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短編

本番終わりのフレンチトースト

作者: 花みかん
掲載日:2026/02/08

 友達が話し出した。「終わっちゃったね」と。私も同じ気持ちだった。もう明日からは、あの練習がないのだ。なぜなら昨日、本番が終わったから。

 カフェ店内には、ゆったりとしたジャズが流れていて、紅茶のいい匂いが広がっている。私たちはカウンター席に座って、今までの事を思い返す。

 ダンスサークルの発表会の準備は大変だった。芳しくない出席率で進まない練習。動きが揃わず、若干ピリつく空気。私たちはサークルの幹部だ。このサークルをまとめあげ、お客さんの前でダンスを披露しなくてはならなかった。二人で、そんな思い出をぽつぽつと話していた。体は重く、二人ともぐったりした状態だった。

 するとそこへ、フレンチトーストが運ばれてきた。今まで、頭の中はダンスのことばかりだった。でも、それも昨日で終わり。フレンチトーストは暖かくて、メープルシロップが甘くて、疲れた心と体を優しく癒してくれた。

 思い返すと、本番は漫画で見る青春の一ページみたいだった。最終的にダンスは完成し、拍手も貰えた。部員の表情も明るく、皆キラキラしていた。

 二人は静かに食べ進めていく。上にのった生クリームはゆっくり解けていき、少しずつフレンチトーストは減っていく。なんだか、今更寂しくなってくる。

 すると、友達が笑顔で私に向き合う。「大変だったけど、楽しかったね」友達はもうフレンチトーストを食べ終えていた。本当にそうだ。すっごく大変だった。でも、それを忘れてしまうほど、本番は楽しく、終わった今では満足感に溢れている。私も笑顔で頷く。「また明日からも、練習頑張ろうね」友達は元気よく頷き返してくれた。春の発表会が終わったら、すぐに秋の発表会の練習が始まる。また苦労するだろうなと思いながらも、半年後にまたここでフレンチトーストを食べられたらいいなと思った。

 私たちはフレンチトーストを食べ終え、お腹いっぱいだねと話しながら、店を後にした。また明日から、頑張ろう。


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