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幻想漫才  作者: 木持河類
2/20

その2 ユニコーン

「こないだ久々に乗馬の訓練してきたんだが」

「おう」

「馬って、馬鹿って言われるぐらいだから頭悪いのかと思ってたが、意外と頭いいのな」

「ああ、そうらしいな。人間の顔もしっかり覚えてて、気に入らない奴とか馬使いの荒い奴には容赦なく噛み付いたり、蹴り入れたりするらしいぞ」

「おまえそういうことは早く言えよ……」

「……蹴られたな」

「尻でよかった。アバラとかやられたら最悪だったわ」

「お前、馬に嫌われるようなことしたろ」

「いや、別に……ちょっとエサのニンジン、目の前で一かじりしただけで」

「なんで食った」

「いや、ちょっと腹へってて……あんま旨いもんじゃなかったな」

「それで蹴られたのか」

「最初はかじられた。二回目だ」

「お前の方が馬鹿だな……」

「もしかしたら鹿は頭悪いのかもしれん。今度捕まえたら試してみよう」

「どうやって」

「馬と知恵比べさせる」

「お前ってほんと馬鹿だな……」

「そもそも馬とか鹿だって、人間と比べたら頭悪いだろうが。所詮動物だぞ動物」

「そりゃそうだが……馬でも、ユニコーンとかは頭いいだろ」

「……そういやユニコーンてさ」

「ん?」

「馬にツノ生えてるやつじゃん?」

「ああ、馬にツノ生えてるやつだな。正確には馬じゃないけど」

「あいつってさ、処女しか乗せないっていうじゃん?」

「そう言われてるな」

「あいつどうやって処女見分けてんの?」

「……どうやって?」

「俺の考えでは、匂いじゃないかと思う」

「異種族の女の匂い嗅ぎ分けて、しかも処女かどうか判定してんのかよ……だとしたらとんだ変態だな」

「ああ、変態だ。しかも奴には、とんでもない噂がある」

「とんでもない噂? 変態処女マニアの臭いフェチ以外に?」

「奴の頭に生えてる角な、実はあれがユニコーンの本体じゃないかって説」

「はぁ!?」

「実はあれ、貝じゃないかって説があってな」

「貝!?」

「てゆーか、馬に寄生する寄生虫の一種。脳に寄生して、馬の脳を乗っ取るんだよ。寄生魔貝説」

「え、なにそれこわい」

「その代わり人間の処女の匂いがわかるようになる。この人間のメスから処女の匂いがするッ!とか」

「馬にそんな能力いらねー」

「魔法も使える」

「そっちは普通に使える能力だな」

「んで、その寄生してるのが魔法生物で、そいつ通して馬の脳に魔力が注ぎ込まれ、馬の知能も上がるし魔法も使えるようになる。そしてユニコーンに変化するんじゃないかってことだ」

「巻貝の形した魔法寄生生物かよ……こえー、貝こえー。希少素材なわけだ」

「いやまあまだ仮説だけどな。だとしても、とっつかまえてツノ確認してみないといかんわけだが、実際、魔法薬の素材になったりするツノは中身がみっちり詰まった動物の角と見た目は変わらんわけでさ」

「じゃあ貝じゃないじゃん」

「だから、頭に寄生した時点で、本体は脳に移って、殻は魔力のアンテナ的なモノに変化してたら、わからんやん?」

「んじゃあ、脳調べたら、なんか蟲みたいなのがいるかもしれんのか……」

「しかもあいつ、危険が迫ると脳の潜在能力を解放して、戦闘モードになるらしいって噂が」

「戦闘モードって、どうなるんだ」

「ツノ引っ込んで、代わりに羽が生えて空飛べるとか。緊急時(スクランブル)ダッシュ!で逃げたい時に」

「もしかしてペガサスってそれか!」

「ツノが割れて二本になると全身が金色に光って戦闘力がすげー上がるとか」

「なにそのデストロイモードとかスーパーナントカっぽいの」

「あと、ツノから電撃バリバリって攻撃しているとか、破ァァッ!って気を砲撃みたいに撃ってくるとか」

「もう馬の攻撃じゃねえな」

「まあそんな能力が使えるんじゃないかっていう噂だ」

「噂かい! そんだけ引っ張っといて!」

「そんで、人間の、しかも処女を見分ける能力をなんで持っているかっていうとだな」

「そうだな、なんでそんな能力があるのか謎だよな」

「実は、寄生した蟲が女の腹に寄生して繁殖するためじゃないかという……」

「……どうやって」

「実は寄生した巻貝が、繁殖期を迎えたら背中に生殖器を移動してだな」

「やめろなんか聞きたくない」

「正に馬乗りであれやこれやされるという……いや、馬乗られ?」

「やめんか……それ誰か確かめたのか」

「いや、あくまで仮説。幻獣専門の学者が言ってるだけ」

「学者の仮説か……それにしちゃあゲスい仮説だな」

「学者だってたまにはゲスいこと言いたくなるんだろ。普段真面目なことばっか言ってる奴ほど、酒の席とかでとんでもねえことしでかすっていうし」

「酒飲むと人格変わるタイプだな」

「だとしてもありえないとはいえないよな。処女を的確に選んでる時点で」

「だが実際捕まえてみないことには判らんだろ」

「だけどユニコーン自体、滅多に捕まえられんしなあ」

「まあな。でももし捕まえられたら……」

「捕まえられたら?」

「ユニコーンだけに、一角千金なわけで」

「ええ加減にしなさい」



 ユニコーンに変態疑惑発生。

 見かけたら、処女は注意されたし。


 ユニコーン「解せぬ」


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