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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

天使のルール

作者: 神宮真夜

始めまして。


稚拙な文章でお目汚しかもしれませんが、

ササッと読んで頂けるぐらいの内容です。


ある日東京の上空に天使が現れた。


純白の美しい羽を持ち、ブロンドの柔らかくウェーブした髪。

何者とも比較できない様な美しい顔立ちに長い睫毛。

肌の色も透き通るように白くてシミもシワも全く無い。

そして頭の上には金色に輝く輪っかがあり、まさに絵に書いたような天使の姿だった。


しかし東京の上空にいるものの、天使は目を瞑った状態で膝を抱えて丸まっており、その身体は不思議な球体に包まれていた。



しかしその出現は世界中で騒ぎ立てられ、どこの国でも新聞の一面に天使の姿が写真入りで掲載された。


日本政府は様子を見つつも、なんとかコンタクトを取れないかと自衛隊のヘリで近寄りスピーカーで呼び掛けたりしたが、天使からの反応は何一つ無かった。




天使が現れて一週間。

日本政府は未だに手をこまねいていた。


専門家を呼ぼうにも天使の専門家など居らず、そもそも想像の産物である天使は、宗教や文献、人のイメージで如何様にも変わってしまい、コンタクトの取りようなど誰も知らないのだ。


そんな状態で一週間がたったその日。

ついに天使が目を開けた。


美しい顔立ちにそぐわぬ切れ長で大きな目。

その瞳は金色に輝きを放つ。


そして天使が言葉を発した。

……いや、言葉ではないであろう。 それは全ての人の心に直接届くような感じだった。



『この世界に存在する人間達。 貴方達の生き方や、生存の仕方をここ一週間確認させて頂きました。 その結果あまりにも悲しい出来事ばかりでした。 他人をあやめ、おとしいれ、とぼしめ、いじめ、しいたげ、そしてうばい、けなし、だまし、あまりに醜い。 もちろん助け合いや愛情、慈愛などもあれどそれはほんの一部に過ぎません。 よって……』


天使の言葉が切れ、数秒後にそれは伝えられた。



『まず最初に私がいる日本と言う国に、天使こちらのルールに則った罰を与えようと思います』




そうしてその日から不可思議な力で天使の罰が下されていった。


殺人を犯した者は獄中にいようが逃げていようが一人残らず死体となった。

その死に方は己が他者を殺めた方法と同じ手段だった。


詐欺を働いた者はその舌先が全て切断された。

結果、その者達は全員喋ることが出来なくなった。


人に暴行を働いた者は、その度合いにより全身の骨が砕けた。

重度の暴行を働いた者は、全ての骨が砕けてほとんどが死亡した。


性犯罪を犯した者は性的不能に、悪口を言いふらしたものは声帯が消失、盗みをした者はその回数に応じて指がなくなった。


そして犯罪を指示していた者には指示した回数だけ体の中に癌が発生した。

……指示役は一人残らず死ぬこととなった。



この状況に国民の一部からは称賛の声があがった。

それは犯罪者達に辛い思いをさせられた人たちだった。


自分達には一生残る傷が出来たのに……犯人達はのうのうと生きてる。

未成年だから……情状酌量で……精神鑑定の結果……そう言ったもので大して罪にならなかった者達への怨嗟の声が、天使の行為に対して称賛となっていた。



しかしその一方、大多数の者からは政府に対して訴えを行った。

「あの天使を殺してほしい」と。


政府としても勝手に自国民を殺されたり制裁されたのは無視できない事だった。

すぐさま訴えを受け入れ自衛隊に排除を要請した。


しかし不思議な球体に包まれた天使には、銃も砲もミサイルもレーザーも音響兵器も何一つ通じなかった。

それどころか全ての武器が使用した者に跳ね返った。

そうして自衛隊の実に三割程度が壊滅状態となった。


これにより政府は天使に手出しができない事を知ってしまった。

最終手段としてアメリカなどに核攻撃を頼んだとしても、それが反射されれば一巻の終わりだった。



そうしている間にも天使の罰は続いて行った。


動物を虐待した者には同じ事が降り注いだ。

ボーガンの矢を撃ったものはどこからともなく矢が現れ自身の体を貫き、水責めしたものは溺れ死に、レンジなどを使用した者は……破裂して肉片と化した。


子供へ虐待した者達へも同じ事が起こった。

叩かれ、落とされ、煙草を押し付けられ、冷水を掛けられ、熱湯を掛けられ、寒空に放り出され……最終的には餓死と言う道を辿らされた。


……この事態に自殺をする者が十倍以上に増えた。

身に覚えのある者達が恐怖のあまり死に逃げ出したのだ。


そうして罪の内容はどんどん程度が低くなっていった。

しかし罰の内容は軽くならなかった……それどころか内容に対して遥かに重いと思われた。



ポイ捨てした者の指が全て切断された。

騒音による迷惑行為をした者は鼓膜が破れた。

無断駐車した者は足が動かなくなった。

信号無視した者は目が見えなくなった。


そこまで来ると誰も賛成の声を上げなくなっていた。

「やりすぎだ」「ひどすぎる」「あんまりだ」……そう言った声が上がり、その声を上げたものはそれを悪口と捉えられ、二度と声が出せなくなった。


そうしてついには食べ物を残した者には餓死、飲み物を残せば脱水死。

歩きスマホをすれば脳溢血で死に、家に引きこもればニートとして衰弱死。

嫉妬をすれば胸が文字通り張り裂け、何かしら邪な考えを抱いただけで脳が破裂した。


もはや些細な事で死ぬ……いや、殺される。

そしてそれには時効などなく、過去にした事でも殺されていった。



日本の人口は……0人となった。

誰一人として天使のルールとやらから逃れられた者はいなかったのだ。


天使は次に韓国、中国、ベトナム、フィリピンとアジア圏に移動して同様の事をしていった。

そして……どこの国も全て人はいなくなった。




人類の滅びた地球で天使が呟いた。


『この世界にも悪い事をしていない人は一人もいなかったのですね。 悲しい事です』


そして天使は次の並列世界パラレルワールドに移動する。


悪い事をしたことが無い人を求めて。


『次の……1020番目の世界では悪い人が居なければいいのですが……』


天使がこちらに目を向ける。



『聞こえていますよね? その世界が何番目か分かりませんが……あなたは悪い事していませんよね?』


お読み下さりありがとうございました。


では日々の日常もお楽しみ下さい。

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