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十八話

 そう、考えながら、美味しそうに食べる妹を見ていると、壇上に上がる一人の少年が見えた。


「ご歓談中の所申し訳ございません。我ら刀仙の一族からご来場頂いた来賓の方々に一つ、ちょっとした余興を行いたいと思います」


 どういう事だ? 壇上の脇に居る景虎を見ると、視線に気づいたようでグラスを傾けながら小さく頷いた。


 許可は出したらしいな。


「何々? 何が始まるのおねぇさま」


「んー? お父様が何やら出し物をするみたいね」


「私、個人序列十六位。刀技勝(とうぎまさる)と個人序列最下位の決闘の儀を執り行いたいと思います!」


 会場がざわつく。事前に聞かされていなかったのか多くの者が困惑の声を上げている。


「刀技の(せがれ)と最弱の刀四(かたなし)が?」


「そんなもの勝負なるまい」


 景虎壇上に上がる。


「ハンデとして刀技勝は今回性質権能の使用を禁止、刀四雷太の攻撃を一撃でも当たった場合。雷太の価値とする。刀技勝が勝利した場合はこの者を本家預かりとし、ゆくゆくは側近として迎え入れる。刀四雷太が勝利した場合、私の推薦で学院への入学を認め、卒業までの費用の一切を刀仙が受け持つ事とする」


「ガハハ! これは、見もの! 圧倒的力で弱者を踏み潰すか。それとも、弱者が強者に対して一矢報い下剋上を果たすか」


 遠くに居る辰五郎の声が聞こえてくる。

 戦いは別館の武闘館と呼ばれる場所で行われ、その様子がカメラを通じてパーティー会場にある大型モニターへ移されるようだ。


 景虎がこちらに近づいてきた。


「審判は絢瀬を執り行いなさい」


「私がですか?」


「お前はまだ、本格的な調封士の戦いと言うモノを見た事がないだろう。いい機会だ、傍で見て来なさい。それと、審判と言っても戦いの号令と終了の合図を行うだけだ」


「ですが。もし、反則があった場合に―――」


「それは無いだろう。この戦い、刀四に勝ち目はない。反則を使う隙も与えず刀技勝は勝利するだろう」


 移動する二人の方を見ながらそう言った。


 刀技勝。髪の毛を掻き上げながら自信満々な表情で足取り軽く移動している。その表情は傲慢の一言。もう一方をまるで害虫を見る目で見下しているのだ。

 刀四雷太。額から目にかけて傷がある少年。表情は真剣そのもの、庶民が精一杯着飾ったと言ったような正装に袖や緩めた首元からは傷跡が見え隠れしている。


 気に入らない。


「あらそうでしょうか? 私は傷のある少年が勝つと思いますが」


「? どうしてそう思う? 序列も魔法の腕も全て刀儀勝が勝っているぞ」


「では、賭けを致しますか? 私が負けたら私の権能の全てをお教え致しましょう」


「面白い。ではお前が勝ったら何を望む?」


「そうですね。......では。私が勝ったら翠を下さいな」


 何でだと言ったような顔。


「何翠を? ......まあ。良い。私が負けたら翠をお前直轄にしよう」


「ありがとうございます。では、行ってまいりますねお父様」


「ああ。行ってきなさい」

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