表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/83

【11】勇者と魔王が手を取り合う時、世界は開かれる!


――――鋼鉄都市ミケホ

鋼鉄と言う名に反してどこかかわいらしいと言うか美味しそうな都市である。


「鋼鉄都市……か。鉄鋼団地みたいなのをイメージしていたんだけどな」

確かに金属設備などは見かけるが……街は明るくメインストリートにはたくさんのお店や楽しそうな人通りである。


「鉄鋼……団地?よく分からないが、ミケホは周辺都市との共存のため、環境問題に真摯に取り組む最先端環境配備都市と言われている……と案内板に書いてある」

と、コーデリア。確かに街に入った際の案内板確認は大切だな。RPGで何気なく読み流していた看板。あれって現実ではめっちゃ大事じゃん。もしかしたら看板には駅の案内板のような地図がついているかもしれない。少なくともこの世界では大きな街や都市には案内板があるっぽい。ドンサ村は……そもそも観光客はほぼ来ないし小さいから案内板なんてないけど。商店の場所を聞きたきゃそこら辺の村人AやBに聞けば分かる。


「名物はホットケーキだそうだ。食べたいな」

マジで名物はホットケーキ!


「いいね。旅の途中は甘味なんて許されなかったけど……あ、マップインストールっと」

ブレイクがしれっと案内板のQRコードをステータスの通信アプリで読み込んでいた。うそぉっ!!QRコード読み込みできるのこの世界!?


俺もやっとけば良かったなぁ。まぁいいや、俺もブレイクの真似をしてQRコード読み込みっと。前世現代スマホ使いをナメるなよっ!これくらいは朝飯前だ。


「あ、リード。因みに現在地設定するとステータスのマップ画面に現在地が出るよ」

「マジでぇっ!?」

さすがはブレイク。俺の求めているものを即座に……だてに幼馴染みはしていないってことか。


「ええと……取り敢えず商業ギルドに行くのだったな」

「あぁ、コーデリア」

マップ上で現在地設定。それから……。


「マップに向かって目的地を言うと目的地までの道順を載せてくれるよ、リード」

「マップナビ管理かよっ!」

「俺も旅に出てから知ったよ。ドンサ村だと使わないから。あ、狩りに出る大人は使うかな?探索もできるから」

すげぇ……この世界のハイテク、ちゃんと地球の現代スマホっ子に対応してくれている。まさか……俺の100均スキルもこの世界に地球……日本の100均文化を根付かせようと……!?いやでもなら何で俺のジョブは雑魚なんだか。女神ー、転生するのはいいけど何か解説してくれよ。あれ……?そう言えば解説……解説。何か気になるけど、まぁいいか。


「取り敢えず商業ギルドに行こうぜ」

「あぁ」

コーデリアたちとギルドに足を向ければ、かわいらしい雑貨屋が目に入る。コーデリアの目が自然と向いてしまうのは無理もない。クラフトに使えそうなものもあるようだしな。


「挨拶したらここに……」

そう言いかけた時だった。


「……あの角……魔族のひとかな?」

人間の土地に珍しい……少なくともドンサ村で見かけることはほぼなかった。……いや、昔は……いたけど。今はもういないからな。


「あぁ、魔王だぞ」

「へぇ、魔王かぁ……ってええええぇっ!?」

コーデリアの言葉に度肝を抜く。いや、え、魔王?本当に?そしてコーデリアの言葉に魔王が振り向く。黒い長髪に赤い瞳、金色のいかにもな魔族角の……ものっそいイケメンだぁっ!!

古今東西……イケメンの魔王と言うのは敵役であるがゆえに人気が出たり、はたまた仲間になってヒーローやヒロインよりも人気が出たりするのがテンプレなのである。


やっぱこの世界の魔王倒さなくていいパターンでは?たとえ前者だったとしてもその魔王を倒したら勇者は魔王ファンへの謝罪会見をしなくてはならなくなる。


「む……?その顔……聖女コーデリアと勇者ブレイ……」

魔王がコーデリアとブレイクを見、硬直する。それは多分コーデリアたちが聖女と勇者だからではないような……。


「そ……そのかわいい、くまちゃん……っ!」

今魔王からあり得ないワードが飛び出なかったか?

「……魔王、まさか、分かるのか!?」

そしてブレイクの腕の中には先ほどコーデリアと共にあげた宝物のくまちゃんがある。


「まさか勇者ブレイク……そなたもか」

「あぁ、魔王……俺たちは勇者と魔王。相反する存在だ。けれど俺たちは……手を取り合える」

ブレイクと魔王は自然と互いに手を差し出し、きつく握手を交わす。


世界の平和がくまちゃんでいいのか。いや、くまちゃんかわいいからくまちゃんを守るための平和でもいいけど。そもそもこの世界、元々平和だったのではとも思うけど。


「魔王はガタイこそいいが可憐な乙女だったのだな。ぐす……っ。感動した」

「……コーデリア、魔王は男」

さっき俺の脳内解説でも言ったと思うけど、男。


「あと多分既婚者だぞ」

人妻熟女を見分けられる俺だ。彼女らの夫氏が分からずどうする。魔族ってのは寿命200歳ほど。成人までは人間と成長速度が変わらないが成人すると成長が緩やかになり青年期が長い。もちろん18歳くらいの幼妻もいるかもだが……あの魔王の奥さんは……。


「奥さんは……絶対に人妻熟女だ!」

「ものすっごいどうでもいいぞそれ」

ぐふぅっ。でもなぁ、だけどなぁコーデリア……。お前まさか魔族の男女の区別つかないとか言わないよな?メス犬猫を全てオス犬猫と間違えていたのは単なる動物相手だとかそう言う理由じゃないとか……言わないよな?

近所のお兄さんは近所の妹枠の男女区別能力が心配です。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ