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【5】ふははははっ!これぞスキル100均無双なり!



――――100均は素晴らしい。赤いマグカップがキッチン雑貨売場に並んでいるだけで押し寄せるこの高揚感。これは100均でしか味わえないものだろう?さらにレンチンオッケーならなおのこと……!

この世界でレンシレンジはまだ未発見だからマグカップのままヒート魔法オッケーと述べておこう。


そしてまとめて生成と言う地球ではコストを押さえるための当たり前の原理で俺はマグカップ(赤)を2つ生成した。


「ぐはっ」

MP枯渇、ヘルプナウ、コーデリア。


「MP回復ぴょんぴょこりん」

そのぴょんぴょこりんは必須なのか?MPを回復するには必須なのか……?まぁいい。MPは回復したし生成した経験値でレベルも上がってMP枠が増えた……!


――――と、その時。


「あら、リードくんのお友だち?」

「マリアン!」

タイミングよくマリアンが様子を見に来てくれたのだ!


「……また人妻熟女を呼び捨て……相変わらずなのだな」

何だか近くでコーデリアの残念そうな呟きが聞こえた気がするのだが……気のせいか?


「ちょうどよかった、マリアン。これが俺の100均活動スタート記念の第1商品……赤のマグカップ。もちろん100ゴルゴル(税別)/105ゴルゴル(税込)だ!」

前世の10%消費税生活の中のお陰か消費税5%の計算に若干のおぼつかなさを覚えた。しかし知ってるか……?昔はな、3%や8%消費税をみな瞬時に九九暗算していたんだぜ……?今は10%だけどさ、九九って大事なわけだ。10%以上になると九九でやらないからみんな瞬時に暗算できなくなっちまう。これ以上は……上がらないでほしいと遠い異世界の空の下から祈ってる。

とは言えこちらは5%。今は5%消費税計算が第一だ。


「これが……本当に105ゴルゴル(税込)!?」

「そうさらマリアン。俺のスキル100均でまとめて生成することでひとつあたりのコストを100ゴルゴルに抑えたんだ」

「すごいわ!マグカップが100ゴルゴル(税別)と言うのも驚きだけど、こんなにかわいいマグカップができるなんて!私、赤って好きなの!」

うおおおぉっ!!推しドルの笑顔さいっこおおおぉっ!!


「俺のお陰だろ」

後ろからアーノルドがボソッと呟いてきたので、後でアーノルドと夫氏の分も作ってあげようと思った。


――――それから。


「ほら、もうひとつはコーデリア。お前に」

俺は生成したもうひとつの赤いマグカップをコーデリアに差し出した。


「……私に……?いいのか?」

「MP回復代。あとお前、クラフトとか好きだろ?色のついてないのもやる。好きにデコるなり模様描くなりしていいぞ」

と、一番最初に作ったマグカップも渡しておく。


「……っ!うむ。とびっきりかわいくデコる」

勇ましくはあれど、やっぱり中身は乙女である。思えばブレイクのコレクションもコーデリアの手作りだった。この近所の妹枠は聖女と言う前に普通の乙女なのである。


その後俺はマリアンから店番をしながら100均商品を生成する許可を得たので、コーデリアにMP回復してもらいながらいろんなマグカップを生成、青と緑のマグカップを使ってアーノルドと夫氏にもプレゼントした。

それから商業ギルドの商品規格部門から試しに100均マグカップを店頭で売ってもいいと許可をもらったのでお試し販売中。

店に訪れるマダムやレディーたち、それから商品を見に来た商人たちにも注目してもらって幾つか売れた。


俺はレベル22:MP4400になった。いや……マグカップ生成だけでレベル上がりすぎ!それからMPの上昇比率がレベル11を過ぎた辺りから変わったぞ!?ふははははっ!これぞスキル100均無双なり!いや……その前にコーデリアに感謝だな。


「報酬の100均鈴やチャームのセットだ」

100均でもよく見かけるだろ?鈴や鈴付きのかわいいチャーム。根付けはドンサ村周辺の布の原材料。鈴についてはドンサ村の周辺では幅広い金属は取れないのでアーノルドが商業ギルド運営武器防具店の素材を借りてきて見せてくれて、そちらで生成できた。遠くの原産地の金属は無理だったがルフツワ周辺で取れる金属素材なら活用できた。因みに100均スキルでの生成は商品にならない部分なのでコストを抑えられた。あと小物だしMPも増えたからまとめて生成ができて色や根付けなども追加でつけられる。


「うむ……なかなかかわいいな。アクセサリーにピッタリだしアレンジしても面白そうだ」

コーデリアのクラフト魂も刺激できたようだ。


「あと……これはブレイクにいいかもと思ってな」

ドンサ村木材製ミニくまちゃんチャームっ!


「さすがだ、リード。ただ人妻マダム狂いしているだけではなくて安心したぞ!」

それって褒めてる?ねぇ褒め言葉で合ってるのかな?少しグサリて来たんだけど。


「ブレイクに見せてやれば……しかし着拒されているのだ。でもリードなら……!」

「……うーん、どうかな」

試しに通信アプリに付いているカメラ機能で写真を取って……ブレイクに送信っと。

この世界のステータス画面は便利なもので。カメラ機能から通話メッセージとまるでスマホのような便利さだ。


――――その30分後……勇者ブレイクが帰ってきた。赤髪に青い瞳のイケメン青年だ。


「リード!くまちゃん!くまちゃん!リード!!」

よほどショックだったのだろう。くまちゃんを失ったことが。ブレイクはもはや語彙を消失していた。



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