表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/84

【54】キャリテの乱



――――西部では東部で見られなかった素材もたくさんある。さらにダンジョン都市が近いことからもダンジョン由来素材も多く流れてくるようだ。


「これが樹脂の塊だな」

ルークさんが木の根本から拾った素材を見せてくれる。


「ダンジョンだともっと豊富にとれるが、ここら辺では樹脂の塊になるのは稀なんだ。運が良かったぜ」

「樹脂かぁ……」

樹脂があればさらにいろんなものが作れる。マニキュアの材料にもなるが……樹脂って木の根元から生えるものだったか。しかしプラ・スティックが植物枠な時点でこの世界での樹脂の在り方も違うのかもしれない。


【でも多分その樹脂ってのはプラ・スティックと近いような気がするよ】

え、GIさん、そうなの!?

【けれどプラ・スティックだけが加工が難しいのはこの世界独自の生態系だね】

誰も加工のノウハウを思い付かなくて雑草扱いだったもんなぁ。樹脂やプラ・ウレタンが加工できてプラ・スティックだけが加工できなかったのである。本当に異世界ミステリーである。


そして時折道中で素材採集をしつつ、もうすぐキャリテの街が目前に迫った時であった。


「大変です、今キャリテの街ではちょっとした騒ぎが起こっているらしくて」

ユルヤナさんがそう知らせてきたのだ。


「騒ぎ……ですか?えと、キャリテはユルヤナさんの……」

班の名前からも分かる。班の名前は班長の出身地などから取られる。ミーナさんのレヌカも彼女の出身地なのだろう。出身地は被ったら変えるだろうが基本は出身地などからつけているらしい。しかし……レヌカはガーバルフの地名ではないようだが。だが今はキャリテである。


「ええ、私の出身なんですが……キャリテはガーバルフ西部のツナードと並ぶ魔女の街……と言うのはご存知ですね。魔女以外も暮らしてはいるものの、魔女たちの影響力も大きく女性が強い風潮がありまして……」

確かにツナードの魔女ママさんバレー部も強いからな。よく分かる。


「え?でもツナードの魔女って男じゃ……」

「こら、ブレイク!心が女性なら彼女たちは立派な女性だ!そして……強くて素敵な熟女マダム集団だ……っ!」

「ごめん、リード。そうだった」

よしよし、分かったようで何よりだ。


「何の躊躇いもなく女性と言えるリードくんがある意味すごいと言うか何と言うか……いや、私も魔女の街で生まれ育った身、気持ちは分かりますよ」

え?いや……俺は母ちゃんは魔女だけど魔女の街で生まれ育ったわけでは……。


【多分ずれてると思うよ】

GIさんにそうツッコまれたのは何でだろう。


「しかし本題はここからです。キャリテはその……キャリテ編みの本拠地なんです」


「うん、うちにも小物入れや籠がある」

とコーデリア。村でも籠などは作っていたが、元々はキャリテ編みが元祖だし、本場キャリテで編んだ工芸品もあり、みな大事に使っているな。それほどまでにキャリテの工芸品はガーバルフに根付いている。


「商業ギルド主体でプラ・スティック製品の普及や流通を広める仮定で……プラ・スティック容器などへの展開を盛り込んだのがよくなかったらしく……」

へ……?


キャリテの街の商業ギルドに到着すれば、魔女集団が商業ギルドに押し寄せてきていた。


「プラ・スティック反対――――っ!」

「キャリテ編みを廃れさせる気!?」

「編み子たちの生活をどうするつもりよ!」

そこに押し寄せていたのは、プラ・スティック反対デモをする……熟練魔女のママさんたち。つまり……熟女マダム率が高い!


「……す……素晴らしいっ」

「ほんっとお前……ぶれないな」

ミレイユさんがボソリと呟いた。


だって……だって……っ!心を揺さぶられるんだもんんんんっ!!!


――――父さんはそれを、一子相伝の極意だと言っていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ