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【55】ガーバルフ国民の血



――――魔女の街


それはまさにRPGなどによくあるファンシーで少し怪しげな雰囲気の街。魔女たちが暮らすことで有名である。


最近知ったことだがこうして魔女の街であることを堂々と公表するのはガーバルフ王国くらいである。昔は世界に魔女狩りのようなものがあったことからも、魔女たちは必ずしも世界から好意的に捉えられていたわけではない。外国では魔女の隠れ里のようなものも存在するのだとか。

しかしながらガーバルフ王国には公に2つも魔女の街がある。これは世界的にも珍しいと言うか……他に例がない。


ガーバルフ王国が何故魔女を普通に受け入れているのか。いや、だからこそ母ちゃんだって国の人間国宝騎士みたいな父さんと普通に結婚出来たわけだが。しかしみな口を揃えて言う。キャリテの照り焼きバーガーは旨いっ!バーガーを愛するものはガーバルフ国民の証!それが俺たちガーバルフ王国民であることは確かである。


【いや、ちょっとよく分からないけど照り焼きバーガーは気になるね】

そうだろう!?GIさん!俺たち東部民だって、西部の照り焼きバーガーフェアでは必ず照り焼きバーガー食べに行くもんっ!


そんなわけで、キャリテの魔女さんの代表たちとの話し合いには現地のギルド職員と共にランベルト旅団長やキャリテ班も加わった。

お供には照り焼きバーガー。照り焼きバーガーを交えることで交渉の席に応じてくれた魔女さんたちは、やはり生粋のガーバルフ国民だな。


「いや……それで何で話し合いの席になるんだよ、ガーバルフ」

「こら、ルーク。郷に入っては郷に従えだ」

「はぁ……旅団長」

ルークさんが何故か納得行ってない様子だが、ミレイユさんは初めてらしい照り焼きバーガーをふわわとわけっこしていた。


「それで、プラ・スティックの件ですが」

ここ、キャリテは竹の産地でもあることで、キャリテ編みと言う伝統工芸品が有名である。

地球の竹編みだと高く感じるだろうが、こちらの世界では植物枠よりもガラスや陶器の方が高い。高級竹を使ったものはガラス以上の値段だが、俺たち庶民にも広く愛される庶民向けのキャリテ編みは陶器よりも身近に手に入るものだ。


「俺たちガーバルフ国民はガーバルフ国民としてプラ・スティックとキャリテ編みの共存ができるのではと考えています」

「共存……?」

魔女の代表……セレーヌさんが俺をまっすぐに見つめてくる。


「はい。何故なら俺たちは今までも共存をしてきました。例えばキャリテ編みの食具入れ。プラ・スティックで子どもにも優しいフォークやスプーンを作ってもそれを入れる容器がなければ困ってしまう。その時に、耐久性も抜群長く愛されるデザインキャリテ編みを組み合わせることにより新たな需要が生まれます。プラ・スティックは100ゴルゴル均一(税別)製品で幅広く展開していくことを考えています。100ゴルゴルで抑えられる出費の余剰分をキャリテ編み製品に費やすこともできる。さらには容器だけではなく、コースターなどにも合わせられる!100均プラ・スティックとキャリテ編みは本来……とても相性がいいんです!」

俺はプラ・スティック製マグを取り出す。そしてセレーヌさんがすっと竹編みコースターを差し出せば、そこに見事な共演が生まれる。


「分かったわ。あなたのその話、乗りましょう。キャリテ編みとプラ・スティックの共演も悪くわないわね。プラ・スティックだけではなくちゃんとキャリテ編みのことも考えてくれるだなんて、あなたも間違いなくガーバルフの血を引く魔女の子孫だわ。キャリテ商業ギルド長として同意しましょう」

うん……まさかギルド長がデモ隊のリーダーとは思わなかった。対応していたギルド職員は元々は彼女の部下であった。


俺たちは照り焼きバーガーで乾杯し、無事に和解を遂げたのであった。


……あれ?そう言えばセレーヌさん、俺のことを魔女の子孫だって……。


「お使いお疲れ様。リリアナによろしくね」

「……えっ!?」

情報ってどこまで回ってるのだろうか。

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