表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お帰り転生―素質だけは世界最高の素人魔術師、前々世の復讐をする。  作者: 永礼 経


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

518/790

第518話 カインズベルクの最後の夜

「それで、クリストファーは?」

と、本題に入るキール。


 今日ここに寄ったのは、レイモンド院長と会談したことを報せるためだ。


「教授なら、今日は留守にしてるぜ? 隣国のキュエリーゼに出向中だ。今度、キュエリーゼにも電波塔を建てることになったんだよ。それの下見ってところだ。奥様のフランソワ様も一緒に連れ立っていかれたよ。本当にあの二人、仲がいいんだよなぁ」


 デジムの話だと、今朝()ったということらしい。キュエリーゼということは港町ローゼということだろう。カインズベルクからそこまでは馬車で3日ほどの距離だ。ということは、早くとも一週間はここに戻らないことになる。


 どうしてローゼかといえば、キュエリーゼの王都とローゼはひとまとまりになっているからだ。

 説明が上手くない。

 厳密には、キュエリーゼの王都の湾岸部一帯を『港町ローゼ』というといった方が分かり易いかもしれない。


「――そうか。なら、行った方が早いか――」

「追いかけるってことか? でも、街馬車じゃ追いつけないぜ? なんたって、教授せんせいのは王国御用達おうこくごようたしだからな?」


 デジムの反応は正しい。

 王国専用馬車は街馬車とは使っている馬も造りも違うため、速度が出る。そのことを言っているのだろう。


「――ああ、もちろんわかってるよ。だから、飛んでいくのさ。ドラゴンに乗ってね――」

「ドラゴン? え? お前、《《あの》》騎竜魔術師とも知り合いだったのか?」


「え? ああ、ミリアのことね。彼女とももちろん知り合いだけど、彼女に運んでもらうわけじゃないよ? 《《自前の》》ドラゴンがいるのさ」

「自前の、だって!? まさか、お前もドラゴンに乗るのか!? ――キール! 昔なじみのよしみだ、俺も乗せてってくれ!」


「え? でも、デジム、君はここで仕事があるんだろう?」

「ない!」

「え? ないの?」

「実は、教授がいない間は休暇を与えられたんだよ。戻ってくるまで一週間ほど休みにするからって――。でも、急に言われたって、どこかに出かける資金なんてねーよ! って、それでここの書庫でも漁って、次の休暇に行けそうな面白いところでも探そうかと――」


 行き当たりばったりで計画性が無いのも相変わらずのようだ。デジムの話によると、給金はしっかりと貰っているのだが、支給日までもてばいいと思って毎回使い切ってしまっているらしい。旅行に出かけるほどの資金を溜めておくなどということはしていないのだそうだ。


「だ・か・ら・さ! 俺もローベに連れてってくれよ? 帰りは教授の馬車で一緒に帰るからさ? な? いいだろ?」


 デジムを連れて行ったとして、何かメリットがあるのかはわからない。それに、勝手に連れて行ってクリストファーに迷惑にならないかとも思う。


「――クリストファーに断りもなく、一緒に帰るって決めちゃってるけど、それだと僕も連れて行きにくいね。あ、そうだ。帰りの馬車代は自分で稼ぐってのはどうだい? 向こうの冒険者ギルドで、依頼でも受ければ稼げるんじゃないの?」


「――わかった、それでいい。ローベに行けるなら、帰りは自分で何とかする。冒険者ギルドは登録外の者からも収集物《ドロップ品》を買い取ってくれるんだ。昔はそれで結構稼いだしな。ところで、キール、ローベまでは何日かかるんだ?」


 出発する日をいつにするかだが、ここヘラルドカッツでやるべきことはもう無いといえる。アステリッドたちが別行動しているから、それ次第ってところだ。

 彼女たちさえよければ、明日にでもここを発てる。


「ローベまではたぶん、半日ってところかな。朝発てば、昼過ぎには到着するよ。だから、稼げる時間は充分あると思うよ?」


「半日!? まじかぁ! オッケー、じゃあ、いつ出発する?」


「それについてだけど――。デジム、このあと時間あるかい? 僕の連れたちを紹介したい。その時にいつ出発するか、決めよう。もうそろそろみんなも戻ってくるころだろうから、これからメイリンさんの下宿に行くってのはどうだい?」


「メイリンさん! いいね! しばらく会ってなかったから、顔を見せるのもありだな?」


 こうして、二人は教授室をあとにし、カインズベルクの街へ出て行った。



 その後、メイリンさんの下宿へ戻ったキールとデジムはメイリンさんに事情を話し、夕食の準備をしてもらうことに。


 メイリンさんは、デジムの顔を見るなり、その頭をべしっと一発叩いた。


「あんた! たまには顔を見せなさいよ!? キール君みたいに違う国にいるなら仕方ないけど、あんたは、すぐそこにいるんでしょーが!!」


 と、目を吊り上げて言ったあと、さあ、早く入りなさい、今日の夕飯は期待しておきなさいよ? と、調理場に駆けこんでいった。


 デジムも照れくさそうに、おじゃましま~す、といいながら食堂に入る。


 そうしているうちにアステリッドたち4人も帰ってきて、互いに自己紹介することになる。


 昨日今日の「迷宮探索」で、何があったか、4人たちは多くは語らなかったが、「迷宮ボス」を攻略した褒賞として、ギルドからたんまりと報酬をもらったのだそうだ。


 キールは、心なしかアステリッドとランカスターやレックス、リーンアイムの距離が近づいた様子を見て、それだけでこの二日間に充分な意味があったのだと悟った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ