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幻想漫才  作者: 木持河類
4/20

その4 鬼

「こないだ冒険者ギルドの訓練会に参加したんだけどな」

「そんなこと言ってたな。で、どうだった」

「有名な鬼教官がいてえらい目に遭った」

「鬼教官ねえ……どんなことやったんだ」

「体力試験と称して町の周囲一周走ってこいとか、一番遅れた奴はさらに剣の素振り百本とか、腕立て耐久で一番ダメだった奴はさらに腹筋百回とか……金払って参加してそれだ。鬼や」

「鬼だな」

「……そういや鬼ってさ」

「鬼? 怪物の方のやつ?」

「鬼のようになんちゃらする、っていうじゃん?」

「言うな」

「鬼のように金使うとか、鬼のように遊ぶとか」

「鬼のように喋りまくったり、鬼のように走ったり」

「鬼のように仕事したり」

「鬼のように怒ったり」

「鬼のように飲み食いもする」

「鬼ウマーとか」

「鬼カワイイーとか女ども言うよな」

「鬼ってかわいいのかよ。美味いのかよw」

「そういうのいるのかもしれんぞ。虎皮のビキニとか来てたりな」

「鬼ヤバイってのも聞くな」

「そりゃ鬼はヤベエよな」

「なんたらの鬼、とかも言うよな」

「仕事の鬼」

「剣の鬼」

「徴税の鬼もいる」

「料理の鬼とか」

「鬼教官ってまさにそういう奴らだよな」

「来年のこと言うと笑うしな」

「いいじゃん笑わせとけよ」

「そういや鬼って、再来年とかもっと先のこと話すと、もっと死にそうなぐらい大笑いするんかな」

「知らんわ。鬼に話してみりゃいいじゃん。鬼の知り合いいねーけど」

「そういやこないだ役所勤めの知り合いと飲んでさ」

「急に話変わるな」

「そいつが直前までめちゃくちゃ忙しかったとかでさ、『もー毎日鬼のように書類やら手紙ばっか書かされて手が痛いのなんのって』って、鬼がそんな書類や手紙書くかっつーの」

「書いてたら逆に笑うわ。来年の話するまでもなく、人間でも笑うわ」

「もうマジで鬼のように忙しいとか、鬼ってそんなに忙しいのか? 鬼殺し飲ませたら死ぬの?」

「忙しいときもあるだろうけど、鬼だってヒマなときとかいろいろあるだろ」

「基本的には鬼って暇だと思うけどな。鬼のように暇だと思う」

「鬼ってあれで忙しいのかもしれんな。例えば、人間殺すノルマは今月何人で、誰々はノルマ達成が厳しいからがんばるように、とか朝礼で言われたりな。逆に易々達成してる奴は表彰される。『よく殺りました』って」

「そんな朝礼イヤだな」

「ノルマ未達だと鬼のように叱責される」

「鬼のようにって鬼だからな」

「文字通りの鬼上司だよな。見た目は鬼上司だけど心根は優しいとか」

「昔話みたいだな。ってか泣いた鬼上司?」

「普段は厳しい鬼上司が垣間見せた涙に鬼女が惚れてまうんや」

「なにそのドロドロ恋愛物語みたいな展開。てか不倫フラグやん」

「んで発覚して、世間から鬼のように叩かれる。鬼女にもあらぬ噂流される」

「叩くのも叩かれるのも鬼だけどな。渡る世間は鬼ばかりだマジで」

「そして鬼の目にも涙」

「そら泣きたくもなるわ」

「兄妹パターンだと『鬼いちゃん愛してる!』とか」

「鬼いちゃんて何だwww」

「鬼やべえパターンだな」




 鬼がどれくらいヤバイかは不明。


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