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【13】鉄鋼都市のギルド長



――――鉄鋼都市ミケホ商業ギルド。


「わっ、魔王だ」

「ほんと?マジで?」

やっぱり周囲に驚かれている魔王ダークドラグーン。


「うむ、魔王であるぞ!しかし今は休暇中の身……気軽に接するがいいぞ!」

いや、それは……どうだろう?しかしながらそのフレンドリーな魔王スタンスは……嫌いじゃないな。


「それとリードたちはここに用があったのだろう?」

「あ、そうでした。あの、俺たちルフツワの街の商業ギルド長マリアンの紹介で来たんですが」

紹介状を差し出せば、ギルド職員が驚いた様子で内容を確認する。


「あぁ、研修の……!でも君……魔王引き連れてくるとかすごいね」

「……いや、成り行きです」

何か恐縮されてしまったのだが……。


「そうだ魔王、実はここまで来る荷馬車でくまちゃんをいくつか作ったのだ。一匹いるか?」

「なんと……っ。聖女はくまちゃんを作れるのか。この子をくれるのか?うむ、大切にしようぞ」

コーデリアが思い出したように差し出したそのくまちゃんを魔王は笑顔で受け取っていた。


「あの魔王の笑顔を見てください。魔王は……将来有望な顧客……っ」

「……あ、っぽいわ」

どうやら魔王への畏怖よりも商魂が勝ったようである。さすがは商業ギルド。みな生粋の商人だ。


「ギルド長でしたら中に。魔王四天王アダマンタイナさまもご一緒なのでお伺いを……」


「ならば心配いらぬ。我も行くと妻に伝えてくれ」

「びくっ。あ、承知いたしました」

やはり魔王、迫力が違うのだが応じた彼も生粋の商人。商魂で何とかさらりと返している。

あれ……?そのアダマンタイナさんって……魔王の奥さん!?


奥さん魔王四天王かよと驚愕しつつも……こうして俺たちはギルド長の元へと通された。その中にはなんと……。


「なんて……素晴らしいっ」

魔族角の人妻熟女とクールビューティな熟女未亡人がいたのである。恐らく魔族角の方がアダマンタイナさん。魔王の奥さん。人妻熟女。

紫のロングヘアーに黒い角を生やしたアメジストの瞳の美女でメロン級巨乳だ。


そして隣のクールビューティな人間の女性が……商業ギルド長!?つまりマリアンとは女流ギルド長仲間っ!

そしてダークレッドの髪に切れ長のオリーヴグリーンの瞳。服装は異世界ファンタジーにある布面積の少ない装備だが、しかし下手に若作りと思われない上品さをあわせ持つ素晴らしい装い。俺は……なんて素晴らしい未亡人熟女と出会ってしまったのだろうっ!


「ふむ……お前たちが研修に来たリード・ノーム、それから同行者の勇者ブレイク、聖女コーデリアか。魔王陛下と来られたのは驚きだが……ふん、旅の疲れか?ここ、鋼鉄都市は坂道や階段も多い。若い新米商人とあれば自らの脚で歩くことも大切だ。都市間移動で疲れていれば研修など持たぬぞ」

そうオトナかわいくクールビューティに俺たちを心配してくれるだなんて。


「いや……その、多分リードは疲れとかそう言うのでは……これはもはや習性と言うか……」

「不治の病です」

おい幼馴染みと近所の妹枠。それはフォローしてんのディスってんの。


「ふむ……?」

「ほら、ウルリーカちゃん。名前を聞いた時にもしかしてと思ったけど……顔立ちを見て納得したわ」

と、アダマンタイナさん。どうやらギルド長はウルリーカさんと言うようだ。

しかし……名前に顔立ち?


「あなたはジェイドさんによく似てるのね」

そうアダマンタイナさんが微笑む。いやー……その。


「お……親父と比べられるのは……」

「……そのっ。ごめんなさいね。そうよね……親と比べられたら辛いわよね。リードくんはリードくんよ」

しかし瞬時に悟り励ましてくれるこの包容力よ。


「いえ、俺もつい。でも……」

俺はゆっくりと立ち上がりアダマンタイナさんの手を握る。


「あなたの優しさに惚れました。アダマンタイナさん。いや……ぼくは……アダマンタイナと呼びたい」

「……まぁっ!でも……ダメよ。そんな風に呼んだら部下たちが発狂しちゃう。みんなと同じようにアダマンタイナ『姉さん』と呼んでね」

「はいっ!アダマンタイナ姉さん!」

「ふふっ、素直でイイコね」

あぁ、アダマンタイナ姉さんの褒めてくれるその笑みめちゃくちゃいいっ!!


「リードってたまに一人称が『ぼく』になるけど」

「その前に魔王はいいのか?リードの暴走」

後ろからブレイクとコーデリアの声がする。そうだったっけ?俺たまに一人称『ぼく』になってた?

「うむ……ジェイドで諦めたであるぞ!」

ふ……蛙の子の親も蛙……決して逃れられない運命である。


「だけど親父は関係ない!俺は……俺は俺としてアダマンタイナ姉さんを推したい」

「ふふ、若い子にそう言ってもらえるなんて嬉しいわ」

あぁ、アダマンタイナ姉さん……最高だ。特に笑顔がかわいい。美しい。周囲に慕われているのだろう性格の良さが滲み出てる!


「そう言うことだから、ウルリーカちゃん」

「……まぁ、元気そうなら何よりだ。改めて、私がここミケホの商業ギルド長ウルリーカだ」

「……ウルリーカさん!」

「……マリアンから聞いているが、私のことは(あね)さんと呼ぶように。特にガラの悪い用心棒連中が発狂するようにな」

それはつまり……呼び捨て禁止令!?しかしながら……。


「姐さんなんて、かっこいいです」

それはつまり愛称的な呼び方を許可されたと言うこと!それはファンとしての名誉に他ならない!


「う……あの、その、そんなにぐいぐいと来られたら……いや……気を取り直して、ギルド内を案内する!ギルドの施設にはいろいろあるからな。少し歩くぞ」

「はい、姐さん!!まだまだいけます!」

何だろう……姐さんには類いまれなるギャップ萌え要素を感じるうつぅっ!


「ではアダマンタイナ。夫氏とともに少しくつろいでいてくれ」

「うん、行ってらっしゃい」

「うむ。我はここで妻と待っておるぞ」

俺たちは魔王、アダマンタイナ姉さんと分かれウルリーカ姐さんと共にギルド内を案内してもらうことになった。


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