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【4】帰ってきた近所の妹枠



――――【経験値100獲得、レベルが2に上がりました】


そんなアナウンスと共に目が覚めた。え……レベルが上がった?昨日MP使って生成したからか……?いやそれよりも……。


「は……っ!朝飯!!」

急いでマグカップをウエストポーチにしまいつつ、食堂で朝飯を平らげた俺は早速マリアン紹介の商業ギルドでアルバイトを始めた。


「おい……リード・ノーム」

店番をしていれば現れたのは昨日のアーノルドだ。


「あの、あんま苗字呼ばないでくんない?」

「いや……お前もおふくろを呼び捨てにしてんだろ」

「俺はマリアンを名前で呼んでんだ。ならおアンタも合わせて下の名前で呼べばいい」

「……リード……そうだな。呼び捨てにした方が小間使いっぽくていいか」

「ふん……俺はマリアンに小間使いにされるのなら大歓迎さ」

「いやお前を小間使いにするのは俺……いやおふくろの顔に泥は塗れないからやめとく……」

あれ?わりといいやつだな、コイツ。母親思いじゃん。もしかしたらそんなに悪いやつじゃないのかも。


「あ、そう言えばさ。マリアンって何色が好きかな?」

「あん?そんなの聞いてどうする」


「じゃじゃん」

俺は100均活動第1作目の木製マグカップを取り出した。


「俺の何でも100ゴルゴル均一商品第1作目!」

うーん、多分MP100あたり100ゴルゴルではなかろうか。そして具体的な商品を念じることでMP100に対し100ゴルゴル商品が生成できる。


さらには経験値が入りレベルが上がる。レベルが上がればMPも増える。今のMPを店番しながら確認したが200に増えていた。なお日中MPが枯渇すると困る。寝るとMPがレベルアップでMP枠が増えた分回復していたので使ったあとに寝ることは重要らしい。なので第2作3作目は夜にして。まずはこのマグカップだ。映えある第1段はマリアンに拾ってもらった礼にプレゼントしたいのだが……素材の色だけと言うのもちょっとな……?


「これは何と100ゴルゴルマグカップ!」

しかも朝よく見てみたらドンサ村でよくとれる木材だ。だてに雑用積み重ねてない。

多分100ゴルゴル相当の木材で作られた。そして塗料代を捻出できなかったからこそカラーなしなのだ。もしかしたら俺が目にしたことのない材料費では作れないのかもしれない。だが塗料なら幾つか素材を知っている。その分のコスト消費については考えがある。何せ今晩は2回分あるのだから。


「いや……木製のマグカップって言ったって普通は400ゴルゴル(税別)するだろう」

さらに陶器なら800ゴルゴル。結構高い。平民なら持っていれば珍しい。成人のお祝いなんかに買ってもらえることもある。あと商人でもうけていれば持っているかもしれない。でも普段使い用なら木製が主だろう。


「ふふっ。だがドンサ村の商品にならない分の木材を使えばこの通り!」

因みにこれは実物を持ってきているわけではない。商品の素材に相当するものを俺のMP換算してスキルで生成しているらしい……と、今朝レベルや経験値を見るためステータス画面を見ていたら説明が書いてあった。どうやらレベルが上がったからか説明が解放されたらしい。理論は分からないが魔法だってそうだろ?俺は深く考えないことにした。


「これが……100均ってやつさ」

「な……なんっだと……!?」

衝撃を受けるアーノルド。やはり異世界人にとって100均は未知そして衝撃なものらしい。ふっ、ここから俺の100ホームシック挽回が始まるのだぁっ!!


「そして……これに色がついたら絶対マリアンが喜ぶっ!!」

「お前の謎のマダム好きは理解できないが俺だって商人の端くれだぁっ!!わくわくするじゃねぇか特別に教えてやらぁっ!!赤だ!!」

ふ……っ。そうか、マリアンが好きな色は……赤。よし、なら早速今夜……。


「赤いマグカップを1個あたり100ゴルゴルで……あれ、そう言えば税率入れないと」

消費者庁に怒られるぅっ!!基本は税込税別を分かりやすくした上で税込表記を入れないと怒られるのだ……!


「この王国だと5%だ。店番やってんだから覚えろ」

「あ、うん。そうだな」

昔懐かしい5%。みんなは覚えてるかな?つか知ってるかな?日本も昔は……5%だったんだぜ。


「105ゴルゴルの赤いマグカップ(税込)を作ってやろうじゃないの!MPを消費するから夜にでも……」

今ぶっ倒れたらしゃぁないし。


「MPがいるなら私が回復してやろう?」

うん?今懐かしい声がと思えば……アーノルドの後ろに立っていた少女の姿に驚く。淡い茶髪に深い青の瞳のこの美少女は……。


「コーデリア!?何してんのこんなところで!」

確かブレイクを追っかけて早2年……とは言えまだ14歳である。この世界じゃ勇者の旅立ちは12歳だし、勇者がそうなら聖女もだ。

しかしながら旅立つ前から勇ましかった聖女は今もなお勇ましい出で立ちだ。


「その……な。去年魔王討伐に行ったのだが、アポ無しはダメだと魔王に説教されてしまったのだ」

むしろ魔王に何で説教されてんの?そもそもアポ無しを説教する魔王の討伐、本当にいるのか?


「まだまだ実力不足だと、強い人間を紹介してもらったんだ」

何で魔王が人材紹介してんの?やっぱりこの世界、本当に魔王討伐必要かな……?


「でも……その、ブレイク兄さんが逃げ出してしまって……」

え……ブレイクが!?因みにブレイクとコーデリアは実の兄妹ではなく従兄妹同士。俺はコーデリアの近所の兄ちゃん兼ブレイクの幼馴染みである。


「アイツ、結構タフだろ?逃げ出すなんて……」

まさに勇者のテンプレな真面目な勇者である。しかし雑魚ジョブの俺を笑うことなく自分のコレクションを自慢してくる……あ、待てよ?


「まさか……アレか」

「……そう。紹介された師匠に取り上げられて暖炉に放り込まれて炭に成った。ブレイクは絶叫し師匠に全治4ヶ月の怪我を追わせて傷心の中飛び出していった。通信を入れたが着拒されている」

いや……師匠に4ヶ月の怪我負わせるならもう修行完了でいい気もする。あと通信と言うのはこの世界での通信手段。冒険者ギルドや神殿などに行くとオプションでステータスにつけてもらえる機能だ。俺も村の神殿でつけてもらったし、コーデリアやブレイクたちもだ。


「……てかお前聖女だろ?治療しなかったのか?」

「だって……師匠が悪いだろ」

……まぁな。ブレイクもどっか行っちまったし。


「ブレイクが喜びそうなものでも作るか」

くまちゃん……?でも今はまだ木製マグカップしか作れないし、レベルを上げるか素材をたくさん見るしかないかな。


「ならば私も協力する。えぇと、マグカップを作るのか?」

「うん、まぁね。何かスキル100均で作れたからな。試しに作って見るからMP回復頼むわ」

「もちろんだ!」

こうしてMP回復係……とか言うとコーデリアの父ちゃんに追っ掛けられるから……頼もしい近所の妹枠を迎えたわけである。



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