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お帰り転生―素質だけは世界最高の素人魔術師、前々世の復讐をする。  作者: 永礼 経


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第472話 アイツをここに置いている理由

「う~ん、困ったなぁ――。どうしようか……」


 キールは目の前の包みから、一本の「ほっとどっぐ」を取り出しながら言った。


 現在一行は、メストリル王立大学の『秘密基地』、つまり、デリウス教授の教授室に集結していた。


 一行というのは、キール、ミリア、アステリッド、ハル、ジョド、べリングエル、そして、リーンアイムの7人だ。

 執務室に7人は少し狭い為、応接室に集まっている。


「どうするって、ユニセノウ大瀑布のこと?」

とはミリアだ。


「うん、スポットの殲滅が『仕事』だって言ってたけど、よくよく考えたら、僕の周辺には魔術師ばかりで、戦士がいないんだよね」


「あ……」

と、ミリアが少し口を開いた。


「まあ、魔術師だけでも別にいいんだろうけど、戦士がいるといないとでは戦闘の安定度に大きく差が出るからね。出来れば戦士が最低でも2人は欲しい――」


 キールが言っていることは至極当然のことだ。


 竹の特産地『ブルーウォール』における魔族殲滅の時には、『英雄王』パーティの一員として参加していたし、エルレアのジダテリア山の時は、『翡翠』も一緒だった上に、エルルートの戦士団が付いていた。


 そして、ついこの間の「風穴」の時には、リーンアイムが魔族のほとんど全てを殲滅している。



「そんなこと、このわれがいれば一人で充分だろう。何を困っておる」


と、口を挟んだのは、リーンアイムだ。

 今さら言うまでもないが、ドラゴン族3人は『変身』によって、人の姿となっている。

 皆はテーブルの上の袋の中から一本ずつ「ほっとどっぐ」を取り分けたが、リーンアイム一人だけが、「ほっとどっぐ」が4本ほど入った()()()を一つ抱えており、そしてそのうちの一本はすでに半分以上食べ終えている状態だ。


「この我が元の姿に戻れば、魔族など束になっても――」

「あんなに大きな体に狭い洞窟とかで戻られたら、こっちが崩落に潰されるだろう!」


「あ、ほんとうですね? それはちょっと、いやですね?」

と、アステリッドが相槌あいづちをうつ。


 実はこの『変身』という術式も万能ではない。

 サイズや体型が変わることによるデメリットももちろんある。


 大雑把おおざっぱに言えば、まず第一に、魔力総量の低下だ。そして二つ目はサイズダウンによる身体能力の低下である。


 魔力総量も身体能力も基本的には「大きさ」に比例していると言える。

 これは単純な「物理法則」だ。


 大きい方が、パワーが大きく、容量も大きい。当たり前の道理だ。


「――ちなみにリーンアイム、お前って剣は扱えたりするのか?」


 と、一応念のためにキールはたずねてみた。もしかしたら、『剣士』としての能力も超一流だ、とかいう「設定」ではなかろうかと淡い期待を寄せてみる。

 が、返答はまさしく拍子抜け、期待に応えるものではなかった。


「剣など、持ったことすらないわ」

「だよね」


 それに、仮に「剣」が得意だったとしても、結局は「人一人ひとひとり」の域を超えることはできない。あの『英雄王』ですらパーティを組んで冒険をしていたのだ。『英雄王』のことだから、それはもちろん、『余興』という一面もあるかもしれないが、それ以上に、戦闘においてはかなり現実主義な『英雄王』が、ただの余興というだけでパーティは組まないはずだ。そこには、「一人には限界がある」ということをしっかりと認識している証左しょうさがある。


「それに、いつもみんなが隣にいてくれるわけでもないからね――。少し前からそれは考えていたんだ。僕もそろそろそういうものが必要かもしれないって――」


「そういうもの、ってなにさ?」

と、ハルが聞く。


「――パーティ……よね?」

と、ミリアが言った。


「うん。ミリアやアステリッド、ハルにもこのメストリルでやることがたくさんあるから、いつも僕と一緒に行動できるわけじゃない。そして、僕の知っている「戦士」は皆、かなり重要なポストに付いている人たちだったり、結構年上だったりして、やっぱりいつも一緒に行動するというわけにはいかない――」


 と、言っておいて、そう言えば一人だけ、いつでもついて来そうな奴がいたような気がする、とふと脳裏をよぎったが、いや、アイツも魔術師だったと思いなおす。


「――ジルベルトさん……、は、魔術師でしたね」

と、アステリッドが呟いた。


 キールは、

「アイツには言わなくていい。アイツが知ったら、仕事を放り出しても付いてきそうだし、第一、うっとうしい」

と、ぴしゃりと言う。


「ハハハ、ほんと、キールさんて、ジルベルトさんのことが苦手なんですね? まあ、なんとなく胡散臭うさんくさい人ですけど、とてもいい人ですよ?」

と、アステリッドがやや擁護する。

 ジルベルトとルドの関係を知っているアステリッドが擁護するのはわからなくもない。


「知ってる。だからメストリル(ここ)に置いてるんだよ。いざという時、アイツなら皆を守ってくれるから――」


 そうなのだ。ジルベルト・カバネラは相当強い。キールが()()()()これまでの「敵」の中で一番厄介で、強力な圧力を感じたのは()()()()()だ。

 だから、そのことは良く分かっている。


 普段は飄々として掴みどころもなく、いい加減で、自分勝手な上に、自信過剰な男だが、おそらく、総合的な「戦闘力」で言えば、『英雄王』や『四大魔術師』とまでは行かないものの、ウォルデランのハリーズさんや衛兵長のクリュシュナさんと比べても遜色そんしょくはないだろう。そこは、元シュニマルダであることに変わりはない。


「へぇ……、そんな風に思ってたんですね? ジルベルトさんが聞いたら、飛び上がって喜びそうですよ?」

と、アステリッドが真顔で言った。


「――い、今のは、言わなくていいからね、アステリッド!」


 慌てて口止めをするキールだった。

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