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【9】まとめ買いだって100均の醍醐味


――――コーデリアとブレイクの久々の家族との邂逅に、お土産の100均マグをローサとマリッサに差し入れれば、2人ともとても喜んでくれた。


こうしてブレイクのゲートを閉じ、俺たちは商業ギルドが運営している乗り合い馬車で研修先の鉄鋼都市ミケホを目指すことにした。何故か猛烈にホットケーキミックスが欲しくなるこの懐かしい音階はなんだろうか。


何はともあれ馬車の荷台部分では同じ商業ギルドに所属する商人や買い物や旅の途中のひとたちの姿も見える。


そんな中で……。


「くまちゃん……あぁくまちゃん……」

ブレイクの落胆ぶりがやべええぇ。


普段は和気あいあいとした荷馬車の上だが、ブレイクの席の周りにだけどんよりとした空気が見える気がするんだが……。


「しかし……100均スキルでくまちゃんを出してやろうにも材料費がなぁ」

魔法生成なのでぶっちゃけかかるのは材料費のみ。しかしながら100ゴルゴル(税別)=20×20センチはぎれクロス(メイドインドンサ村)ではさすがにくまちゃんはできないかも。


「ならばリード、多数の材料を合わせればいい。くまちゃんなら私に任せておけ。くまちゃんを作るのは久々だが、旅の途中はなかなかくまちゃんを作る時間もなくてな。だから私も楽しみだ」

「コーデリア!」

コーデリアのクラフトスキルがあれば、くまちゃんも作れるやもしれんっ!


それに100均ってーのはまとめ買いも有意義である!そしてさまざまな材料を集めくまちゃんを作ることだって……!


「よーし、そうなれば早速100均生成だ!MP回復は頼むぞ、コーデリア」

「うむ、任せろ」

「因みに布は同じようなのがいいよな」

「うーん、色合いが同じなら全く同じじゃなくてもいい。パッチワークくまちゃんなんてのもかわいいのだ」

「そっか、それもありだな!」

前世でもあったかも。同じ色合いのはぎれを集めて作ったおしゃれくまちゃん。

布の色や柄はランダムでお任せ生成にしよう。そうすればドンサ村で手に入る布や糸で俺の前世の記憶の深層にあるものをピックアップしてくれるようなのだ。


俺には前世の知識無双だなんて難しい。覚えているのは100均の素晴らしさともやっとした100均の品揃えだからなぁ。

記憶の深層から取り寄せてくれるのはありがたい。


「それじゃぁ行くぞ!」

「あぁ!さぁ行け!MP回復ぴょんぴょこりん!!」

やっぱりMP回復はそのぴょんぴょこりんな呪文なんかいっ!!


こうして俺たちははぎれを生成していった。

コーデリアはマジックポーチから裁縫セットを出してくれて、糸の在庫もあるようだ。

つか、ちゃんと異世界便利アイテムもってんのなー。さすがは異世界チートジョブである。

ついでにコーデリア曰くブレイクはマジックボックススキルを持っていて、その一郭に旅の途中で隠し集めたくまちゃんルームを設えてあるらしい。うん、ブレイクが相変わらずブレイクで俺安心した。


しかしこれからはブレイクがくまちゃんを隠れ集めずにすむようにしてやりたいものだ。


「他にもいろいろ揃えられればいいんだが。便利なパーツがあれば楽になるだろうし、それから綿もいるな」

うーむ……綿は結構難題である。何せドンサ村の布原材料は綿向きではない。ここは異世界。単純に綿花から布が作られるわけではない。地球でも綿花製とか蚕糸製とかあったろう。因みにドンサ村の布は……糸花製だ!!だから綿にはならないんだよなぁ。コーデリアも綿は商人が来た時に買ったり、はたまたローサと街に買いに行ったりしていたからな。


「お前噂のリードだろ?」

その時話し掛けてきたのはルフツワの商業ギルドの紋章をつけた男性だ。もちろん俺もつけているので、互いに同じ商業ギルドだと分かる。ギルド紋章はギルドに支部によって違うが、外郭は同じなので商業ギルド所属だと予想はつく。因みに内側は各地のご当地絵。ルフツワだと街の名物ワッフルである。

――――しかし、噂?


「マリアンギルド長から聞いてるよ。便利なスキル持ってるんだろ?実はここいらの森ではこれがとれる」

そう言って彼が取り出してきたのはまるまるとした身のついた植物のようだが……そのまるまるとした実の中には……ボタンが入っていた。


「え……ボタン?」

「これがボタン草か!初めて見た!」

コーデリアが目を輝かせている。えぇ……マジなのぉっ!?この世界のボタンって植物枠なのかよ……!!

しかもその中身もカラフルで大小様々だ。


「ボタン草は栄養源によって柄や色、大小が異なるんだ。だから各地でご当地ボタンがとれるわけさ」

まさかのボタン、採取枠!!


「だからお前のスキルがあれば100ゴルゴル分のボタンが手に入る」

「確かに」

さらに人件費やら加工費がかからないので通常の100ゴルゴルあたりのボタンよりも採取量が増えるはずだ。


「そこでこれだ」

彼が見せてきたのは布袋。その中身は……。


『綿っ!』

ついついコーデリアとハモってしまった。

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