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【84】魔王都



――――ヤーティルート魔王国、魔王都。旅団は魔王都の商業ギルドの宿泊施設に逗留していた。その……晩飯の時間である。


『トルティーヤ、うっまあぁぁっ』

感想はやっぱりこれだろう!しかもスペイン風もメキシコ風もある!どっちも……うまっ!


「リードきゅんトルティーヤ好きだったの?ジェラッ」

魔王四天王のくせに魔王国の商業ギルドのトップなのでごく当たり前にいる兄ちゃん。トルティーヤ相手にジェラるなよ。


「そんなに気に入ってくれて嬉しいぞ」

「トルティーヤは魔王国の家庭料理兼屋台料理でもあるのよ」

そして当たり前のようにいる魔王ダークドラグーンと魔王四天王紅一点のアダマンタイナ姐さん。

魔王国のトップがいることで商業ギルドの皆さんが恐縮している。


「ガーバルフの民、寛容すぎ」

温かく見守りすぎな国民性。普通はこうである。


「気にしなくていーよー。宰相の許可もらって視察に来ただけだって」

ランベルトさんに促されて魔王国の商業ギルドのトップらしく呼びかける兄ちゃん。『視察』と言う名の息抜きで遊びに来ただけだろうが、『視察』と言って大丈夫なのか?


「ユリアンさまが言うなら」

「まあ一番ダメダメなのはユリアンさまだからな」

「むしろユリアンさまの監視だよ、また魔王四天王サボってんの?」

むしろディスられてますが!?そこら辺容赦ないのも商業ギルドである。


「いやいや違うって。ユリアンはリードの言うことなら何でも聞くから。むしろリードこそが黒幕だ」

ルークさんは何つー嘘八百ばらまいてんの!?


「それも心理だな」

勘弁してくれ、聖女さま。


「なかなか楽しい旅団ではないか」

「お陰さまでな、ダークドラグーン」

しかし久々にダークドラグーンたちに会えたのも嬉しいかも。


「ウェイドも……GIさんも紹介するよ」

ダークドラグーンとアダマンタイナ姐さんにもウェイドを紹介する。


『くまちゃんも動きますよ。私の子機のひとつ』

「おおっ、すごいな。お人形さん遊びもできるではないか!」

さすがはダークドラグーン。すぐにブレイクとハイタッチし、ふわわも交えてかわいらしい遊びを始めた。


「オーナメントやベーグルのことも聞いたわ。今年のウィンターマーケットが楽しみね」

それを温かい目で見守りながらアダマンタイナ姐さんが微笑む。

「ええ。ちょっと高価なガラス製品から100均もありますんで、楽しみにしていてください」

もしかしたら2人がここに来れたのは商業ギルドの新たな取り組みを評価して……ってことなのかもしれない。


しかしここに魔王四天王が2人も……あれ?3人目はジャンさんだけど……。


「そういや兄ちゃん」

「なぁに?リードきゅんもぐもぐ」

俺の耳元でメキシコ風トルティーヤを食うなや。俺も食べるけどシャリシャリが。サラダのシャリシャリが。


「アダマンタイナ姐さん、兄ちゃん、ジャンさんと来て……最後の魔王四天王って誰?」

「え?それは……」

兄ちゃんがふと振り返れば、にこにこ笑顔のユルヤナさんとルークさんがホットワインを飲んでいた。しかしルークさんが焦った様子で手でペケマークを作っている。


「名誉職だから」

「名誉職?」

「ん。どしてもな時にしか来ないよ。ほら、父さんも名誉騎士してるし必要な時に来るじゃん」

「そう言う感じなんだ」

魔王国にも同じような職があったのか。


「兄ちゃんは斧でジャンさんは素手かな。アダマンタイナ姐さんは杖と魔法だろ?最後のひとりは?」

「槍!」

「へえ、カッコいいなあ」

「おにーたんの斧は?」

「リード、剣は!?聖剣が何故か熱を持ってる!」

ブレイクが急いで飛び込んでくる。


「みんなカッコいいよ!」

どこに嫉妬してんだあの聖剣は!ブレイクの元でイイコにしてるかと思いきや。


「確か4人目の魔王四天王だったっけ。名前なら聞いたことがある。カイウス・ナハトって言う伝説の槍使いだ」

「ふーむ、聞いたことないや」

もしかしたらどこかで会ったかもと思ったが、そんなわけもないか。


「え?でもソイツなら……」

兄ちゃんが再び振り返ろうとしたところで後ろからルークさんがガシッと兄ちゃんの角を押さえ付ける。


「それ以上は禁忌だ!イイコにしないとユルヤナさんとのSMコース組むぞ!」

「それは嫌あぁぁぁっ!!」

いやいや、罰ゲームがユルヤナさんって……ふとユルヤナさんを見れば、バーガーにスペイン風トルティーヤを挟んで幸せそうに頬張っていた。次は……トルティーヤバーガーが来るかもしれない。




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