期待
春の陽気が漂う4月のある日、私は何気なくスマートフォンでSNSをチェックしていた。すると、Deep Rookiesの投稿が目に飛び込んできた。
「春の新入生歓迎ステージ、無事終了しました!今回は4曲演奏させていただきました。」
投稿には、ステージ上で演奏するバンドの写真が添付されていた。新ボーカリストの安藤さんを中心に、メンバー全員が生き生きとした表情を見せている。
セットリストを見てみると、やはり有名で親しみやすい楽曲が並んでいる。
1. Bon Jovi 『Livin' on a Prayer』
2. Journey 『Don't Stop Believin'』
3. Queen 『We Will Rock You』
4. Queen 『Don't Stop Me Now』
そして、4曲演奏できるということは、彼らがBランクに昇格したことを意味する。応援しているバンドが認められたことに、嬉しさがこみ上げてきた。
『We Will Rock You』を見て、思わず笑みがこぼれる。きっと会場中の新入生を巻き込んで、あの有名な足踏みと手拍子をさせたんだろう。目に浮かぶようだ。そして、『Don't Stop Me Now』でフィニッシュとは気が利いている。アップテンポな展開で会場の熱気をそのまま持続させたに違いない。見事な構成だ。
コメント欄を覗くと、新入生らしき投稿が目立つ。
「かっこよかった!サークル入ろうと思います!」
「ボーカルの人の歌声に鳥肌立ちました」
「We Will Rock Youの時、会場中が一体になって最高でした!」
「最後の曲のギターソロ、鳥肌立ちました!」
どうやら、新入生確保にも一役買ったようだ。投稿の最後には、「6月のコンテストに向けて、さらに練習を重ねていきます!」とあった。
私はすぐに村上にメッセージを送った。
「Deep Rookies、いい感じだぞ。6月のコンテストも、一緒に見に行かないか?」
しばらくして返信が来た。
「俺も見た。We Will Rock YouからDon't Stop Me Nowへとはうまいな。もちろん、一緒に行こう。楽しみだ」
スマートフォンを置きながら、私は6月のコンテストへの期待で胸を膨らませた。彼らがどんな演奏を聴かせてくれるのか、今から待ち遠しい。学生たちの熱気に包まれたステージを想像すると、自分も若返ったような気分になった。