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【29】綿花たちとの対面


――――かつて吟遊詩人はこう言い表したそうだ。


綿花は尊い

綿花は素晴らしい

綿花は我々になくてはならない


――――と。それは単に地球の綿花のように色々な素材に使われるからだけではないのだろう。


だって……だって……っ!


『おにーたーん!おねーたーん!きてくれて、ありがとおおぉ――――っ!!』

ぱたぱたとこちらに駆けてきてくれるのは幼稚園児くらいの見た目だが身体がもこもこで真っ白な毛並みに覆われた生物。つまりは彼らが綿花なのだろう。髪も白く目は淡い色、お耳は羊耳、手足は羊みたいに見えるが2足歩行である。思えば街にあったあの羊のイラストに似ている。彼らが綿花だったのだ……!


『ぎゃっふぅっ!!』

兄弟そろって崩れ落ちたのは言うまでもない。


「兄ちゃん……かわいい……もこもこだぁ……綿花かわいい……」

「うへへへへ綿花かわいい……うひひひひ綿花に萌えるリードきゅんもかわいい」

んもぅ兄ちゃんったら……うへへへへとうひひひひは不気味だぞ。しかしそんなツッコミも入れられないほどに……。


「おにーたーん!」

「おねーたんもいるよ」

「綿花にあいにいてくれたんだよね?」

「抱っこちてー」

「もふぎゅーってちてー」

もちろんするに決まってるじゃないかぁっ!!もれなくコーデリアも加わり3人でふわふわな綿花をふわもふっていれば。


「あら、みんなかわいい」

「もふもふしてもらってよかったねー」

150~160センチくらいだけれどもかわいらしい綿花たちがやって来る。オスメスいるようだが……。


「美しい……熟女マダム」

「おい、リード。お前の熟女マダムのストライクゾーンは人外も含むのか」

「当たり前だろうコーデリア。彼女たちも立派な熟女マダムだ」


「じゅくじょ?」

「まだむってなぁに?」

「なになに?アンナちゃん」

かわいらしい綿花たちはアンナさんに群がる。その様子もかわいいっ!綿花マダムかわいいじゃないのっ!


「こら、アンタのせいでアンナちゃんが困ってるじゃないの」

何故かマキナから怒られる。


「すごい……もこもこだ」

そしてすぐそこでは……ひときわ大きな……2メートルくらいある綿花のオスのもこもこにブレイクが顔を埋めている。


「あの子はボス綿花です。村のボス綿花」

ボス綿花なんているんですか!?イヴァンさん!?


「あとは牧羊犬のこの子たち。魔物を飼い慣らし魔獣化した子らで、綿花たちの警備やちび綿花たちが迷子にならないように見守りなどの任務についております」

イヴァンさんの足元には牧羊犬よりもちょっとワイルドでオオカミよりなわんこたちがおり、彼らもちび綿花たちと仲良さげである。


「ほんとかわいいなぁ、綿花」

この兄がメロメロになるのも分かると言うか……あれ?その時視線を感じてみれば、物陰からじっとこちらを覗いているちび綿花を見つける。しかもほかの綿花たちとは違いふわふわも髪、目も黒い。羊耳も黒だ。


「あの子は……」

「あの子は珍しい黒い毛並みの個体なんです。突然変異なようで……しかし綿花は染め上げることを前提に真っ白な毛並みの方が好まれるのです」

確かに地球の羊も綿花も白いもんなぁ。


「綿花は木綿や綿など布製品や綿製品のほかにもフェルトや毛糸の素材も恵んでくれる優秀な子たちなのですが……」

うん、この世界の綿花、羊に近いもんな。地球で言う綿花と羊の2つの特製を兼ね備えているんだ。あと科学的なこととか動物学的な綿と毛の原理については深く考えてはならない。魔法がある時点で重力に反発して空も飛べるからな。

……俺は飛べないが。


「うちは主にフェルトや毛糸製品を扱っているのですが……やはり後の染色のことを考えれば白の方が売れるのです。それでも我々はあの子も大切な綿花として育てていますが……ほんにんは自分の毛並みを気にしてしまっているようで」


「そんな……あんなにもこもこでかわいいのにっ」

「……っ!」

あれ、黒いちび綿花が反応した……?


「……」

そしてとことことこちらに近付いてくる。

「……おしょろい」

そして俺の服の裾を引っ張りながら告げる。あぁ、同じ黒目だもんな。


「お揃いだな。俺はリードだよ」

そう言って頭をもふもふ撫でてあげれば。


「……りーどおにーたんっ」

ぐふっ。かわいすぎる!!

「……あのね、ふわわだよ」

「ふわわちゃんか」

うん……っ、名前までかわいいなぁ。

そしてぽふりと腕に触れたのはおっきな綿花の手である。


「お母さん……任せてください。この子は俺が猫かわいがり……ならぬ羊かわいがりします!」

「まぁっ」

お母さん綿花が喜んでくれる。我が子の幸せを祝福する熟女マダム綿花。くぅ……まぶすぎる……っ。


「君も将来素敵な熟女マダムになれるはずだ」

「おにーたん!」

あぁかわいいなぁ、黒いちび綿花。


「……あれで喜ぶのか?」

「綿花って純粋なんだね」

やめなさいコーデリア、ブレイク!まるで俺が汚れているみたいじゃないかっ!!


はぁ……少しちび綿花たちに癒されよう。ふわわを抱っこしたままカーペットに横たわれば、ほかのちび綿花たちが集まってくれてあっという間にもふまれてしまった。あぁ……かわいすぎるううぅっ!!


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