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【22】ママさんバレー部


――――冒険者ギルドに入ってみて驚いた。ホールに集まる彼女たちはファンタジー異世界の魔女みたいなローブを着ている。

多分……こっちの世界でも魔女だろう。俺の母ちゃんも外出時はおんなじような格好をしてた気がする。そして人間もいれば魔族もいるが……みな仲良さそうだ。それにそれよりももっと重要なことがある……それは……っ。


「美しい」

何てことだ……俺は旅の途中で何と素晴らしい出会いを……っ!

「卓越された熟女み!人妻感!強靭な上腕二頭筋、さらには生き生きとしたその表情も……っ。ふ……っ、素晴らしいな」


「……アンタ……分かってるじゃないのさ」

魔女たちのひとりがこちらを振り向く。


「今時の若者にしてはやるねぇ」

「アンタ気に入ったよ!」

「名前は?」


「リードです」


「リードか」

「かわいいねぇ。その腕章商業ギルドかい?」

「最近入った子かい?」


「いえ、旅の途中に寄っただけなので、これは単なる臨時のお使いです。でも……旅の途中であなたたちに会えて良かった」

やはり旅はするものだ。世界にはこんな素敵な出会いがあるのだから……!


「なぁ……ブレイク兄さん、その、私の目には魔族の御仁はリードの好きそうな熟女に見えるが、人間の御仁は……その、男性に見えるのだが……私の破損した男女識別機能のせいだろうか」

「いや、コーデリア。そのひとたちは男だと思うぞ」

「そうね、男よあのひとたち」

こらぁっ!!コーデリアはともかくブレイクもマキナも失礼だろうがぁっ!!

そして即座にギルド内の職員や冒険者たちが血相を変えて駆けてくる。


「ダメだ!」

「それは禁句だ!」

「彼ら……いや彼女たちはツナードのママさんバレー部だぞ!!」

え……?バレー部?ママさんバレー?


「バレー、やってるんですか?」

確かにその卓越された上腕二頭筋で繰り出すレシーブやサーブはすごそうだ!


「まぁね」

「今度アンタも見に来る?」

「私らはどう見たって立派な女子じゃないか。いつもは袋叩きにするところだが……今日は気分がいいからね。特別に許してあげるよ」

その言葉にギルド職員や冒険者たちがホッと緊張の糸をほどく。


「すみません。コーデリアは今男女識別研修中なもので。ブレイクはくまちゃん大好き花の16歳なので」

「あら……そうなの?お嬢ちゃん、私たちは全員女よ!覚えといてね」


「うむ……!覚えたぞ!」

「え?いいの?それ覚えさせて……。と言うかリードが熟女マダム認定するなら…その、既婚者ってことだよね。パートナーは男と女どっちなんだろう」


「こら、だまらっしゃいブレイク!そんなデリカシーもプライバシーもない質問、女性に投げかけちゃダメでしょうがっ!おやつのくまちゃんクッキー抜きにしますよ!」

「ご、ごごごごめんなさいリードさまぁっ!!くまちゃんクッキーくださぁいっ!」

よし、幼馴染み遣いなら俺に任せておけばいいんだよ。


「分かったのならいいんだ。彼女たちは全員立派な熟女マダムだからな」

姿かたちが全てじゃない。心がマダムなら……全員マダムさ。



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