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【39】王都



――――ガーバルフ王国王都ガーバズチ。王都に訪れたことのないものも、王都のものもみな親しみを『王都ガーバー』と呼ぶ。この呼称にはガーバルフの国民食への飽くなき探究と食欲が関わっているとかいないとか。あぁ、何となくチーズバーガーが食べたい。


王都では王都の商業ギルド本部への滞在だ。敷地も広く、宿泊施設も完備。旅団の到着に合わせて王都の商業ギルドも準備してくれていたのだ。因みに王都ガーバーの商業ギルド腕章はチーズバーガーだ。


そんな王都ではしばし王都や近郊での素材集めや情報収集が行われる。


「リードたちはコスメグッズ売場に行くのだな」

「はい。ミーナさんと一緒に行ってきます。ミレイユさんは……」


「せっかくの王都だ。王立図書館に行ってくる」

魅了のことを調べると言うことか。


「しかし……商業ギルドに出向しているとはいえ私は外国人だ。見られる書物も一般向けだろう。となれば魅了などと言う特殊な知識がやすやすと手に入るとは思えん。……この国の王族貴族でもなければな。だとしてもわずかな可能性に賭けるが」

まぁそうだよな。母ちゃんも魅了の知識については魔女の秘匿事項。息子だから解除薬の作成を請け負ってくれているが……そうでもなきゃなかなか請け負ってはもらえないだろう。特に初対面だとすれば依頼を受けてくれるかも怪しい。


だから王立図書館にあっても……。うーん、かといって王族貴族の知り合いなんていない。俺は普通の平民だ。


「何か見付かればいいですよね」

「そうだな……君のお母君を頼るしかないのは不甲斐ないが……私もできることをしてみる」

「えぇ。俺も俺なりに母ちゃんからの依頼品、揃えてみます」

「あぁ」


「おねーたん、がんばってね!」

「ぐはっ」

その時腕の中のふわわがミレイユさんをお手手でぽふぽふ応援したことで、ミレイユさんは萌えを爆発させていた。


そして暫くして平静を取り戻したミレイユさんは王立図書館に向かう。一方で俺、ブレイク、コーデリアはミーナさんにコスメグッズが売っている王都商業ギルド運営コスメグッズ売場に案内してもらった。


「ここは王都の商業ギルド経営で素材も商業ギルド経由で入ってくるから安めで庶民にもお手軽プライスなのよ」

そうミーナさんが教えてくれる。逆に高級なものは王族貴族、金持ち向けなのだそうだ。そう言った店は商業ギルドに登録している大商家経営や貴族などがやってるブランド経営である。その分冒険者高い指名料を払ったり、自ら素材調達の部隊を編成し上質なものを仕入れている。

しかし庶民向けには高すぎる。だから商業ギルド経営のものは一定の品質は維持しつつも、商業ギルドの素材調達班や俺たちみたいな旅団、冒険者への通常依頼で揃えている。指名じゃないので人件費は抑えられるし、素材調達や探索フィールドに相応のランクがあれば誰でも受けられるものとなる。


「それで……そうね。王都近郊の素材なら……これ!アイシャドウ素材よ!」

あー……確か目蓋に塗るやつか。しかし……素材?


ミーナさんに見せてもらったのは幾つかの小袋に小分けされた品々である。


「ベースの素材……アイシャドウの核の粉末に、あとは色を取り入れる顔料を混ぜて塗るのよ」

「え……?」

アイシャドウって……混ぜて作るのか?そりゃぁ生成の時は混ぜるかもだが……地球では固形で売っているイメージがある。あー……でも母ちゃんも混ぜて……いたか?


「固形なのはないんですか?」

「固形……?」

「もともと混ぜて固めて、塗りたい時に塗るんです」

「そうねぇ……それができればいいんだけど、混ぜて貝殻の中に閉じて……もって3日ね。その代わり粉の状態なら当分は持つからちょっとずつ混ぜるの」

貝殻……っ!何か平安時代の昔の絵で見たことあるわっ!日本史の教科書か資料集で見たことあるぅっ!!


「あとファンデとかチークもそんな感じ!ファンデは5日くらいかしら」

ふぁ……ファンデ……母ちゃんが昔言っていたか……。何か、顔全体に塗るやつだ。チークはミーナさんがほっぺに塗るジェスチャーをしているからほっぺに塗るんだろう。


「王都郊外のフィールドでもアイシャドウの実や……そうね、リードくんたちが探している虹殻もあるから明日一緒に探しに行きましょうか」

「はい、是非」

100均でも何か作りたいし……他にも化粧品の知識が必要だな。


「そう言えばコーデリアは……」

メイクをしているのを見たことがないと言うか……メイクする前にコーデリアは美少女すぎるのだ。


「……私には、まだ……」

何かもじもじしている。


「コーデリアちゃんならきっともっとかわいくなるわ!明日素材を手に入れて、一緒に試してみましょ!」

「その……私もいいのか?」

「もちろんよ。女の子じゃない!」

ミーナさんに元気付けられ、コーデリアは少し嬉しそうに頬を赤らめた。

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