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青草  作者: ツナ川雨雪
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孤底の気持ち


10 孤底の気持ち


また笑った。だが今度の笑いは少しばかり苦しそうな響きを持っている。弟の丘須華なら気づいただろう。けれど、いない。今頃仮眠中だろう。発作が起きなければいいのだが。まあ、今日は大丈夫だろう。顔色は良かった。もっとも青白い顔で「にいさん・・・もうだめだぁ・・・」なんて言うことは一度もない。今日は面白い知人が出来たようだ。丘須華の場合、身辺の変化によって発作が起こる訳ではないことはわかっている。陽光が亡くなったときもそうだった。相当なショックを受けたに違いないが発作の頻度や症状には変化が、ないらしい。口頭で丘須華に「大丈夫か」と聞いて「大丈夫心配いらない。変わらないよ」と答えられて、その答えを鵜呑みにした。本当のところはわからない。気にはなる。しかし、この目で丘須華の行動をいちいち確認するような心配性の兄ではいたくない。陽光が言っていた道連れは「丘須華」だと内心狐底は考えていた。それは家族全員の考えていたことだろう。確認したことは無い。そのことからも陽光が死んだあと丘須華と二人だけのときに、丘須華もいなくなってしまうのではないかと思い「大丈夫か」と聞いた。「本当に大丈夫だよ。何度聞くんだい」と悲しみに、にじんだ笑みを浮かべながら答えてもらったときは心底胸をなで下ろしたものだ。丘須華まで取られてしまっては、孤底には勘の鈍い嫁しか残らないではないか。



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