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お帰り転生―素質だけは世界最高の素人魔術師、前々世の復讐をする。  作者: 永礼 経


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第85話 秘密結社の起源

「ニデリック様、最近南のウォルデランの動きが少し不穏に見えます。どうやらあの者たちとの距離が近づいているようだという報告がありました」

ネインリヒはニデリックへそう伝えた。


 あの者たちというのはウォルデランを拠点としている闇の一党『シュニマルダ』のことだろう。


「ネインリヒ君。政府の高官クラスがそのものの誰か一人と出会っていたからと言って早計にそのように考えるのはよくないですね。ウォルデランは我が国メストリルの友好国です。安易に嫌疑を掛けるものではありませんよ」

ニデリックはふわりとたしなめる。


「ご存知でしたか」


「私の方の《《小鳥も》》そうさえずっていましたからね。しかし、あの国のそういうところは昔から変わりませんね」

そう言ってニデリックは目を細めた。



 隣国ウォルデラン王国はもともとはメストリル王国国王の系譜に属するものが古い昔に領地の割譲を受けて独立した国家だ。つまりメストリルとは姻戚関係にある。

 しかしその割譲の経緯が少々問題だった。

 その何代か前の国王に弟がいたのだが、これに付き従ったものたちが、なんと言えばよいか、平たく言えば当時の王国の闇の部分を担う集団だったという。当時はまだ現在のような「自由経済主義」という考え方が主流ではなかったから、各国はその領地争いを絶え間なく行っていた。

 その中で、秘密裏に各国の要人を殺害したり、捕らえたりしていたものたちだ。

 しかし、当時のメストリル国王はこれを持て余していた。その集団が王意にしたがわず勝手に行動することが増えてきたのだ。確かにその対象は的確であった。メストリルにとって邪魔な存在が次々と消えてゆく――。

 だが、こんなことがいつまでもまかり通るわけではない。いつかは報復を受ける時が来るだろう。

 そこで、国王はこの一派を王国から追放しようと考えた。しかし、あからさまに追い出すことは出来ない。そうして王弟に新国家樹立という名目でこの者たちを連れて領地の一部を割譲しそこに独立宣言をさせた。

 この王弟、なかなかの人物で、この闇の一党を自国の警備団へと昇格させ、表舞台へ引きずり出した。つまり、「栄誉ある王国兵団」という位置づけとなったのである。

 そうして一旦はこの問題に決着がついたように見えた。

 しかしやはりそう簡単には物事は運ばない。

 どうしても表の世界になじめないものもいるのだ。

 王弟、つまりウォルデラン国王はこの者たちに「仕事」を与えた。諜報部員だ。各国にこれらのものを飛ばし、情報収集に充てた。やはり闇に生きるものは一定数必要なのだ。


 しかし、もう時代は「自由経済主義」へと傾き始めていた。ヘラルドカッツでは早々にこの考えを取り入れカインズベルクは世界で最初の「自由経済主義」都市となった。当時都市に住んでいたものたちすべてに「自由出国権」を与えたのである。

 カインズベルクの税率はそれほど低くはない。

 初めのころは、どこへ移り住んでも捕縛されないという事に疑念を抱いていた都市の人民たちも次第に他の都市へ他の国へ移ってゆくものが増えてきた。

 カインズベルクの政策は「失敗」のように見えた。人民がどんどん流出してゆくのだからそう見えても不思議ではない。


 ところがだ。数か月後に面白いことが起きた。

 出ていったはずの人民たちがカインズベルクへ戻って来始めたのである。


 そしてその者たちは一様に、「新しい文化」を運んできた。

 

 こうなるとおかしなもので、カインズベルクに行けばいろいろなものが手に入る、そういう噂が世界を駆け巡った。まずは近郊のものたちが押し寄せ、つぎに隣国の貴族たちはこぞって、カインズベルクに新邸を建て始めた(これがのちにカインズベルク貴族屋敷群となる)。

 貴族が連れてくるのは商人たちだ。

 カインズベルクで一山当てようという行商人がまず集まりだす。ついで商人たち。


 瞬く間にカインズベルクは世界最大の人民を抱える巨大経済主義都市へと成長を遂げた。国家は当然のごとくその税収を回復させるどころか、あっという間に過去の税収を追い抜き国は富む。税が集まればまたそれを街道整備や宿場設置など、都市への人口流入を加速させるインフラの整備に充てた。


 各国もこれに遅れまいと次々に「自由経済主義」都市宣言を行うところが出てくる。

 領土争いなどという時間がかかる手法はあっという間に時代遅れとなった。そんな時代に、暗殺だのと言う古典的な手法はすたれていく一方だ。


 どうやってもその者たちが生き残る場所《闇》は限られてゆく。表へ出なければ生きてゆけない時代が到来したのだ。


 こうして一部の闇に潜むものたちだけが残った。その勢力はもう見る影もないが、いつの時代になっても闇の仕事がなくなるわけではない。かなり少なくはなったが、それでもそこでしか生きれない者たちも悲しいが一定数いるのだろう。


 この者たちはいつしか『シュニマルダ』と呼ばれるようになった。



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