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お帰り転生―素質だけは世界最高の素人魔術師、前々世の復讐をする。  作者: 永礼 経


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第454話 リーンアイムとキール①

――小賢しい。それにしてもなんと数の多いことか。


 こやつらは新しい種なのか?

 それにしては少し変だ。何故かこ奴らに対して怒りが湧いてくる。ある日突然にこ奴らがこの場に現れた。

 そしてこ奴らが現われた後すぐに供物が置かれなくなったのだ。


 供物をささげていたものたちとこ奴らが、同種のものとはどうしても思えない。

 おそらくは、こ奴らが供物を捧げていたものたちを殲滅したのだろう。


――まあ、いい。その分の「対価」を結局は自らの命で支払うことになったのだからな。


 問題は「今後のこと」だ。供物から得られるエネルギーはもう期待できない。つまりは、供給源をどこかで見つける必要がある――ということだ。


 結局は外へ出て、新たな住処を探すしかないのか。


 

 そんなことを考えながら、リーンアイムは目の前に群がる者たちを潰し、喰らい、焼き、打ちのめしていた。

 こ奴らの中にひと際大きなエネルギーを持つ個体が存在している。それは明らかに異彩を放ってはいるが、リーンアイムから見れば、些細な差でしかない。


 しかし、こ奴らはいったいどうして急にここに現れたのだろうか、と不思議に思っていたのだが、その答えも戦闘が始まってすぐに理解した。


 このホールの片隅に、ぼんやりと光る魔素の集約を感じる。その場所が「門」なのだろう。おそらくはそこから現れたにちがいない。


 

 それからもう一つ。とうとう、ここに辿り着いたようだ。


 戦闘を始める少し前に、この「風穴」に忍び込んだ個体が一つあった。それもここへ到着したようだ。が、様子を窺っているのか、「通路」の出口で動かなくなっている。

 話が出来るのであれば話を聞いてから喰らうかどうかを決めるとしよう。



――今しばらく見物してるがいい。お前の番はもうすぐ回ってくる。


 そう思い、今は目の前のものどもを殲滅することに専念することにした。



――――――



 キールはホールを見下ろしながら、状況を整理していた。


 ホール全体におよぶ魔法感知のおかげで、出現ポイント(スポット)の位置もはっきり見て取れる。


 しかしこの中に飛び込んでいくのはなかなかに無茶と言うものだろう。


 見ている限り、ドラゴン族と魔族の者たちが敵対していることは明らかだが、敵の敵が味方だという保証はどこにもない。

 キールが仮にドラゴン族の加勢に入ったとしても、向こうからしてみればただの邪魔にしかならないと判断し、まとめて潰されてもおかしくないのだ。


 そんなことを考えながら、ホールの様子を窺っていると、魔族の個体数も随分と減ってきて、あと十数体と「階層主」を残すのみとなっていた。


 随分と減ってきている――。このままいけばもうすぐ終わるだろう――。


 そう思いかけて、すぐさまあることに気が付いた。

 

 それは、あのダーケートの「誘われの森」でのことだった。あの時キールたちは順調に魔物どもを殲滅しつつ目的の「竹」の群生地(ブルーウォール)を目指していた。

 そうしてあと少しで殲滅が終わると思った矢先、魔族どもが急激に溢れかえったことがある。


 『揺り返し』――。


 あの時キューエル・ファインがそう言ったことを思い出したのだ。



――この状況、あの時ともし同じなら、間違いなくそれが起きる?


 キールはそう予感した。


 ドラゴン族の個体は、ひたすらに魔族どもを殲滅し続けていて、『スポット』には目もくれないでいる。

 つまり、魔族どもの「出口」はふさがれていないままなのだ。


 そんなことを考えているうちに、魔族の残数はもう3~4体を残すほどにまで減っていた。


 このまま終わるのか――、とキールが思った矢先だった。


 「スポット」が急速に活性化し、魔素を放ち出したかと思うと、いきなりそれらが現われたのだ。


 その数、数十――。


 一瞬にしてドラゴン族を取り囲む緑色の小人たち。


 ドラゴン族の個体もさすがにすこし怯んだか、いや、単純に驚いただけかもしれないが、少し戸惑ったように見えた。


(『揺り返し』だ――。この場の密度が下がったことで、「スポット」が均衡を取ろうと新たな個体をうみだしたんだ――)


 こうなってしまうと、キールも手を出せない。今下りて行っても、一人でどうにかできる数ではないのだ。

 幸いドラゴン(あのひと)と魔族の間には圧倒的な戦闘力の差がある。

 『あの人』ならまたすぐに殲滅してしまうだろう。

 

 だが、それだけではおそらく「終わらない」のだ。


(やっぱり、「スポット」を破壊しないと――)


 おそらく『あの人』は気が付いていない。それが「元凶」であることに。


(僕がやるしかない――か)


 キールは意を決して、次の機会を待つことにした。


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