表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻想漫才  作者: 木持河類
17/20

その17 貴族

「いやあ今回は大成功だな」

「まぁお貴族様のお遊びに付き合って、一か月遊んで暮らせるんだからな。楽なもんだ」

「こういうのが続くとランクも上がってウハウハなんだがなー」

「それでも今回の実入りは装備整えるのに大半消えるんだけどな……」

「そういや貴族って大変なんだってな」

「大変って?」

「こないだ知り合いもな、貴族の仕事請け負って、それで発注元の貴族ンとこ行って来たんだと」

「貴族って誰」

「隣の領地の地方領主。まあ田舎貴族なんで、田舎の金持ちレベルだそうだ」

「ほーん。で? 何が大変だって?」

「田舎貴族ったって、まあ俺らから見たら、俺らの村の村長が金持ちになったぐらいの貴族でさ」

「あの村長が金持ったら貴族になれるレベルなのか……」

「言っとくが、うちのドケチ村長よりよっぽどマシな人間だからな。

 んで、仕事の説明の後に、いろいろ貴族の話を聞いたんだそうだが」

「どんな」

「貴族って、領民から税巻き上げて左団扇みたいなもんかと思ったら、そうでもないらしい」

「そうでもないって、まあ俺らにはわからん仕事とかやってるんだろうよ」

「仕事はそんなんでもないらしい。むしろ社交界が大変なんだと」

「社交界……あの毒入りワイン回し飲みして誰が最初に死ぬかっていうデスゲームやる、あの恐怖の夜会か……」

「そんな社交界があるか。貴族みんな死ぬわ。お前の貴族の認識ってどんなんだ」

「……何かにつけ食い物やら飲み物に毒が入ってる感じ?」

「ねーよ。迂闊にパーティとか開けんだろうが」

「そういうのも含めて貴族なんだろ。子供の内から少しずつ毒飲ませて耐性つけたり」

「それは貴族じゃなくてニンジャの方だ。

 まあ毒は毒として、貴族になると中央に挨拶しなきゃいけないんだと」

「中央の社交界にか?」

「そうそう、そこで『この田舎貴族風情が』って、中央の貴族に陰口叩かれるのが通例だとか」

「……なんだその絶対行きたくねえ世界」

「貴族ってさ、階級社会の上の方だと思ってたけど、貴族にもまた階級あるのな。伯爵とか子爵とか男爵とかとは別に」

「あーなんか貴族にも古い門閥とか新興貴族とかあるらしいしなー。同じ爵位でもどれだけ続いているかがステータスで」

「古い貴族は頭の中も古くて困るわーってグチられたそうな」

「伝統って言ってやれよ新入りは」

「俺だったらそんな陰口叩く奴いたらぶった斬るけどな」

「やめろ殿中でござるぞ。そんな単細胞脳筋は貴族になれんわ」

「決闘なら文句は言われんだろ。ちょっと煽ればあいつらすぐアタマくるような低脳ばっかだから」

「すぐぶった斬ろうとする脳筋には言われたくねえな……」

「まあ無礼な新入りなんぞ、床に座らせて『ほれ飲め』って毒入りワインを床にぶち撒けて舐めさせときゃいいんだよ」

「それはさすがにその場で刺されるな……俺でも刺すレベル」

「それで話戻るけど」

「おう」

「なんか貴族ってすげー豪勢なパーティやったりするじゃん?」

「まあ俺ら平民が出入りできる場所じゃねーけど、豪勢だってのはよく聞くな」

「貴族って、パーティで毒入りの食いもの普通に出すってマジ?」

「はぁ? いやだからねーってそんなの。どっから湧いて出た」

「なんかそんな事件があったらしい。なんとかいう伯爵のパーティで、毒入りのワインだかなんか飲んだ奴がいて誰か死んだとか死にかけたとか大騒ぎらしいって」

「マジでか……怖えーな貴族パーリー」

「俺、貴族になりたいとか思ってたけど、毒入りパーティ出なきゃいかんなら貴族にならなくていいわ……」

「いや別にみんなやってるわけじゃねーだろ。でなきゃ毒入りワインでガタガタ言うかよ」

「……そりゃまあ、パーティの度に『今日のパーティは何人死ぬのやら……』とか戦々恐々としなきゃならんとか、ありえねーわな。貴族すぐいなくなるわ」

「だったらワイン持ってきた奴とその場で決闘した方がマシだ」

「手袋投げつけるんじゃなくて、ワイン持ってきて受け取ってグラス叩き割ったら決闘とか?」

「なんだその作法。ワインて毒入ってこそワイン、みたいな酒じゃねーだろ。毒入れずに飲めよ」

「貴族ワインてのは風味付けに毒入れるんだよきっと」

「入れねーよ。なんだ風味付けって」

「まあワインに入ってなくても料理に入ってて、味見して『む!この料理には***の毒が入っている!』とか見破るゲームがあったりなかったり」

「ねーよ。味見した程度で死んだらどーすんだ。つーか毒見役が仕事してねーw」

「毒見役も毒食いすぎて慣れてて『この程度ならハライタ程度だな、おk』とかで通す」

「とwwwおwwwすwwwなwww毒見役マジ仕事してねーwww」

「む、この毒とあの毒の取り合わせで風味が一段と向上している、とか味の批評もする」

「毒だっつーのwww調味料やスパイスじゃねーのwww」

「毒見役ってぐらいだから毒の味にもうるさい」

「うるさいわwwwそんなもんうるさくなくていいwww」

「ほら、毒キノコって旨いっていうじゃん?」

「そりゃーそう聞くけど、実際食ってみたいとは思わんwww旨けりゃいいってもんじゃねえwww」

「男には死ぬと解っていても食わねばならない時がある!とか言って食う」

「死ぬと解ってるなら食うなwww毒見役仕事しろwwwくそハライテーwww」

「どうした、毒でも飲まされたか!」

「くっそwwwツッコミも満足にできないこんな世の中じゃポイズンwww」


ネタストックが尽きましたので、次回から不定期掲載となります。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ