【2】商業ギルド
――――ルフツワの街までの道のりはマーサたちのお陰で快適な乗り合い馬車だった。街まで行く夫人たちと和やかにしゃべりながら楽しくたどり着いた。
「商業ギルドに行くの?頑張ってね」
「えぇ、ありがとうご夫人」
ご夫人たちに手を振り、俺は商業ギルドを目指す。
しっかしおっきい街だ。村とは大違いだな。数年前に旅立ったブレイクも同じことを思ったのだろうか?
幸い街中に地図があるのでそれを頼りに進む。でも現在地マークがないのが少し不便だ。現在地マークのありがたさを身に染みて味わった。
「あの、ここが商業ギルドですか?」
「あ?何だお前。ここはお前みたいな田舎者が来るところじゃない」
商業ギルドの用心棒と見られる男が告げる。うぅ……口悪いなぁ。田舎では雑魚だが都会では田舎者も称号に加わるのかよ。あ、雑魚はジョブでもあるのだけど。
「いや……俺商業ギルドに登録したいんすけど」
「紹介状は?」
「ないです」
「なら帰れ」
くぅ……っ、もう大人なのに門前払いとは。
「ちょっと待ちなさい。いきなり門前払いだなんてダメよ」
その時俺たちの間に割って入ったのは……なんと。
「ひ……人妻熟女!!」
既婚か未婚か……あまり触れすぎるとセクハラになるからいけないが。俺は熟女ならば即座に既婚か未婚かが判別できるのだ。だが未婚が悪いのではない。人生の選択はひとそれぞれ。俺のストライクゾーンが人妻……マダムと言うだけだ。
「こ、この男は危険だ!クズだよギルド長っ!」
用心棒が叫ぶ。
俺は雑魚だがクズにはならねぇっ!!
「あなたのような素敵なマダムが……このルフツワの街の商業ギルドのギルド長……!」
まさかマーサ……俺への紹介状を出さぬよう懇願したのは……俺の心がギルド長に移るのを危惧していたのだろうか?だが安心してくれマーサ。俺は常に全ての熟女マダムを愛している!マーサたちが今回街までのゴルゴルを出してくれたのはそんな俺の心を見抜いていたからなのだろうか。やはりマーサは素敵な熟女マダムだな。
そしてマーサもマリッサもローサもみんな……そしてギルド長も……。
「俺、あなたの下で働きたい」
「……そ、そんな……その、私もうおばちゃんだし……」
「それが何です!」
「え……っ」
「あなたはとても美しい。そしてこんな大きな街のギルドを率いる長だなんて憧れます」
「そ、そこまで言われるなんて……初めてよ。ただでさえ女性のギルド長だからとか言われるのに……憧れる、だなんて。その、早速登録手続きをしましょうか……」
照れてるギルド長、かわいいな。仕事のできるクールビューティなのにかわいらしい瞬間にキュンとしていまう俺の心。
「はい、ギルド長。ついていきます」
「え……その……普段は私が登録手続きをするわけじゃないのだけど……今日だけは、特別……」
「ギルド長!」
「……マリアンでいいのよ」
「ギルド長……!いや……マリアン」
マリアンの手を取り両手で握る。マリアンの頬が桃色に染まる。
あぁ、まさか街でもこんな素敵な熟女マダムと……マリアンと出会えるなんて。
「……き、貴様っ!ひとの母親に何してんだぁ――――――っ!!!あと呼び捨てで名前呼ぶなぁっ!!」
え……?あれ?この用心棒、マリアンの息子?
何かデジャヴなんだけど何だったっけ?
「もう、大きな声で怒鳴ったらダメよ、アーノルド」
「で、でもおふくろ……っ」
「……こんなに褒められたことなんて……お父さんにもなかったんだもの」
旦那さんは恥ずかしがりやかな、それとも褒め下手なのかな?
「だからその……あなたは」
「リード・ノーム。リードと呼んでください」
「えぇ……リードくん。こんな若い子に褒めてもらえるだなんて……ドキドキ、しちゃう」
「おふくろおおおおぉ――――――ッ!!!」
アーノルドの絶叫が響く。アーノルドったら20歳過ぎてるだろうに……遅れてきた反抗期かな?