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【31】ふわわと夜



――――編みぐるみに取り掛かるコーデリアとアンナさんは女子2人で楽しそうだ。そしてほかのご夫人たちも集まって楽しそうに見ている。彼女たちはイヴァンさんの兄弟やそのお嫁さん、そのまた娘さんたちらしい。彼女たちの分も今回の見学のお礼に作ってあげようかな。


あ……そう言えば。


「素材なしではどのくらいになるんだろう?」

そこら辺も検証してみなければ。


早速素材なしで作ってみる。


「お手軽サイズで1枚」

くう……昔の100均んんんっ。


「綿花たちからは毎日素材の綿毛がとれます。ブラッシングも軽くてすぐに済みますし、何よりかわいいので」

それは分かります!!イヴァンさんっ!!


「しかし綿花たちの綿毛はほかの素材と比べて高く良質なので」

その分コストがかかるのだ。


「なので混合と言うのはどうでしょう」

「混合ですか?」

「えぇ。純度100%の綿花の綿は高級なので、一般向けにはそこに素材を混ぜてコストを下げて販売します。例えばこのような」

イヴァンさんが見せてくれたのは綿毛ではあるのだが、綿花の綿とは違う。

「これは綿毛が実る木の実なんですよ。これだけでは綿やフェルト、毛糸にならないものも綿花の綿と混ぜることで商品になり、より加工しやすく柔らかく滑らかになります」

「混ぜることで庶民にも手が届くし品質も良くなるんですね」

「ええ」

そしてその木の実は牧場で育てているそうで、そちらも素材として組み入れることが出来た。


「よし、お手軽サイズのフェルト3点セットだ」

ふわわの黒いフェルト、白いフェルト、2色を混ぜたグレーのフェルトだ。


「ふわわのフェルト、またできた!」

「こらぼ」

「いぇーい」

兄弟たちとの毛綿色コラボもできてちび綿花たちがかわいいなぁ。


そうこうしているうちに……。


「できたぞ」

相変わらず早いなコーデリア!?地球の編みラーたちもびっくりだよ!


「す……すごいねコーデリアちゃん……私も短時間でそこまでは……」

普通はアンナさんのペースなんだろうなぁ。でもうちのコーデリアはクラフトの天才なもんで。移動中にくまちゃんこしらえる天才なので。


「ふふっ、なかなかかわいいぞ」

コーデリアがブレイクに編みぐるみくまちゃんを見せる。なお、綿はこれまたほかの素材を混ぜてふわふわさを増した綿だそうだ。


「萌えええぇっ!!!」

無事勇者が萌え尽きたところで。


俺はお礼にほかのご夫人たちにもかぎ針セットをプレゼントした。なお今晩は牧場にお世話になるのだが、コーデリアがフェルトでぬいぐるみを作ってくれるそうだ。


あまり夜更かししないように言いつつ、俺はブレイクと一緒に客間で寝かせてもらう。


ブレイクは集まってきたちび綿花たちと寝るようだ。コーデリアとマキナたちのところにももふもふと押し寄せてるかもなぁ。大人の綿花たちは綿花用の寝室で寝ているようだが、ちびっ子たちはこうして潜り込んでくるようだ。


……と、兄ちゃんが後ろから教えてくれた。うん、いるよ。もちろんいるよ。この兄ちゃんが同じ屋根の下なのに俺のベッドに潜り込まないわけがないのだ。

まぁしかし俺にとってはそれよりも重要な事実があるのだ。

それは……。


「きょうはね、リードおにーたんと寝るの」

「うんうん、かわいいなぁふわわ」

もちろん一緒に寝ようね。いつもはヤンデレ嫉妬マックスな兄ちゃんも綿花のふわわとなら『リードきゅんとダブル萌えキュンキュンコラボ~』とか言ってご機嫌だからな。


俺はふわわを抱っこしながら幸せ心地で寝入ったのだった。うん……ふわわ……ふわふわ……離れたくないなぁ。無性にそんな気持ちになったのだった。



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