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2015.8.20 Facebookにて

作者: 田中浩一

 わたくしりつの高校なんてお金がないからとても無理だったから、公立の、確実に受かりそうな高校を選んだ。

 彼女に縁のない僕だったが、B組の葉子さんに好意を寄せた。当事流行りの折り畳む手紙でラブレターを送った。仲介には同じA組の女子が引き受けてくれた。

 色白で目が、江戸時代では美人とされた細目で、頭がよくて気が利いて。よくも、そんな子がオーケーしてくれたもんだ。

 話すことなんて、テレビか週刊紙のゴシップばかり。

 あとは、あのこはどうとか、あの先生はスケベとかそんなことだったけど、楽しかった。

 二年生になって同じクラスになった。

 彼女のことが気になる僕は、彼女に話しかける男子を敵対視し、彼女には、「なんか楽しそうだったね」なんて嫌みとも嫉妬ともとれることしかいわなくなった。

 放課後、以前のような 屈託のない笑顔で笑うことは、お互い少なくなっていた。

 生徒会長に、彼女が選ばれた。頭のよさはその発言、発表からも伺い知れた。

 かたや、バカ垂れの僕と生徒会長の彼女では、月とスッボン、天と地ほどの差があった。

 彼女は生徒会の仕事で忙しくなり、放課後に一人で教室で待つ日が増えていった。

 彼女は最後まで僕に気を使ってくれていたが僕が限界だった。とても低い限界だったが、足手まといになりたくなかったし、何より、見比べられることの、惨めさってのはなかった。

 バレー部の子が思いを告げに来てくれた。

 彼女は誕生日にマフラーまで編んでくれた。

 それでも、僕の気持ちは、葉子さんにあった。

 長いマフラーをバレー部の子と巻きあった。

 なぜか涙が流れた。彼女は嬉し涙だと勘違いしていたけど、そうじゃなかった。

 どうしたらイイのか何をすれば正しいのかわからなかった。ただただ、自分の未熟さと頭の悪さばかりが、胸を締め付けた。

 こんな自分に初めて会った。

 苦しいばかりだった。

 悲しいばかりの恋だった。

 ひねくれた阿呆な自分が二人の人につらい思いをさせていた。

 どうすれば僕の気持ちは届くのだろうか?

 何度もやめようとして傷つくのが怖くて、3年間引っ張って。結局、なにも残らなくて。

 今も残るのは、後悔ばかり。

 卒業して、解放されたようだった。

 恋って、なんなんだろう?

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