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【52】トレッガの町



――――牧場のあるこの町はトレッガと呼ばれる。町と聞くと規模の小さいイメージがあるが、広大な牧場が含まれる。案ずるな、北海道ではよくあることだ。


「ミルクとガレット……美味しいな」

「うむ。さすがは牧場の町だ」

町に着いた俺とコーデリア、ブレイクとふわわは今日の野営地にみんなでテントを用意したあと、町の商業ギルドに来ていた。

牧場から任された牛乳の配達もあったのだが、ルーロンダンジョン都市の商業ギルドへの贈り物もあったのだ。


転送装置の順番が来るまでギルドのひとに勧められてトレッガの菓子とミルクの試食を勧められたのだ。


そしてギルド内の売店で乳製品も購入した。だってチーズだけではなく生クリームの素まで売ってたんだぞ……?ルフツワなどの街で見かける乳製品は西部から届いた加工品だったんだな。因みに生乳は国産100%だが乳製品は国内外に流通しているらしい。


生クリームの素……何を作ろうかな。


「コーデリアは何か食べたいものあるか?」

「んー……せっかくだから冷たいスイーツが食べたい」

そうだなぁ。西部は東部より陽射しが強い。しかし今日は風も穏やかだ。冷たいスイーツも欲しいよなぁ。


「アイスでも作るか」

ルークさんや魔族の団員たちなら氷魔法が使えるだろうか。それに俺は子供の頃にアイスを作る体験をしている。牛乳が有名なところに住んでいたからな。親にアイス作り体験に連れていかれたのだ。作り方なら任せてくれ。多分GIさんが記憶を読み込んでくれるからな!


【自分の記憶を漁られるのにやけにあっさりだな】

何言ってんだ、俺とGIさんは一心同体じゃないか!


【ブレイクよりも?】

GIさんんんっ!?嫉妬でもしてんのか!?


【冗談だ。アイスの作り方なら読み込んだよ】

よっしゃー、今日はアイスだな!


「楽しみだ」

「リードのお菓子は美味しいからね」

「あいしゅっ!」

コーデリアだけではなくブレイクまで。そしてふわわが相変わらずかわいい。

なでなで。ふわわをなでなでしていると、ギルド職員がやって来た。


「君たち、順番が来ましたよ」

ギルドの職員に呼ばれ、転送装置の元へと移動する。

まずは母ちゃんに送る素材だな。ふわわももらった角をはいっと渡してくれて、ブレイクと一緒に並べていく。母ちゃんからはルーロン商業ギルド宛でいいと言われているのでこれでいい。

しかし……母ちゃんもマキナと同じダンジョン都市にいるとはなぁ。ついでにお土産にギルドで購入したガレットセットもつけておく。母ちゃん、甘い菓子が好きだからな。


母ちゃんに送り終えれば次はマキナ宛である。マキナにもコスメグッズとお土産のガレットである。


「これでよし」

無事配達も終えたのでみんなで帰ろうとしていた時だった。


「リードきゅううぅんっ!!」

この妙な俺の呼び方は……っ!


そして次の瞬間、横から飛び付いてきた。


「リードきゅん、おにーたんたくさんメッセ入れたのに構ってくれなくて超寂しかった。ぐすっ」

いや……普段の兄ちゃんのメッセは基本GIさんが選り分けてくれているのでそもそもチェックしてないんだが。


「いや、そもそも兄ちゃん。何でいんの」

「リードきゅんに伝えたいことがあってぇ……ついでにリードきゅんチャアァァ――――ジッ!!」

絶対後者が本音だろ。単に伝えたいだけなら通信を入れればいいだけだ。


「ふ~わ~。おにーたん、ふわわ、うしさんとおともだちになったの!」

「きゃふっ」

そしてめちゃくちゃかわいいふわわの話に兄ちゃんが崩れ落ちる。あ、大人しくなった。さすがはふわわだな。よしよし。


「それで、用って何?兄ちゃん」

商業ギルドのベンチに腰掛け、兄ちゃんがくれたココアガレットをみんなではむり。ん、ココア味も旨いな。


「実はリードきゅんが提唱した商品の幾つかが完成したんだぁ」

あ、魔王国の商業ギルドと共同開発していたやつね。


「まずは100均フードや台所用品。ガーバルフの人間と協力して機械を作って、魔王国の魔石や魔族の魔力で加工したブロック食やステンレス製品」

どうやら魔道具の開発は人間側が得意としているらしく、魔力や魔石の扱いは魔族側が得意としているらしい。種族問わず広がる商業ギルドの成せる技だな。


「ここら辺を魔王国とガーバルフで試験的に売り出す予定」

小さなことからコツコツだけど、東部では少しずつ知られてるからいずれはガーバルフ、魔王国、他の国にも広まればいいよなあ。


「あと、プラ・スティック製品の加工だけど、魔王国ではボタン草よりもビーズ草の方が採れるから、ビーズ草を媒介にしたら上手くできたよ」

そう言って兄ちゃんがプラ・スティックマグを見せてくれる。つーかこの世界はビーズも植物枠かよ!


「ビーズか……ガーバルフはどちらかと言うとボタン草が多いから、ビーズ草は珍しいのだ」

コーデリアが目を輝かせている。


「じゃぁ魔王国に行ったらビーズ草探すか」

「うむ」

嬉しそうだなぁ。やっぱりコーデリアはクラフトが好きである。俺としてもビーズは是非100均商品にしたいところである。


「それを知らせに来てくれたんだな、兄ちゃん。わざわざサンキュ」

「り……リードきゅんの……でれっ」

兄ちゃんが崩れ落ちる。いや……デレ?デレた?俺。兄ちゃんの目には特殊フィルターでもついてんだろうか。



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