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十六話

「どうも、楽しんでいらっしゃいますか?」


「おや? どうもお招きありがとう。うんうん。楽しんでいるよ。そう言えば自己紹介がまだだったね。私は桜ノ宮家当主。桜ノ宮礼二。あっちに居るのが娘の佳乃だ。少し待ってくれ? おーい! 佳乃!」


 ひょろひょろの身体付きにやや猫背気味の背中、家紋入りの羽織に肩に掛け、丸眼鏡をくいっと上げる。そして、その男が遠くに談笑している少女に向かって大きく手を振る。


「お父様、あまり大きな声を出さないで下さい! ―――ご機嫌よう。わたくし、桜ノ宮佳乃と申します。どうぞよろしくお願いします」


「刀仙絢瀬です。此方こそよろしくお願い致します」


 桜ノ宮


「お招き頂き感謝する。私は陽光家当主。陽光景昌である。こちらが我が娘、冷夏だ」


 七三に分けた髪を直し、きっちりと着た着物の上から家紋入りの羽織に袖を通している。そして、景昌の隣に立っていた少女が前に出て来た。


「お招き頂き感謝します。紹介に上がりました景昌の娘、冷夏とお申します。以後、お見知りおきを」


「こ、こちらこそよろしくお願いします」


 余りの圧に若干引き気味に答えてしまった。


 陽光。


「これはこれは刀仙の姫君。儂は竜宮家当主。竜宮辰五郎と申す。こっちは儂の子供の鉋と竜司だ」


 着物の上からでも分かる筋骨隆々の身体。胸まで伸びた髭に剃り上がった頭。大きく胸元の空いた着物に家紋の入った羽織を肩に掛けている。

 何度か耳を塞ぎそうになったほどの大きな声で隣に居た子供達の肩や頭を叩いた。普通に叩いているようだが、こっちに聞こえてくる音は重々しく、それだけの衝撃が走っているかが分かった。


「こんばんわ。竜宮竜司と申します。どうぞよろしく」


「こちらこそよろしくお願いします」


「―――......竜宮鉋、です。よろしく」


「よろしくお願いしますね」


「それにしても品のある顔じゃの。最初何処かの姫君ではないかと思ったわい。ガハハッ!」


 辰五郎は豪快に笑いながら手に持った盃をくいっと呷る。


「確かに、僕も思わず息を呑んでしまいました」


「ふふふ。お二人ともお世辞がお上手ですね。鉋様に比べて私なんかまだまだです」


「鉋」


「え?」


「鉋で良い。敬称は不要」


 そう言い残すと何処かへ行ってしまった。


「気にしないでくれ。あれで照れているだけだから」


「そう、なのですか?」


「あの子は感情を表に出すのが苦手なんだ。良ければこれにめげずに鉋と仲良くなって欲しい」


「はい。喜んで」


 竜宮。

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