眠る前のおはなし
夜、おかあさん、けんた、私、の順にふとんを並べる。
おかあさんが部屋の電気のひもを二回引っ張る。「一」で中くらいのあかりになり、「二」で豆電球になる。
それから、おかあさんの枕元にある、ピンクの布のかさがついたランプをつける。
私とけんたは腹ばいになって、おかあさんに絵本を読んでもらった。
『すてきな三にんぐみ』の「こしょう・ふきつけ」と「おおまさかり」がこわくて、おたからを見つけたティファニーちゃんの表情にほっとする。結末の意味はわからなくても、いいおわりなんだということは、なんとなくわかっていた。
あとは、なんといっても、おかあさんのつくりばなし。
私とけんたは仰向けになって、豆電球のあかりと天井の板目を眺めながら、おはなしをきいた。おはなしには、私とけんたが登場するのだ。荒唐無稽なおはなしに、私とけんたはげらげら笑った。私たちがあんまり笑うものだから、おかあさんが、
「しーっ! もうおそいから静かに」
と言う。ランプのかさからもれるあかりが、私たちが笑ってゆれる影を、ふすまに映していた。そのうち、おはなしをしているおかあさんも、笑ってしまうのだった。
おかあさんが「おしまい」と言うけれど、私とけんたが「もっと!」とせがむ。すると、おかあさんは、また少し先を続けてくれる。
そして、
「ほんとにおしまい。ねるよ」
と言われて、満足して目をとじる。
「おやすみ」
それからほどなくして、私たちは眠りにつくのだった。
2022年2月1日 改訂




