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【60】魔女の解除薬



――――リリアナ・サザンウィッチの登場に勝機は見えたと言っていい。

しかしながら……。


「え……子ども!?」

空気の読めないアレンがいらんことを言う。ちっちゃくてかわいいの方が幾分か本人の怒りようはましだぞ。


「誰が子どもよ!私は立派な大人の魔族!これでも何百年も生きてるんだから!」

「え……?じゃぁ合法ロリ!?ロリババア!?」

いや……おいおいおい。確かに地球にはその手のジャンルはあるが……本人に言うのは確実にNGであろう。


「だ……誰がババアよこのクソガキいいぃっ!!魔法釜で煮て出汁とってやろうかオラァッ!!」

「こら、リリアナ!」

手足をバタバタする母ちゃんの腰を抱き上げながら父さんが制止していた。


「それに今は彼女たちを……」

「そ……そうだわ。とにかく魅了を解くわよ!」


「何!?そんなことできるわけが……っ!ぼくの目を見ろ!」

アレンの目が怪しく光る。しかし母ちゃんは何事もなかったかのようにアレンをキッと睨む。


「そんなもの、私に効くわけないじゃない!魅了スキルで女を意のままに洗脳……?女をナメんのも大概にしなさいよ!」

「……なっ」

アレンが怯んだ隙に母ちゃんがひょいっと父さんの腕から飛び降りる。父さんももう問題ないと判断したのだろう。


「あなたが聖女コーデリアね。ローサによく似てるからすぐに分かったわ」

「……母さんに」

コーデリアは驚きつつも、こくんと頷く。


「あなたのスキルはヒーリングフィールドだそうね。ジェイドから聞いたわ。早速スキルを展開してちょうだい」

「……その、魅了の解除には効かないのでは」

「問題ないわ。私の解除薬を合わせれば効果覿面よ」

母ちゃんが解除薬の入った瓶を掲げる。

「分かりました」

コーデリアがヒーリングフィールドを張ろうとすれば、アレンが焦ったようにこちらに迫る。


「や、やめろ!」

アレンが意識のない少女たちを差し向ける。


「意識もねえのに動くんなら関節外せぇっ!」

ひいぃっ!?ユルヤナさんんんっ!?しかしその言葉に冒険者や用心棒たちが答え彼女たちを無力化する。


「くそ……そんな……っ!やめろおおぉっ!」

「させない!」

遂に自らこちらに迫ってきたアレンをブレイクが制する。


「くそ……っ、ぼくだって勇者なのにっ」

「勇者なら何故女の子たちを無理矢理洗脳し誘拐したんだ!そんなの……勇者のすることじゃない」

「顔も……権力も名声も……何もかも持って生まれたお前に分かるもんかぁっ!!」

コイツはブレイクを何だと思ってるんだ……?顔は……まぁイケメンだが権力と言ったってブレイクは平民だ。勇者としての名声はあっても、民に慕われても、それはブレイクが勇者として正しいことをしてきたからだ。お前なんかとは比べられたくない。


「死ね!ブレイク!お前が死ねばこの世界の勇者はぼくだけ……みんな……みんなみんな全部、聖女もぼくのものだぁっ!」

まだコーデリアのことを諦めていなかったのか!?お前のことを、ちゃんと見ていたアンナさんを捨てて、コーデリアを激怒させたのに。どこまで自分勝手なんだ!


アレンが剣を抜きブレイクに迫り、ブレイクも剣を構える。

しかし……。


【リード、ブレイクの後ろだ】

GIさん!?

その瞬間視界がまるで機械質に歪む。その瞬間俺の身体は動いていた。


「ブレイク!」

ブレイクの背中に抱き付けば、ブレイクの目の前のアレンが掻き消える。

「リード」

その瞬間父さんが俺を呼ぶ声が響く。


皆の目にも映った頃か。


「リード!」

ブレイクの悲鳴が響く。背中に何か硬いものが突き刺さる感覚がした。


ヤバい……俺、何で身を乗り出しちまったんだろ。いや、決まってるだろ……?だって俺はブレイクのモブ幼馴染み。それがモブ幼馴染みの唯一の見せ場で、役目だろ?



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