【86】マキナ生誕祭
――――ウィンターマーケットは地球で言うクリスマスイヴまでだ。
なので当日は各家庭でごちそうやお酒を飲みながら家族でまったりしたり友人とささやかなパーティーをする。
俺たちはここ、メアタワの綿花牧場にやって来ていた。
「それじゃぁマキナ、兄ちゃん、誕生日おめでと~~」
『おめでと~~!』
アンナさんや夫のイヴァンさんや牧場のひとびと、綿花たち。
いつもの俺たちで誕生日パーティーを開いていた。
「ありがとう……!でもあなた、誕生日私と一緒なの?」
マキナが隣の兄ちゃんを見やる。
「そうだけど」
「運命なのか何なのか……」
「むしろ真理?」
「やめてよね」
2人が2人にしか分からない会話をしているように感じるのだが、気を取り直してプレゼントの披露だ。
「私からは……編みぐるみで作ったマキナちゃんドールをあげるね。新しい編みぐるみのアイディアをリードくんからもらって、コーデリアちゃんに編み図を手伝ってもらったの」
「うむ。そして私はお着替えセットも作ってきた」
アンナさんとコーデリアの2人がお手製のプレゼントを手渡せばマキナがぶわっと涙ぐむ。
「聖女に選んで良かった……ひぐっ。これが聖女を選ぶ醍醐味よね」
そうだったのか。初めて知った。聖女のみんな、女神に誕プレはあげような。
「俺たちからはクッキーな。ウェイドとブレイクも手伝ってくれて、ふわわも型抜きを手伝ってくれたんだ」
「ふーわー!」
ふわわもぴょんっと跳び跳ねてアピール。
兄弟たちやパパママ綿花になでなでしてもらっている。
「俺は前に見付けた巨大ゼミの脱け殻も言いと思ったんだけどね」
と、ブレイク。
「勇者ってそう言う生き物よね。知ってた」
クッキーを頬張りながらマキナが微妙な目を向ける。勇者が女神に誕プレを渡す時は要相談だな。
「……ロイドは違ったと思うけど」
でもこっそりマキナに囁く。
「そうねえ……ジェーンと一緒に夜空にカンパイしてくれたかも」
そういや……そんなこともあったかも。聖夜だけは人類は一斉休戦だったから。
「でもそれもとっても嬉しいプレゼントだわ。そうやってみなが……聖夜のその先も、年を跨いでも、ずっと平穏に過ごせるのなら。女神として誇りに思う」
「うん、そうだな」
やっとここまで来られたんだ。
それと……兄ちゃんにはふわわたちの綿で作った半纏をプレゼントした。
「リードきゅんの匂いがする」
「いや、綿花の幸せ綿の匂いだって」
「リードきゅん、しゅきっ」
「おい、もう抱きつくな~~」
でも誕生日くらいは……許してあげてもいいかな?
ふわわは兄弟やぱぱままたちともふもふ嬉しそうにおねんねしているようだ。
みんなでごちそうやケーキを囲んで、大人はホットワイン、俺たちはホワイトチョコレートドリンクで楽しんだ。




