間だけ考え込み
その後、ニヤリと笑い俺に賭けを持ちかけてきた。
「賭け…………ですか、一体なにを賭けるんです?」
突然の提案に俺は困惑し訊いてみたところ
「いえ、あなたがルーシュナさんが勝つと仰るなら私はアリステアさんの勝利に賭けましょう
アリステアさんが勝てば私の勝ちであなたにはみっちりと補習を受けてもらいます。
あなたのあまりに残念なその性格を矯正してあげましょう」
……残念な性格ってなんだろう??まぁいいか。それはそうと
「その場合ルーシュナ姉さんが勝って俺が勝つとどうなるんですか?」
賭ける前にこれを聞かないと賭けにならないもんな。
「あなたが勝てば……そうですね、私が君にマッサージでもしてあげましょう」
それを聞いて俺様即答。
「その賭け、乗った!!」
勝てば美人教師のマッサージ……エロい想像が止まりません!
まぁ思春期真っ盛りだもんな、何か前世の時より性欲が強い気がする今日この頃だけど
気にすんな、俺。
エロは世界を救う!エロは……いいものだっ!って昔の偉い人が言ってたろ? (※1)
まぁ負けたら補習……こっちもエロい想像がちらつくけど多分こっちはダウトだな。
なんか鬼教官のブートキャンプの落ちが待ってる気がするぜ。
ぶっちゃけルー姉が負けるとは思えないしマッサージで確定だろ!
「でも、何でまたこんな賭けを?って言いますか、なにかアリアが勝つ要素ってあるんでしょうか?」
と、俺は疑問に思ったことをそのまま口に出してたよ。
それを聞くとラウラ先生が
「いえ、アリステアさんは私の受け持つ生徒ですし
応援して上げたくなるのも悪くはないでしょう?それにこういった競技では賭けを行った方が
より選手に応援を送りたくなりますし娯楽になりますからね。
後はあなたの普段の素行の悪さで女子生徒達や他の教師達から
苦情が殺到してますので賭けの材料には中々良いでしょう?」
と仰るが、それだけで賭けを持ちかけるだろうか?なんか隠してる気がするよ。
アリアが勝てる要素……これは俺が本当にアリアのジョストの力量を知らないだけで
先生が自信を持てるほど強いとか?……今ひとつ想像つかないなあ。
う~ん、逆で考えてみるか……ルー姉が負けるかもしれない理由はあるだろうか?
…………借り物の装備?いや道具で勝敗を左右されるようなレベルじゃ無いしな
……アッ!馬……か!?ルー姉も俺と同じく馬も学園から借りている。
もし負けがあるならこれか!?
「ラウラ先生ッアリアが乗っている馬は彼女所有の馬ですか!?」
席を思わず立ち上がりラウラ先生に問いかけると
「フゥ、流石に気付きましたね……誉めて上げましょう。いかにもその通りです。
アリステアさんの馬は彼女が以前から所有し自らも世話をしている馬なのです。
実際アリステアさんのジョストの力の大半はあの馬との意思連携にあるのですよ」
とラウラ先生はキセルをふかしながら何でも無い様な事といった感じで答える。
それを聞いて俺は思わず額を押さえ、力無く席に着きながら
「成る程、それが先生の自信ですか……やられたなぁ……」
「いえいえ、そう悲観する事はありませんよ、実際ルーシュナさんの実力は
アリステアさんを含め他を圧倒してますからね。これで賭けとしては丁度良いバランスでしょう?」
とラウラ先生は俺に軽い笑みを向ける。……クソッ悔しいけど笑顔に見とれちまった。
こっちとしては勝率百パーセントと思ってたからなぁ。
それが六十から五十パーセントまで勝率が落ちたかも。
賭けの条件、マッサージじゃなくておぱ~い揉ませろ!に変えて欲しい位だぜ。
「えぇ、悔しいけどおぱ~い揉ませろ……じゃなくて賭けとしては丁度良さそうですね」
「ハァ、……そろそろ試合が始まりますね」
図らずも口を滑らせてしまった俺を汚物を見るような白い目で見た
ラウラ先生が試合の方に注意を促した。
◆◆◆◆◆◆
さて、ジョストに置いては本来槍で対戦し相手の落馬を促すものと
斧や鉄槌でぶん殴るものと
剣で相手を突くものとの三回戦を行うのだが
この競技大会では最初のランスで相手の落馬を促すものだけが行われるんだ。
多分、参加選手が多いのでチャッチャと進行を早めたかったんじゃないかと俺は睨んでいる。
一応建前としては選手生徒の安全性の為らしいけどね。
鋼を磨かれ銀色に輝く騎士甲冑を着込み借り物の馬に跨るルー姉と
オーダメイドの真紅に輝く騎士甲冑に自前の愛馬に跨るアリアが競技場で対峙している。
ちなみに騎士甲冑をお金で買う、オーダメイドすると最低でも小金貨百枚は下らない。
この世界のお金は銭貨十枚で銅貨一枚、銅貨百枚で銀貨一枚、銀貨百枚で小金貨一枚になる。
銭貨一枚が大体日本円で一円位と思っていいので小金貨一枚で十万円
つまり小金貨百枚で一千万円と思ってくれていいぞ。
恐らく、アリアの甲冑なら小金貨二百枚は下らないんじゃないかなぁ……。
……お、始まるぜ。
競技場の二人は兜のまびさしを下ろし互いに槍を構えると
審判が開始の旗を振り下ろす!
ズドドッ ズドドッ ズドドッ!!!
…………馬の駆ける際の規則正しいリズムを刻む蹄の音が刻まれ
二人は同時に槍を構え馬を駆り互いに馬から叩き落さんと人馬一体となって疾走する!
最大戦速で槍と人馬が交差し
ッカッ!!!
っと槍と槍が互いに弾き合った際に生じた音を発した後、瞬く間に互いに距離が離れていく。
そして互いの開始位置に達した後、反転し再度両者が対峙し直した。
「……今ので決まりませんでしたね?」
と俺が隣のラウラ先生に競技場から目を離さずに声を掛けた。
「……ええ、今のでアリステアさんは決めたかったのでしょうね」
ラウラ先生の声にはほんの少しだけ苦味が混ざっていた。
「……間合いが合う直前にアリアの馬が一瞬だけ減速してフェイントになってましたが
多分あれがアリアの決め手だったんでしょうね。
あれはアリアの指示だったんですか?」
「いえ、あれは恐らく馬が独自に下した判断でしょうね……。
あのタイミングで指示を下しても普通は間に合いませんよ。……はじまりますよ!」
再度、馬が駆ける際の特有のリズムを刻み音を立てて疾駆する両者。
銀の輝きと真紅の輝きが交差した瞬間、銀の輝きの手にした槍が真紅の輝きを地上に叩き落したんだ。
「WhoOOWOOOoOOWOOOOooohoooWoOOooo!!!」
勝者を称える歓声が響き渡りルー姉とアリアの試合が終了した。
◆◆◆◆◆◆
「……賭けは俺の勝ちでいいんですか?」
と俺はラウラ先生に聞いてみる。
「ええ、あなたの勝ちですね。……良いでしょう、私に付いて来なさいな」
と俺に言い、先生が席を立ち競技場を後に歩き去るのを見て俺もそれに続いたんだ。
先生の後ろに付きながら歩いている間中、俺はずっとウッキウッキしてたぜ♪
ウハハ……先生のマッサージ……きっとあれだ、指圧してる時に胸がくっついたり
尻がくっついたり……女体の柔らかさをきっと偶然に味わえるに違いあるまい!?
もしかしたら、もしかしたらアレだ!
そのまんまの勢いで俺も大人の階段を一気に登りつめる展開になっちゃったりしてな!ウハハハ!
朝チュンとか十八禁でゴメンナサイ!の展開が来ちゃうか!?
もう俺様超御機嫌!
◆◆◆◆◆◆
そんな天に昇るようなテンションで着きましたのが学園医務室のベッドの上だぜ!!
キッタァアアアアァアアアアアアアアアアアァア!!♪
来た!?ついに来ましたよ!?おピンク展開かキタコレ!??
もうウッキウキ~のドッキドキ~だったんだ。この時の俺は……。
「さぁ……ソリッドさん、ベッドの上でうつ伏せになって寝なさいな」
と先生が囁くので音速でうつ伏せになってスタンバイオーケー!!
テンションマックスの俺の背中に跨る先生!!
「優しく……してあげますからね?」
と俺の耳元で囁く先生は俺の背中にその素敵おぱ~いをムニュ~~ッっと
密着させ…………!!!
「ッギ……ぎゃァアアアアアアアアアァアアアアアアアアアアアアァアアアアアアアアァ!!??」
俺にあの伝説の!?キャメルクラッチをして来たんだ!!
えッ!?エッ??まさかマッサージってこういう柔軟染みたアノッ!??
その後に続く関節系必殺技の数々に俺の絶叫が響き渡ったんだ……。
(※1)言ってません。