⑤ “西側諸国”として日本が存在するためには?
筆者:
ではここでは、日本の世界における立ち位置について見て行きます。
皆さんもご存知の通りウクライナ支援をしているところから見ても、否が応でも西側陣営にいます。
本当は地理的な状況から中立的立場で客観的に分析する立場でいたかったですけどね。
しかしながら、今現在の所ではその“西側諸国“の地位すら危ういのです。
質問者:
何がどう危ないのですか?
筆者:
日本ではようやくセキュリティクリアランスの拡大の議論が始まりそうです。
アメリカは色々な種類や部門で100万人ほどいるのですが、日本は僅かな人数(今も、特定秘密保護法に基づいて3000人ぐらいはいる)しかいません。
そして、アメリカに見合うだけの人数を確保できるのか怪しいのです。
※セキュリティクリアランスとは政府が重要な情報を伝えても、外に漏らしたりしないというお墨付きを与える制度のことです。
質問者:
どうして人数確保が怪しいのですか? とりあえず法律で制定してバンバン認めて行けばいいだけなのではありませんか?
筆者:
ところが人選が本当に難しいのです。特に中国との繋がり(買収されているか)どうかについて判断することは困難を極めます。
実際に日本は今、世界的に見たら低賃金の“やりがい搾取”状態ですから、それに付け込んで中国が「情報を抜き取れば丸々万円払うアル」などと言って日本人を買収していきます。
社員がセキュリティクリアランスを取得するには、会社としての情報の保全体制が厳しく求められます。
情報をしっかり管理できるのか、会社が中国と繋がりが無いのか様々な視点で注意が必要なのです。
更に政治家でも中国と繋がりがある方がいらっしゃるのであらゆる角度から見て行く必要があります。
このように、日本企業や日本人と言えど情報漏洩の観点から安心できないのです。
ですから慎重にセキュリティクリアランスの認定を行うべきなのです。
質問者:
なるほど、「安い日本」の弊害や海外との利権がこんなところに出てきているのですね……。
筆者:
ただ勿論、何もしないよりははるかに良いです。少数であっても各部門ごとに指定していかなくては本当に置いていかれます。
西側にいながら西側に相手されないという状況が最悪ですからね。当然、中国やロシアには相手にされませんから資源も入りませんしね。
セキュリティクリアランスの前段階として23年7月23日から先端半導体の製造装置23品目について、政府が輸出管理の仕組みが整っていると認めたアメリカや韓国など42の国や地域への輸出よりも、 中国などに輸出する際の手続きが厳しくなり、毎回、経済産業大臣の許可が必要となる制度が始まりました。
中国の半導体メーカーでは、全工程の製造装置の国産化率が10%未満にとどまっているというデータもありますから日本からの流出が防ぐことができれば中国の半導体生産能力が急激に下がっていくことになります。
最新兵器を製造できなければ中国の台湾有事での勝率が下がり、期間も短く済むのでとても重要です。
この点は久しぶりに評価できる制度です。
今後は日本のセキュリティクリアランスがちゃんと指定できるかどうかが対中国のデカップリングに対して非常に重要な位置を占めていることになります。
質問者:
そのほかで西側諸国の立場でい続けるために重要なことはありますか?
筆者:
とにかく、BRICS諸国の解体をすることが大事です。
まず、重要なのは中東地域です。親日国家も多いので、BRICS通貨が出来たとしても値段を吊り上げられないように上手い事交渉することも重要でしょう。
ただ、この間の岸田首相の中東訪問(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール)でも“確認”を行っただけでイマイチ何の進展もありませんでした。
今現在、中国の影響力が中東でドンドン強まり“原油を買い負ける”と言う可能性があるのに、今の状況だけを見ているのではお話にならないと思うんです。
どうにも“アメリカのペット”と言う感じで舐められている印象すら受けたんですよね。
今の日本では正直、外交の自主性を感じられず、“これならアメリカと直接交渉した方が良いや”っていう状況じゃないかとすら思えるんです。
質問者:
何だか折角現地に行ったのに電話会談でも良さそうなことばかりでしたよね……わざわざ会いに行く理由を感じさせません。
筆者:
またインドが一番交渉で来そうな大国ですが、のらりくらり交わされそうな感じがします。
日本が2030年までに官民で750億ドル(およそ10兆円)以上をインドのインフラ投じるようですが、どうにも日本側のメリットが見えません。
質問者:
いやほんと、お金を出すなとは言いませんけど、何のメリットがあるのか。日本にどういう効果があるのかはっきりさせて欲しいですよね。
結局、一般国民に待っているのは増税ですから勘弁して欲しいです……。
そうした、原油の問題もありますが、①では日本の食料自給率が低いと言うことがBRICS新通貨が出来た際にリスクになるかもと言うお話でしたが……。
筆者:
これは本当に我々一般国民の生活に直結する深刻な問題なんですよね。
密かに肥料の問題が深刻で、尿素が37%が中国、リン酸アンモニウムは9割が中国、塩化カリウムの25%がロシアとベラルーシとかなりBRICSに依存しています。
飼料に関してはほとんどが輸入ですがほとんどアメリカとカナダから輸入なのでまだ大丈夫です。
しかし、肥料が入手できないと今の農業部門の食料自給率が保てなくなる可能性があります。特に日本が高い自給率である野菜80%、米が97%ですが、これも危ないのです。
輸入がストップしなくとも、野菜や米の値段がかなり上がってしまうことが想定されます。
いざと言う時のために家庭菜園でも良いので野菜を栽培して経験値を高めていき、今のうちから肥料を確保することが良いと思いますね。
質問者:
中々家族全員の野菜を家庭菜園で確保することは大変だと思いますけどね……。
筆者:
後は備蓄品を買うことをお勧めします。缶詰や水だけでなく、米や玄米では真空パックで買うこともできるので衛生面でも安心です。
野菜も観物になっているタイプなら保管が利きますので今のうちから大量購入していった方が良いでしょう。
最後に一般国民である我々が増税ラッシュの中でどう生きていくべきかについて考えていきます。