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【42】プラ・スティックに優しい世界へ



――――プラ・ウレタンは加工や錬成ができるのにプラ・スティックにできない理由って何なんだ……?


【もしかしたら思ってもみない素材が必要なのかもしれない】

思ってもみない素材……?


【私が知っているプラ・スティックの歴史を教えよう】

え……知ってるの?


【無論。プラ・スティックは元々昔々女神がこの世界に取り入れたものだ。地球からの召喚者、転生者の知識を利用しこの世界に植物と言う形で取り入れた】

植物として……か。植物由来なのは環境に優しい。プラスチックのような素材を生やせるのは驚きなのだが石油の成り立ちを考えれば似たようなものがあってもおかしくはない。ただこの世界では石油にならずにプラ・スティックとして生えた。


【しかし取り入れたはいいものの、プラ・スティックを加工するために必要な素材がない】

前世では科学の力で加工できたがこちらの世界で同じようにできるとは限らない。プラ・スティックがそもそも植物だし。


【その一方で突然変異したのがプラ・ウレタン。プラ・ウレタンはこの世界の他の素材とも結び付きがよくこの世界に受け入れられた】

やっぱりプラ・ウレタンはプラ・スティックと結び付きがある突然変異だったんだ。そしてプラ・ウレタンだけが加工しやすいと広まった。風呂場でスポンジを使えるのもプラ・ウレタンのお陰だったと言うことだ。


あれ……でもならどうしてあれはプラスチックのような形状だったんだ……?まさか……。


GIさん。多分必要な素材が分かった。早速錬成してくれないか?


【……なるほど。それは興味深い。早速錬成しようか】


「よし、できた」

実質0ゴルゴルのプラ・スティック。素材として使ったものも今はさして注目されていない素材のようだ。かかったのは顔料や塗料のみ。それらはドンサ村でも見ているから着色可能である。


俺はプラ・スティックで小物入れ、ハンガー、マグカップ、プラ皿コップ、食器……思い付くだけたくさん錬成した。

顔料やパーツのコストはだいたい通常の生成品の1~3%なので……30個近くできたがマジックバッグにだいたいのものは収納する。


そして試供品を幾つかみんなに見せてみた。


「うそ……プラ・スティックの加工品?」

「プラ・スティックが加工できるなんて……どうなっている?」

ミーナさんやミレイユさんたちも驚愕する。


「使ったのはボタン草の根です」


「ボタン草?」

コーデリアが反応する。コーデリアはボタン草のコアなファンでもあるからな。


「そう。ボタン草の中身のボタンは木製に見えるものもあるけど、大半はプラ・スティック製なんですよ」


「プラ・スティック製……?確かにボタンの素材は木以外のもあり不思議な素材だな。だがどうして分かる?」

とミレイユさん。んーと……マキナ曰くこれは決して稀なことでもないんだもんな。


「実は言ってなかったんですが……俺は転生者です」

「……えっ」

ミレイユさんを初め皆驚いている。


「ブレイクもコーデリアも、今まで黙っていてごめんな」

「……リードの熟女マダム好きを知った時に比べたら微々たる問題だ」

こ……コーデリア!

「そうだね。リードはリードだ」

ブレイクも……!俺はいい幼馴染みを持った。


「なら……あの召喚勇者とも……」

ミレイユさんの顔色が暗くなる。


「まだ分からないんです。本人に確かめないとどうにも……」

「……そうか。だが……異なる世界の記憶を持っていてもリードのようにまともな者もいる。それは私にとっては救いだ」

「……ミレイユさん」

「……熟女マダム好きは……置いておいて」

え……?


「もう、ミレイユ姉さんったら」

ミーナさんにツッコまれてミレイユさんが少し頬を染めている。


「そんなところも……萌え」

「リードが安定のリードで何よりだ」

コーデリアがにこりと笑む。


「それでボタンにも気が付いたんですね」

「はい。ユルヤナさん。俺からしたらボタンはプラスチック製……プラ・スティックに似た素材からできているんです。そしてそれなら納得行く事実もあります。俺はドンサ村でボタン草を見たことがないんです」

「ルフツワ周辺にはあると思いますが……」


「ええ。海から離れるにつれてボタン草もプラ・スティックも増えてくる。そして何物とも合成されなかったプラ・スティックはひっそりとボタン草と結び付き素材を錬成していたんです」

それがボタンだったのだ。さらにプラ・スティックが海の側に生えないからこそボタン草もドンサ村にはなかった。こちらの世界の人々にとってはボタンがプラ・スティックから作られたと言う可能を発見するのは難しい。だからGIさんも迷っていたのだ。


今までの転生者や召喚者がこのことに気が付いたかもしれない。でもそれを試して合成や錬成することはなかった。


商人になったものが少ないのか、プラ・スティック製品を産み出そうって思い付くことがなかったか。アレンは論外だが、少なくともアンナさんはプラ・スティックと言うよりももふもふと編みぐるみ担当だからな。プラ・スティックは100均担当の俺だろう。


「でもリード、何故根なんだ?」

とコーデリア。

「こう言うのはだいたい根っこがネックなんだ。これぞファンタジーの王道だ!」

「……よく分からんが。まぁ作れてしまったもんな」

「そうそう」


「ですねぇ。もしこれを商品にできれば大発見ですね」

ユルヤナさんの言う通り。これは地球で言うプラスチックになれる。しかも植物由来だから環境にも優しいのだ。


「多分これ、火に強いんですよね。だけど多分加工には熱がいるはずです。それからボタン草の根も」

「ではこのプラ・スティックは商業ギルド技術班で研究することになりそうです。魔法の面では魔族側の協力も必要でしょうし、錬金術にも活かせるやもしれません。可能性も非常に大きいのでこれなら錬金術班の協力を得られるかもしれませんね」

おぉ……っ。まさに革命のようになっている!


「あ、でもそれで価値が高騰したら……」

プラ・スティックは抜いても抜いても生える。現に刈った場所からもまた生えてきている。

乱獲しても生えるのかも知れないが、プラ・スティックを求めてひとが集中して必要な依頼に手が回らなくなったら……などなど色んなことが考えられる。あとボタン草もだ。


「それをコントロールするのが商業ギルドの役割ですし、そう言った面では冒険者ギルドにも協力を仰ぎます。プラ・スティックやボタン草の採集にクエストが集中しないようにしたり、価値の変動を抑えたり、ひとりボロ儲けして市場を荒らしたりするものを抑止しますから。さらにボタン草のようにプラ・スティックの加工に有益な素材も見付かるかもしれません。こうして旅団で各地の素材を集める商人にも声をかけてみましょう」

「わぁ。商業ギルドって……何かすごい」

抑止もできるんだ……まぁ魔族の国であろうと人間の国であろうと存在するんだもの。もしかしたらこの世界で一番怒らせたらいけない存在なのかもしれない。それに……他にも加工に必要な素材が見付かれば100均の商品も増やせそうだ!



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