1
2月にリーディングウィークと呼ばれる休みがあり、私はその期間中に留学先のエドモントンからトロントに旅行することにした。エドモントン国際空港からトロント・ピアソン国際空港へ飛行機で行く。エドモントンはカラッとした天気だったけれど、トロントに着いたら雨が降っていた。まるで東京に来たような気分だったのだ。
空港からバスに乗り、それから地下鉄に乗り換えてダウンタウンに向かう。最寄駅に到着してから、地下鉄を通り抜けるのに苦戦した。目の前にバーのようなものがあるのだけれど、それにキャリーケースをぶつけてしまったのだ。ゴンという大きな音だけが響き渡り、穴があったら入りたい気持ちになる。スーツ姿の優しそうな男性がそれを見かねて、私のスーツケースを階段を上がるまで持っていってくれた。私がお礼を言うと、彼は急いでいるのかその場から立ち去っていく。名前くらい聞けば良かったという気持ちだった。
それからチェックインしようとホテルに向かう。確かに予約完了メールは受け取っていたけれど、フロントで
「予約されてません」
と言われてしまった。予約完了メールを見せながら
「住所あってますよね? 予約されてないってそんなことあるんですか?」
と言うと、フロントのスタッフさんは
「ごめんなさい、私たちのミスでした」
と返す。そういうわけでホテルは確保できたので、宿無しにはならなかった。