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【27】この残念な兄を謝罪しよう



――――綿花の街で、まさかの綿花見学を拒否されるだなんて……。


「ぼくはユリアンさまより綿花牧場を任されている。メアタワ商業ギルド長のぼくの決定はユリアンさまの意思でもある。悔しければユリアンさまに直談判してみるか?貴様らなど一瞬で屠られるがな!」

な、何故そこに兄ちゃんが出てくるのか。てか兄ちゃん、綿花牧場とどんな関係があるんだろ?でも……まずはだ。ステータス画面を開き、真っ先に兄ちゃんに通話をかける。


『リードきゅうううううんっ!!』

あ、コンマ0.1秒で出た。ステータス画面開きっぱなしにしてる訳じゃないよな!?

「あのさー兄ちゃん」


『今、会いに行くねっ』

は……?会いに来るの?時間空いてるならいいけど。


そして瞬時に空間が裂け、そこから兄ちゃんがのそりと出てくる。


「リードきゅうううううんっ!!」

全く……相変わらずなんだから。


「おにーたんを呼んでくれるなんて嬉しい」

いや、電話はしたけど別に呼んでないのだが。そして兄ちゃんが俺に抱き付きすりすりしていれば、後ろでレオンハルトが驚愕していた。


「え……?何これどういうこと……?ゆ、ユリアンさま……あのカッコよくて最強のユリアンさまがぁっ!!」

ごめんな……はたからみたら強くてイケメンな四天王だが、こんなブラコンで。しかも病んでいるし。


「ギルド長なのに知らなかったのか?」

とコーデリア。そうだよな。ギルド間紹介とは言え……ここは魔族の土地。すぐにバレるとも思ったんだが。ガーバルフでは父さんと親子であることをすぐ勘繰られるし。


「……ユリアンさまはいつも気高くご自身の弟御を語っていらした」

え……?それマジなの?今も欲望垂れ流しなんだけどなぁ……?


「でも……名前がリードキュンって……」

それは単なる兄ちゃんが呼ぶ変な俺の名前の接尾語だ。


「苗字も違うじゃないか」

「両親離婚してるからな」


「あ゛――――――っ!!!ぼくの憧れのユリアンさまぁ――――っ!!」

ほんっとすまん……弟としてこの残念な兄を謝罪しよう。むしろ狂わせたのは俺か。両親の離婚によって離れ離れになったことでさらに悪化したのである。このブラコンは。


「それより兄ちゃん。俺が綿花に会うの、そんなにダメ?」

「え?」

「ギルドを通して綿花の見学申請してたんだけど……ダメ?」

「リードきゅんと綿花……リードきゅんと綿花の共演……萌えええええぇっ!!!」

兄ちゃんが鼻血を垂れ流し崩れ落ちた。多分これOKだな。多分これOKだ。


「つーか、何で兄ちゃんの許可が必要だったんだ?レオンハルト」

「呼び捨てか貴様」

「あ、レオンハルトさん?」

ごめん、ある意味残念なツンデレイケメンだったからつい。


「リードきゅんにさま付け……?」

その時兄ちゃんがカッと片目を見開く。何か仮面の奥の目まで光ってない?


「申し訳ございませんでしたユリアンさま!レオンハルトでいいです!!存分に呼び捨てにしちゃってください!!」

「……まぁ、レオンハルトが言うのなら?」

「ふぐっ」

何か悔しげだけどな。


「それと先程の話だが……お前は知らなかったのか。まずぼくは商業ギルド長でもあるが軍属だ」

え……魔王軍ってこと!?


「無論魔王軍の権力を商業ギルドに行使することはない。そんなことをやれば世界中の商業ギルドから非難されるからな。魔王国の貿易にも影響が出る」

まぁそれもそうか。


「ぼくはどちらかと言うと中継ぎのようなものだ。ぼくがいることでもしもの時の警備隊制や緊急時に軍に協力を要請できる。綿花は国の指定保護生物。冒険者を雇うにも信頼のおけるものでなくてはならないし、商業ギルドの用心棒では手が回らないことがあるからだ」

国や世界が違えば商業ギルドの在り方も色々か。


「そしてその魔王国の商業ギルドを取り仕切るのがユリアンさまでぼくはその副官のひとりを務める」

ひとり……ってことは兄ちゃんはほかにも副官が……?まぁレオンハルトはこちらの仕事もあるから分担しているのかもしれない。

てか……。


「兄ちゃん、魔王国の商業ギルド束ねてるの!?四天王なのにさらに商業ギルドまで……」

「ううん、元々は逆だよリードきゅん。おにーたん元々魔法が上手かったけど研究で研究室に籠るのは無理だったからいろんなところに行ける商業ギルドに属してたんだ」

「……兄ちゃんも商人だったんだ」

いや、今もか。兄弟で同じ道を歩むとはな。


「でもそんな中で魔王さまにスカウトされて四天王も兼務してるんだ」

つまり本業はこっちみたいなもので四天王が副業……?普通逆な気もするけど、でも兄ちゃんも同じく商人と言う事実はちょっと嬉しいかも。


「それでリードきゅんは綿花たんたちに会いに来たの?」

「うん、そうだけど」

綿花……たん?


「おにーたんは?」

「いや会えればいいなぁとは思ってたけど」

直接の目的では……。


「リードきゅん……しゅきっ」

いや……聞けよ。まぁそんなポジティブなところが兄ちゃんのいいところかな……?病むと途端にデストロイヤー化するけど。

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