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【59】ダンジョン都市での攻防戦



彼らがいると見られる場所はダンジョン都市の中心から離れている。それも古びたと言うか壊れかけの建物のようだった。


「どうしてこんな場所にマキナを……」

「彼らは冒険者ギルドもマークしているはず……召喚勇者のスキルを考えれば他の冒険者や女性たちのいるキャンプ地や宿泊施設は嫌煙するでしょう」

新たな被害者を出すわけにはいかないから。


「しかし冒険者ギルドが監視している場所とは少し座標がずれていますね」

ユルヤナさん、それいつの間に!?

それとも上のひとたちの間では共有されていたのか。


「そのマキナさんを捕らえるために移動したのでしょうね」

「それは……」


「彼らも同様に私たちを待ち構えていたと言うわけです」

建物の前には拐われたと見られる少女たちがおり、武器を構えている。その後ろにはアレンと縄で縛られるマキナがいた。


「マキナ!?」

「リード!?あんたたちどうして……」


「またちょこまかとぼくたちの邪魔をしに来たのか。だがお前たちに彼女たちが倒せるか?」

アレンがほくそ笑む。最初からそのつもりだったのだ。彼女たちは……人質だ。その彼女たちに戦わせる気かよ!


「モニカ!私のことが分からないのか!」

その時ミレイユさんが叫ぶ。以前も見た短く尖った耳のエルフの少女だ。


「あ……アレンの敵、倒す……の」

モニカさんはミレイユさんをまるで覚えていないかのように告げるが、ふるふると身震いをする。だが記憶の深層ではミレイユさんを覚えているのだろうか。いや、覚えていないはずがない。彼女は強い洗脳を受けていても辛うじて身体は抵抗を覚えているのだ。


「懲りずにモニカに付きまといやがって!この年増エルフ!」

あ……?それは……ミレイユさんのことか!?ミレイユさんは熟女みあふれる人妻エルフだぞコラァッ!


「さぁモニカ!あの年増エルフはぼくたちの仲を引き裂く悪いエルフだ!倒せ!」

ちょ……親子で戦わせる気か!?それなら……ミレイユさんは抵抗できないだろ!


モニカさんの槍がミレイユさんを襲う。ミレイユさんは急いで防ぐがバランスを崩す。


「ミレイユさん!」

ブレイクとルークさんが助けに入ろうとするが、そこに他の少女たちが襲い掛かる。ブレイクはいいやつだから、操られてやらされている彼女たちをむげに傷付けることなんてできないだろ!


「ミレイユ!」

その時ユルヤナさんがミレイユさんとモニカさんの間に入り、素早くモニカさんの腕を叩き落とした。

そしてガツンと鈍い音が響く。ユルヤナさんの腕に握られているのは……槍だ。


モニカさんが腕を砕かれた悲鳴をあげる前に腹に拳を叩き込み気絶させる。


「怨まれても何でも、自分で治せない傷は負わせません」

「……お前がそう言うやつだってことくらい……分かってる」

ミレイユさんが悔しげに顔を逸らす。


「こっちもそれで行く!」

見ればルークさんが少女たちを気絶させている。


「加勢に来たぞ!」

「彼女たちを傷付けるな!気絶させるんだ!」

あれは……男性の冒険者たちや用心棒だ。


そしてその中には……。


「ブレイク。攻撃をしないことだけが優しさじゃないぞ」

「ジェイドさん……」

どうして父さんが……。


「彼女たちを救うために剣を向けなければならない時は避けられない。なら……彼女たちを助けるための剣を振れ」

父さんや加勢に来てくれた彼らの協力で少女たちは無力化された。


「さて、どうしてくれようか」

父さんがアレンを厳しい目で見る。

見ればその隙にマキナも冒険者たちにより救出されてこちらに避難してくるところだった。


「まだ……まだだ!ぼくのために戦うんだ!」

その瞬間、少女たちは焦点の合わない目で立ち上がり、まるで感情のない人形のように武器を構える。


そうまでして彼女たちを盾にする気かよ!


「想像以上に下衆なようだな」

父さんが吐き捨てるのと同時にアレンはこちらが何も手を出せなくなったことを確かめ嗤う。


「だが……」

父さん?その父さんの言葉の意味は俺たちの隣に並んだ小柄な魔女の姿で明らかになる。そっか……連れてきてくれたんだな。


「ならその魅了を解くまでよ!」

「母ちゃん!?」

黒髪に金色の角、桜色の瞳。かなりの美女ではあるものの、身長は146センチ。ちっちゃくてかわいいと言うと確実に本人に怒られるので注意である。



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