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② BRICS通貨が出来た際の影響

筆者:

 さて、ここからではBRICS新通貨が発行されるとどうなるかについて


 一部で言われている最悪のシナリオとしましては、BRICS新通貨が誕生すると基軸通貨がドルから移り、世界経済が大きく転換してしまうのではないか? と言われています。

 それに伴って起こる現象としては投資が撤退することによるアメリカ株が大暴落が起き、大不況が発生してしまうことです。

 そして、アメリカが弱くなったところを見計らっていわゆる“台湾有事”が起きてしまうのではと言われていますね。



質問者:

 とんでもなく怖いシナリオですが、そう言うことはあり得るのですか?



筆者:

 僕の分析レベルではありますが、実際問題としては限りなく低い確率です。


 現在のドルの国際決済高の比率としては23年6月の決済高としては過去最低レベルの42.0%と言うことで話題になっていますが2位以下を見てみますと

 ユーロ(31.3%)、ポンド(6.9%)、円(3.4%)。

 現時点でのBRICSである国のトップである中国の人民元のシェアは5位の2.8%でしかありません。


 つまり、ここで統合通貨を誕生させたとしてもせいぜい円程度の実力しか無い訳なんです。



質問者:

 それなら安心じゃないですか。むしろ何をそんなに警戒している方がいるのでしょうか?



筆者:

 ちょっと今までと違った通貨要素があるみたいなんですね。

 ニクソンショックまでは金本位制度など裏付け資産があることが大事だったわけなんですが、現在では裏付け資産と言うより“国としての信用”があることが貨幣としての価値の裏付けになっています。


 そんな中、BRICS新通貨は金本位制度のゴールドにプラスアルファをした制度を採用するのではないかと言われています。

 世界経済の拡大により、ゴールドだけでの紙幣発行量では限界があったので金本位制度が世界からほとんど消滅したのですからね。



質問者:

 一体、ゴールドに何をプラスアルファするんですか?



筆者:

 具体的には石油、石炭、レアアース、レアメタル、穀物などを原資にするとも言われているのです。


 今現在BRICSにはイランやアルゼンチンやアフリカの一部の国が新加入可能性もあるので、これらの国々も穀物や原油の資源大国でありますから、資源を持ち寄ればそれなりの原資になることが予想されます。


 更に中国がメインになると思われるので、中国のやり口として、

「欲しければ、BRICS新通貨で取引してね。何%か安いよ!」と言って一気に通貨使用料を拡大する可能性があります。



質問者:

 なるほど、今現在の通貨量ではあまり数が無くても、キャンペーンなどで一気に拡大する可能性があるんですね。



筆者:

 まぁ、いつまでも続けるわけにはいかないと思うので期間限定になるとは思いますけどね。


 ただ統合通貨を使うことにはデメリットもあります。

 というのも、特に中国は統制経済になっているので人民元のように新通貨を操作することは容易ではなくなります。

 また、中国はロイター通信の7月18日の記事によりますと

『国際金融協会(IIF)によると、中国の企業・家計・政府の債務総額が今年第1・四半期に国内総生産(GDP)比303%に増加した。前年同期は297%だった。


IIFは今週の報告書で「当局は(特に小規模企業向けの)シャドーバンキングを抑制しようとしており、非金融部門の企業債務は削減が進んでいるが、他のセクターの純借り入れにより、中国の債務総額は40兆ドルを超えた。これは世界の債務総額の約15%に相当する」と指摘。』


 と影ではGDP比率でも金額でも中国が世界一の借金大国である可能性もあります。この様に自国通貨建てでの借金なので、金額も隠すことができ、問題が表になっていませんが、統合通貨になると自在に国債を発行することは難しくなります。

 そうなると、中国としては苦しくなります。


 ユーロもその裏付けやコンセンサスの統一に約10年かかりました。統制経済国家が多い中で、中々コンセンサスの統一は難しいように思えます。


 また、各国は金本位制を守るため、厳しいルールベースでの経済運営に努めなければならないので今後新興国がBRICSに加盟していくことで物価の変動などが如実に影響してしまうことがあります。

 特にBRICSに加盟を希望しているアルゼンチンでは物価の暴騰が頻繁に起きていますから非常にリスクがあると言って良いでしょう。


 そのために、人民元やルピー、ルーブルなど自国通貨を廃止せずに別に統合通貨を作り、「BRICS版SWIFT」と言った形で外貨決済用にするのではないか? とも言われているんですね。



質問者:

 なるほど、共通の決済システムだけを新しく刷新して誕生させる感じなんですね。

ドルは準備金としてあるのが強さとしてありますから、そこをどうにかして崩したいわけなんですね。



筆者:

 決済システムの刷新だけでも結構意義があるように思いますが、これでは世界の構図としては変わりません。世界的な経済への影響は少なくなる可能性があります。

 と言うのも現時点でもブロック経済化が進行しており、投資が一気に動く可能性と言うのは低いからです。


 勿論最初の開始直後は勢いがあって、一瞬だけは資金が流れる可能性はあります。

 世界的に海外の投資家がアメリカ債を売っている状況でして、全世界のアメリカ債の保有量が減少しています。資金を今から作っている可能性があるんですね。

 ただ、短期的な投資を狙っているだけの可能性もあり、それも長続きするとは思えません。


 ※今現在でもデジタル人民元や、デジタルルーブルがゴールドを裏付け資産として存在しており、それらが統合されることが予想されます。



質問者:

 ならなおさら安全なのではありませんか?



筆者:

ただ共通決済通貨が出来れば、ロシアが人民元が余っている状況からより資金調達できる可能性が上がり、継戦能力が上がる可能性はあります。 


 ※ただしブリックス経済では最新の武器を調達することは出来ない。



質問者:

 戦争が長引いてしまう可能性があるわけですか……。



筆者:

 また、ひとつ気になるところがあるとするのなら、資源大国が集まっていることから、BRICS通貨の価値を高めるために、供給を絞り込み意図的に資源の価格を吊り上げて世界的な物価高を引き起こしてしまうリスクはあります。


 しかし、一時的な影響はあると思いますが、全ての資源国がBRICSに加入するわけでは無いので、限定的な影響にはなるでしょう。

ですが、資源の輸入依存度が高く、食料自給率が低い日本としてはその状況に陥ってしまった場合は苦しいことになるかもしれません。



質問者:

 日本は潜在的な資源国とは言われていますよね。レアアースが眠っていたり、地熱発電などが期待されてますけどなかなか前に進みませんからね……。

 短期的に見た場合は日本は危ないかもしれないと言うことですか……。



筆者:

 僕はその可能性もあると思っています。


 ただ、長期的に見た場合BRICS新通貨はそこまで伸びないのでは無いのかな? と言うのが僕の見解です。

 というのも、BRICSの中心である中国やインドについて不透明な点が非常に多いからです。

 次の項目では中国とインドの現在の状況について見て行こうと思います。

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