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幻想漫才  作者: 木持河類
10/20

その10 奇鬼怪貝

「こないだ実家に戻ったんだけどさ」

「おう、そんなこと言ってたな」

「兄貴が嫁さんの尻に敷かれてた。愚痴散々聞かされたわ」

「……まあ、世の夫婦なんてそんなもんじゃね?」

「昔は優しいお姉ちゃんだと思ってたのに……」

「まあまあ、それで兄貴がいいならいいんじゃねーの? それにお前の嫁じゃないんだし」

「兄貴も鬼嫁だって嘆いてた。結婚前はラブいバカップルだったのに」

「……」

「んでさ、鬼ってさ」

「また鬼か」

「ツノ生えてんじゃん」

「生えてるな」

「一本だったり二本だったりもっと多かったり」

「そうだな。だけど大体、一本か二本だな」

「だけど前に遭遇したオーガロードはものすごい数生えてたな」

「ああ、ヒゲみたいに顔の周囲にびっしり生えてたな。二十本以上あったなありゃ」

「もうヒゲなのかツノなのかわからんぐらいな」

「確かにな。寝るとき横向けないよな」

「横向いて寝たら枕一日で穴だらけになるぐらい」

「嫁にド叱られるな。いたらだけど。鬼嫁だろうからな」

「確実に鬼嫁だよな……でさあ、あのツノなんだけど」

「ツノがどうかしたか」

「あれさあ……寄生生物じゃね?」

「えっ……あれも寄生したやつなのか? もしかして……貝? ユニコーンみたいな?」

「うん。だからもしかしたら、あいつらって貝に寄生された巨人とか、そういう連中じゃないかっていう説がな」

「ちょ、怖いんですけど……なにその貝こわい、まじこわい」

「実はその貝がいる池とか沼とか洞穴とかがあって、そこに行った巨人は鬼になって帰ってくるという……」

「ちょっとしたホラーだな……洞窟ならホラー穴だな」

「……で、もしかしたら人間にも寄生するんじゃないかと」

「ちょ、やめてもう俺、川とか沼とか近づけない」

「いやまあ、あくまで推測なんだけどさ」

「イヤな推測すんな」

「もしかしたら、ツノある魔獣の類って、元々なんかの生物にこの『魔貝』が寄生して、魔獣に生まれ変わった奴らなんじゃないかという説がね」

「これがほんとの『魔貝転生』ってやつか……」

「んで、人間に取り付いたらどうなるのかって」

「どうなるんだよ……なんか気付いたのか?」

「ああ、ほら、ユニコーンがさ、この魔貝に寄生されて、人間の女の処女を見分ける力手に入れてるとしたら、だ」

「したら?」

「あの連中、人間の女にどうにかして寄生しているんじゃないかって……」

「……するってーと何か、ユニコーンて、人間の女に寄生するための……」

「という仮説を考えた」

「仮説かよ……でもその可能性はあるってことだな」

「それを否定する証拠は何一つない」

「怖ええ……貝怖えよ!」

「まあでも、多分俺らはユニコーンタイプには寄生されない」

「なんで」

「あいつら女、しかも処女にしか用がないからな」

「ああ、そうか……じゃあユニコーンには安心して触れるな」

「あいつらが触らせてくれんけどな。それで問題は、鬼の角になるやつらだ。あいつらは多分、オス専門の寄生貝だと思うんだ」

「やめろ聞きたくない。触りたくもない」

「だからこれから鬼退治に行く奴らは要観察だ」

「鬼退治の鬼がリアル鬼になるのか……」

「ミイラか」

「……あ、わかっちゃった。ユニコーン経由の貝、わかっちゃった」

「ナニ。また余計なこと思いついたのか」

「いやいや、ユニコーン経由で人間の女に寄生したらさ」

「寄生したら?」

「鬼女になって、将来鬼嫁になる」




 鬼嫁が生まれる原因が判明。


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