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【58】マキナの窮地



――――さて、今日は国境越えである。

朝陽が昇る前にキャリテの魔女さんたちに見送られながら、キャリテの街を出、検問を受けてルーロンダンジョン都市へ向かう。


検問所に辿り着いた頃には朝陽が昇ったばかりだと言うのにひとが多い。


「ここは冒険者ギルドが管理しているダンジョン都市だから、基本的にどんな種族でも国籍でも入ることができる。冒険者ギルドから手配されていない限りな。それもあって、ダンジョン運営以上に交易の場としても賑わっているんだ」

そうミレイユさんが教えてくれる。さすがは現役冒険者、詳しいな。しかし……どんな国籍でも、か。ガーバルフも魔王国も、問題を起こして国境を越えようとしたアレンを入国させることはない。だとしたらグドトッホ公国に戻るかこう言ったダンジョン都市に身を置くしかないわけだ。サンツ・ワロクと言う可能性もなくはないが、俺もあの国はどういう国か知らないしなぁ。ミレイユさんに聞いてみる手もあるが……今は娘さんのことで頭がいっぱいだろう。もしかしたら……ここで鉢合わせになるかもしれない。


「検問自体はすぐに済むよ。これはただの順番待ちな」

ルークさんがそう告げる。

一応商業ギルドの商団は事前に申請を通しているので、出入国側に何かない限りは止められることも少ないそうだ。


そして順番待ちの間は軽食。サンドイッチと水を食べつつ、ふと門の上のエンブレムを見る。……ぐるぐるキャンディー……ぐるぐるかりんとう……?ぐるぐる……。


「ようこそルーロンダンジョン都市へ!」

順番にステータス画面を表示し検問を抜けていく。ダンジョン都市の検問官たちも笑顔で歓迎してくれた。しかし……このぐるぐる……チョコパン?


「リード、ルーロンダンジョン都市の名物はシナモンロールなんだ。勇者の旅の最中はなかなかありつけなかったが楽しみだな!」

「シナモン色ご当地くまちゃんいるかな」

と、コーデリアとブレイク。

シナモンロール……?うーん……まさか……あのぐるぐるはシナモンロールか!


衝撃の事実に気が付いてしまった……っ!


ルーロンダンジョン都市のキャンプ地にて、事前に予約していた区画で早速テントを張って準備である。さすがはダンジョン都市と言うか、キャンプ地に逗留する冒険者や旅人も多く朝からびっちりである。宿泊施設もあるが……冒険者たちは怪我や病気でもなければ野外が多く、こちらの方が情報収集や物々交換などにも便利らしい。


俺もルークさんやブレイクたちとテントを建てていく。


その時だった。


「もう区画がないんですか?」

「ここは商業ギルドが予約しているので……」

キャンプ地を運営する冒険者ギルド職員と女性冒険者たちのようだ。


「少しくらいなら平気よ。ちょっと手狭になるけど」

応じていたのはミーナさんだ。


「あ、ありがとうございます!」

「ご協力感謝します!」

女性冒険者たちも冒険者ギルド職員も感謝の意を表している。


「いいのいいの!女子同士私たちの班の近くにいらっしゃい」

「は、はい!」

ミーナさんに案内されて彼女たちもテントを張り始める。


「ま、お互い様だからな」

ルークさんが苦笑する。

こうやって協力し合える風潮も何だかいいよなぁ。


テントの設営を終え、午後は各自行動となった時だった。


【リード、急用だ】

GIさん?


【めが……】

目が?GIさんのスキャンアイに何かあったのか?


【いや、マキナが捕まったようだ】

マキナ……!?いや、それならどうしてGIさんが……。


【定期的にあっちのGIハッキングしているもので】

いや、何してるのGIさん。てかマキナにもGIがついているのか?


【あちらは頭脳……全てのGIのブレーンがある】

マキナって何者なんだろう……?あちらにGIさんの大元がいるわけか。


【今日は珍しくバリアを突破させたと思いきや……】

GIさんは本当に毎日何やってんの。


【ブレーンの主が捕まったようだ。かろうじてGPSが送られてきた】

ナイス!早速ブレイクやルークさんたちに協力してもらって助けに行かなきゃ!


【待て、マキナを拐ったやつの名を聞け】

拐う……その言葉に聞き覚えがある。まさか……。


【あの召喚勇者アレン】

まさかマキナまで魅了で洗脳されたのか!?


【違う。マキナにそれは効かない。だからこそ、囚われた】

確かにアイツ、魅了で縛った相手は自由にさせつつ自分に侍らせていた。しかしマキナには効かなかったから物理的に縛り付けたと……?

マキナもコーデリアと同じく魅了系が効かないのか。


【召喚勇者は拐われた少女たちを人質にしてマキナを逃れられなくした】

マキナひとりならなんとかなったかもしれないが、マキナが一番嫌がるであろう方法でやつは縛り付けたんだ。


とにかく、相手がアイツなら……。ミレイユさんたちにも……!

そしてその時母ちゃんからのメッセージが届いた。


『注文の品が完成したわ』

丁度例のアレも完成したのだ!


「ブレイク、コーデリア!ルークさんとミレイユさんも聞いてくれ!」

急いでマキナが捕まったことを伝える。それから母ちゃんに頼んでいた品が完成したこと。


ルークさんがランベルト旅団長と話していたユルヤナさんにも事情を話す。

「なら、とにかく急いで救出に向かいましょう」


「こちらも用心棒や冒険者の協力を仰ごう。何せたくさん集まってる」

確かに。そんな時にもキャンプ地は便利なのか。


「だが女性は魅了に嵌まる危険性がある」

「……だが」

ミレイユさんは一刻も早く助けに行きたいようだ。


「……異常が出れば、ユルヤナ。真っ先に彼女を」

「分かりました。いいですね、ミレイユ」

「……すまない」

「親として子を心配するのは当たり前ですよ」

そしてふわわは念のためミーナさんに預けることにした。


「こっちは任せて!女性の用心棒もいるから」

ミーナさんがそう言ってくれて、GIさんに母ちゃんにもGPS情報を送ってもらう。そして俺たちは早速GIさんが教えてくれた地点へと先行した。



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