表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お帰り転生―素質だけは世界最高の素人魔術師、前々世の復讐をする。  作者: 永礼 経


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

553/781

第553話 ヒストバーン国家魔術院の小瓶


 ミリアは王城を出て、開けたところに出るとすぐにべリングエルの背に跨った。

 そして上空へと舞い上がると、北へと針路をとる。


 舞い上がるときに、アシュレイ王子が馬に跨っているのが見えた。本当に追いかけてくるつもりのようだ。


「べリングエル、アシュレイ王子も追いかけてくるみたいだわ。こうなったら、迷宮ダンジョンを先行して、少しでも魔物を狩って置くしかないわ――」


 魔物たちは狩っても狩ってもまた湧いてくる。これは迷宮ダンジョンの仕様だ。

 しかし、狩ってから湧くまでの間にタイムラグがある。

 もちろん、どのぐらいの間隔スパンで、湧くのかは個体や迷宮ダンジョンによってさまざまだが、おおよそ、数分から数十分程度が相場だ。


 つまり、ミリアたちがあらかじめ狩って置けば、アシュレイ王子への脅威がやや抑えられるだろうということだ。


『まあ、そうだな――。あの男、それなりに強者つわものだとは思うが、さすがに『英雄王』とは比べるべくもない。少しでも負担を減らせれば、帰還率も向上することだろう』

と、念波で返すべリングエル。


 

 だが、あまりおしゃべりしている時間はない。北の森にあるという新生迷宮ダンジョンまではそれほど時間はかからなかった。


 この分だと、アシュレイ王子も(じき)に到着することだろう。



 二人は迷宮ダンジョンの前に降り立つと、ぽっかりと口を開いている洞穴を見る。周辺にはすでに王兵たちが陣取っており、一応、即時治療できるよう魔術師たちの姿もちらほら見えた。


「ミリア様! 遠路、わざわざお越しくださりありがとうございます!」


 その中から、一人の魔術師が進み出て、ミリアの方へと駆け寄ってくる。ヒストバーン王国の国家魔術院院長補佐官のテルスト・ジュロだった。このテルストと、ミリアはすでに面識がある。


「ジュロ補佐官、遅くなりました。なにか、新しい情報はありますか?」

「いえ、誠に恥ずかしながら、我々の力では、入り口付近の魔物を狩り続けることぐらいしか――」


「――そうですか、わかりました。では、すぐに救出に向かおうと思います」

「あ、ミリア様、それから、べリングエル様も。どうぞこれをお使いください――」


 そう言ってテルストが差し出したのは小さなガラス瓶である。


「――それは、当魔術院オリジナルの回復小瓶(ポーション)です。まずは一瓶、いますぐお飲みください。体力と魔力が回復するでしょう」


 ミリアはべリングエルに視線を送る。知っている間柄といっても、一応隣国の魔術院の用意したものだ。警戒しないわけにはいかない。


「――問題ない、いただこう」

と、べリングエルは即座にその瓶を飲み干した。


「――ありがとうございます、テルストさま、では――」

と、ミリアもこれを飲み干す。


 飲んだ瞬間から、効果があることが窺い知れた。体がぽうと温かくなり、疲れがスゥっと抜けて行く感覚がはっきりと感じられる。

 魔力のほうもみなぎってくるのがわかるほどだ。


(――これは、すごいわ! こんな純度のポーションが作れるなんて、この国の魔術院には錬成「3」魔術師は院長と補佐官のお二人だけだと聞いていたけど、優秀な人たちが集まっているのは間違いないわ)


「素晴らしい小瓶ポーションですね。おかげで疲れが取れ、魔力の補充もできました。必ず、アレスター卿を見つけてみせます」

「お褒めに預かり光栄です。あと、4本完成しています。一つは出来ればアレスターさまに。あとは道中お使いください」


 そう言ってテルストがさらに4つの小瓶ポーションをミリアへ差し出す。


 ミリアは、わかりましたと応えると、その小瓶ポーションをローブの中へしまい込む。


「さあ、いきましょう、べリングエル。ジョドにはもうしばらく休んでてもらいましょう」


 そう声を掛けると、ミリアは洞穴の中へと足を踏み入れた。



――――――



(しかし、まいったなぁ~)


 一人の剣士が、真っ暗な迷宮ダンジョンの中で途方に暮れていた。

 

 事の始まりは2日前のことだ。

 新生迷宮ダンジョンが発見されたとの報告と、国王からの探索命令を受けて、このへ迷宮ダンジョンへ進入したのだが、始めこそ、特に脅威になるような魔物はおらず、これなら冒険者ギルドの中級冒険者(=鉄級アイアン銀級シルバー)なら問題ないだろうと、そう値踏みしたのだが……。


(いきなりあんなのが現れるなんて、「初見殺し」もいいところだ――。しかも、ボス部屋じゃないってんだから、たちが悪いよな――)


 ソイツは迷宮の普通の場所(フロア)に現れた。


 大抵あのクラスなら、迷宮ダンジョンではボス部屋モンスターに相当するレベルだ。

 そして、どうやらこの迷宮ダンジョンには「ボス部屋」が存在していないような節がある。


 いや、「部屋はある」のだが、ボスがいないのだ。


 何とも、伝わりにくい言い方だった。


 つまり、「ボス部屋は存在しているのに、そこにボスの姿はなく、ボスは迷宮内を徘徊している」、ということだ。


 アレスターも二日間ただじっとしていたわけではない。

 一応今いる部屋の状況も調べた。その結果、ここが「ボス部屋」であり、この部屋の主こそ「アイツ」だという結論に至ったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ