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幻想漫才  作者: 木持河類
11/20

その11 奇鬼怪貝・その2

「……今度のはヤバかったよなー」

「ああ、よく生きて帰れたと思うわ」

「まさかワイバーンがいるとは……それならそれって言えっつーんだよな」

「こういうのたまにあるんだよなー。本命隠して、表向きの依頼出して、安く上げようって魂胆の」

「まーこの件はギルマスも依頼者にちょっと問い詰めるっつってたしな。最悪ペナルティもあるってよ」

「こっちに金が入ってくるならなんでもいい」

「まあワイバーンだったからなんとかなったが、あれがレッサーでもドラゴンだったらマジヤバかったよな」

「いやードラゴンだったらないわー依頼者ぬっ殺しに行くレベルだわー」

「そいやードラゴンってさ」

「ドラゴンが?」

「……ツノ生えてるよな」

「また寄生生物説か」

「トカゲに寄生したらドラゴンになる説をこないだ学者と話し合ってみた」

「マジデカ……で、なんだって?」

「すげー驚いて『今からドラゴンのツノ取ってくる!』ってソッコー旅に出た」

「……アホやな」

「そんで未だ帰ってこない」

「そりゃドラゴンなんてそうそう見つかるもんでもないし……ましてやツノ取るのどうするつもりだと」

「実は別の学者にユニコーン寄生生物説も話してみた」

「そいつもユニコーン探しに出かけたのか」

「いや、貝を探しに出た。俺にも探してこいって言い残して」

「まず貝より始めよ、ってことか……まあ確かに、根拠となる寄生する魔貝を見つけるのが先だよな」

「そんで未だ帰ってこない」

「学者ってアホしかおらんのか」

「その学者に『お前は処女探しておけ!』って言われた」

「ほんまもんのアホや……」

「お前、妹いたよな?」

「ブチ殺すぞヒューマン」

「冗談だ。貝が見つかってから探しても間に合う」

「てめえにも妹いるだろうが、腐ってんのが」

「ありゃあダメだ、精神的に処女じゃない。ユニコーンに拒否られるレベルだ」

「ユニコーンが拒否って……で、実際、そんな魔貝がいると思うのか?」

「あくまで仮説だからなー。いるともいないとも」

「だったら海産物にも似たようなツノありモンスターいるだろ」

「リヴァイアサンとか?」

「いきなりレベル高えな」

「あいつらなんか全身寄生されててもおかしくねえ」

「いやもうなんだかドラゴンに限らずツノ生えてる連中全部怪しい」

「確かにな……学者も『ドラゴン調べたら次は鬼調べるから!』って」

「鬼は淡水系の魔貝って説だったよな」

「陸上生物だからな。ってことは、ドラゴンとかは海水系の貝で、鬼は淡水系の貝なのか」

「沿岸付近に棲んでるか内陸に棲んでるかの違いだろ。鬼ヶ島とかにいる鬼は海水系っぽい」

「やっぱり海の方が強いんかな」

「知らんよそんなこと……ところで吸血鬼も鬼ってついてるけど、あれもか?」

「吸血鬼はツノないしな」

「……ああ、そういやあいつらキバあるじゃん。口の中に寄生されたか?」

「そうか、食おうとして寄生されたクチか!」

「牙だけにか」

「そもそもそんなきめえ貝を食おうと思う連中が鬼になるんだろうな」

「意外と人間の頃から『美食の鬼』なのかもしれんなあ」

「美食もこじれるとゲテモノにいくからな、発酵屋と同じで」

「美食の鬼がただの鬼になってんじゃん」

「こじらせて血専門になったんだな」

「こじらせてなったわけじゃねえだろ」



 人間、こじらせると貝に寄生されるらしい。あなおそろしや。


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