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十五話

外見とは裏腹に、本邸に隣接してあるパーティーホールは西洋式で、大きなシャンデリア、複雑な模様が描かれた絨毯。立食形式のようで多彩な色とりどりの料理が置かれていた。


 入場した瞬間、談笑していた人達が急に静かになる。


「おお! 来たか。さぁこっちだ」


 翠が車椅子を引きながら坂を進み、壇上に上がる。見渡す限り人、人、人、今このホールの中には一体何人の人達がいるのだろうか。百人? 二百人? きっとそれぐらいいる。その全員の視線が僕集まり、思わず緊張で喉が詰まってしまった。


「私が付いておりますので」


「ありがとう」


 緊張を察したのか僕の方にそっと手を乗せそう呟く翠。深呼吸をし、翠の方を見上げながら礼を言うと景虎の方に視線を送った。


「まずは、集まってくれた四族の方々、ギルドマスター、政界の方々に感謝を、そして、今まで私を支えてくれた刀仙のモノ達にも礼を言う。それでは紹介しよう。長い間、日本を恐怖の淵に陥れた憎き轟神国絨を武器を持たず単身で調封せしめた我が愛娘、絢瀬だ」


 割れんばかりの拍手と共に景虎は此方にマイクを渡してくる。それを、受け取り小さく息を吸い込むと声を出した。


「皆様。只今ご紹介に上がりました刀仙絢瀬でございます。刀仙の末席に加えられる事を大変名誉に思い、これから、より一層の思いをもって、日本に蔓延る悪を払拭していきたい所存でございますので、皆様どうぞよろしくお願い致します。今宵はどうか、心ゆくまでお楽しみください。お父様」

 

 マイクを景虎に渡し、代わりにウェイターが持ってきたグラスを手に持つ。


「うむ。さぁ、皆! 好きなだけ飲んで食べてくれ、絢瀬の言う通り今宵は心ゆくまで楽しもうぞ! ―――乾杯!!」


「「「「「乾杯!!」」」」」


「乾杯」


 グラスを大きく掲げると口を付け、小さく傾けた。


「良いスピーチだったぞ絢瀬」


「ありがとうございます」


 景虎が集団の方に手招きをしている。


 誰かを呼ぶのだろうか?


 すると、三人の女性が此方にやって来た。一人は美しい女性、残りの二人は女性に顔が似た少女。


「紹介しよう。私の妻月子。それから、お前の妹になる碧葉と小春だ」


「刀仙月子です。貴方の事は夫から聞いたわ。私の事は気軽に母と呼んでくれて構わないからね?」


「はい、ありがとうございます。お母様」


「と、刀仙小春です。えっと......これからよろしくお願いします。おねぇさま」


「よろしく小春」


「ほ、ほらお姉ちゃんも......」


「―――あんた何か家族でもなんでもないから!」


 月子の後ろに隠れるもう一人の少女は目に涙を貯めながらそう叫び、走って会場を出て行ってしまった。それを追って小走りでポニーテールを揺らしながら後ろを付いていく女性。翠のような付き人だろうか? そう、考えていると月子が僕に向かって頭を下げる。


「ごめんなさい。あの子、人一倍警戒心が強くて。私の方からきつく言っておくから嫌わないで上げてね」


「嫌うなんてそんな。きっと、お父様とお母様を取られると思ったのでしょう。お父様、お母様、どうかあの子を叱らないで上げて下さい」


「何て優しい子です事」


 口元に手を当て微笑む月子。


「ははは! まあ良い。今回はお前の顔を立てて叱らないでおこう」


 それとは真逆に豪快に笑いながら、手に持った酒を飲む景虎。


「貴方。そろそろ」


「ん? ああそうだったな。絢瀬。初めての者達に挨拶をしてきなさい。すべき者は皆翠が知っている」


「分かりました。お父様、お母様、小春、また後ほど」


 翠が車椅子を押しながら順に回っていく。

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