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お帰り転生―素質だけは世界最高の素人魔術師、前々世の復讐をする。  作者: 永礼 経


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第31話 就職活動ってどうやる?

(さあて、まずは、王国労働局とやらへ行ってみるか――)


 下宿宿を出たキールは、メイリンさんに聞いた方向へ向かった。

 町は朝の喧騒に見舞われている。

 行き交う荷物を山ほど抱えた行商人、カバンを背負って駆けてゆく学生、正装し身なりをきちんと整えた役人風のもの、開店準備をする商店の人々――。


 新しい朝が始まり、新しい出会いや新しい出来事が待っている、そんな風にキールは感じていた。


 この時代、世界情勢はかなり安定しており、道を行き交う人々にも活気があふれている。

 ヘラルドカッツ王国はこの世界においても結構有力な王国らしく、住人も多く、街の規模も結構大きい。前に住んでいたメストリア王国も結構羽振りがよい感じであったが、この国はそれを数倍も上回る活気があると、同じ王都の規模の差を見れば明らかだ。

 

 王国労働局は、カインズベルク大図書館からそれほど離れていない場所にあった。もしかして、ここも入場料とかいるのかな? と一瞬昨日の大図書館のことを思いだして戸惑ったが、入ってゆく人を見ている限りそんなものはないようだ。


 キールは意を決して、建物内に入る。入ったところはホールのようになっていて、一方向にカウンターが長く続いており、担当官が座っているようだった。

 反対側の壁面には何やらたくさんの貼紙があるようで、そこには数人の人たちが屯ってその掲示物を吟味している。


 キールはとりあえず、その掲示物を見に行こうと、そちらへ寄っていくと、その掲示物が何なのかをはっきりと認識する。


――これは、求人票だ……。


 そこには、なになに商店の従業員やら、なになに工房の職人やら、なになに事務所の事務員やらといった募集職種と募集人員、給与や休暇などの待遇が箇条書きにして書き出されていた。


――なるほど、ここで希望職種を探すわけか。


 掲示物を見るふりをして、まわりの者をしばらく観察していると、そのうちの一人が意を決したようにカウンターの方へ向かった。おそらく何か目当ての職を見つけたのだろう。

 横目でその者の動向を見ていると、カウンターの女性がなにやらその男に話しかけている。するとその男は、カバンから何か書類のようなものを取り出して、受付の女性に手渡した。


――何を渡したんだろう?


 女性はそれを受け取ると、カウンターから離れ、しばらくして、一巻のスクロールを男に手渡し、先にあずかっていた何かの書類をそのまま預かるそぶりをして、男と別れた。男の方はその後そのまま玄関口から出て行った。


(何か書類が必要なのか?)


 しばらく様子を見ていると、今度は同じように女性がひとり受付に向かってゆく。この女性は受付の者の問いに首を横に振った。おそらく、その女性は「書類」をもっていないのだろう。

 すると、受付の女性はカウンターから同じように去って、しばらくすると、また同じように一巻のスクロールを女性に渡した。女性はそのままやはり出て行った。


(ん? なくてもいいってことか?)


 これ以上は見ているだけではさすがにわからない。かといって、隣で物色している人に聞いて、それが非常に重要なことだった場合を考えると、少し気が引ける。

 

(さすがに、直接聞くしかないよな――。そうすると、例えば出身とか聞かれると厄介なんだよなぁ――どうしようか)


 キールは少し思案したが、あることに気付いた。


(ん? まてよ? ここに求人票が貼ってあるってことは、働き手を探しているわけだよな? じゃあ、ここを通さずに直接言って、仕事探してるんですが、と切り出してみたら案外うまくいったりして……)


 キールは改めて掲示板に向き直ると、いくつか手ごろそうな求人を見つけたが、そこから特によさそうなものを二つ記憶した。


 専門職でなくて、給与がそれほど良くなくて、人数の少なめなところだ。

 しかも、この町の周辺でありながら、少し外れの場所がいい。


 簡単なロジックだ。

 給与が平均より低いというのは不人気なのは間違いない。専門的な職業は技術を要求されるが、そんな技術は持ち合わせていない為、雇用される可能性は低い。それでいて人数が少ないというのは、それほど緊急の案件ではないと言える。もしくは、規模がそれほど大きくないかだ。規模が小さい職場であれば、採用不採用いずれにしても結果が早く出る可能性が高い。場合によっては雇用主本人と話せる可能性も高い。町の中は、人目に付きやすく、足がつきやすい。外れの方が街中より不人気で、競争倍率も低いはずだ。


――とりあえず、二つ。


 メジュート青果農場と、ケリー牧場だ。しかもどちらも、作業系の仕事ではなく、街道露店の販売業務とある。


 専門職じゃなくて、人数も少ない。町はずれで、規模もさほど大きくなさそうだ。しかも、受付担当がそれぞれの職場名とおなじ人の名前と来ている。


(――よし、取り敢えず、当たって砕けろ、だ)


 キールは労働局を出て、街の外へと向かって歩みだした。 

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