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#10 絶望の男と光の魔導士

 ところで、先日のあの飛び降り騒ぎを起こしたのは、なんと我が艦の乗員だった。

 やつの名はレオポルト。この艦の通信士で、階級は少尉。なんでも、遠征艦隊にはいぞくされてこの星に派遣され、先の見えない暮らしに嫌気がさして死のうと思ったらしい。


「はぁ……あのまま死なせてくれていれば、いっそ楽だったろうに」

「何を言うておるのじゃ!こんな美味いものを食べられて、面白いものを見られて、拘束されとるわけでもないと言うのに!」

「ここだって、拘束されているようなものですよ!いつまでも駆逐艦に乗り続けて、ただただ毎日を単調に過ごすことの辛さ、あなたには分かるのか!?」

「私ら魔導士は、手に鎖をはめられて、味気のない食べ物を食べて暮らしておった。戦争が始まれば、いやが上にも敵を殺さねばならない。そんな暮らしから見れば、ここは天国だぞ」

「ええ~っ!?そんなにひどい暮らしをしていたの!?てっきりセシリオ少尉といちゃついて幸せを満喫していたのかと思っていたけど」

「まあ、今は幸せじゃな。美味しいものを食べられて、身体も自由だ。セシリオ殿も良くしてくれる」

「はぁ……うらやましい……それに比べて俺は……」


 どうもこやつ、考えが後ろ向きすぎる。同じような境遇の者はこの船だけでも幾人もおるというのに、なんじゃこの男は。

 ところで、そんな時にまたヴィレンツェ軍が動いたという報が入る。早速、陸戦隊が出動する。

 今回はルーカ軍曹も人型重機で出動することになった。見送るミレーユ。


「気をつけてね、ルーカさん」

「大丈夫だ、ミレーユ。無事帰ったら、一緒に……」


 妙にいい雰囲気だな、この会話。私も真似てみた。


「気をつけるのだぞ、セシリオ殿!」

「楽勝だよ。さ、シェリル、後ろに乗った乗った」


 そうか、私は同乗することになってるんだった。ミレーユのように見送る立場ではなかった。

 にしても、もう少し返す言葉があるんじゃないのか?セシリオ殿は私をなんだと思っているのだろうか。

 ちょっと不満げに後ろに乗り込む私。そのセシリオ殿が、無線機に向かって叫ぶ。


「1番格納庫解放!1番、6番重機、共に発進する!」


 新たに加わったルーカ軍曹の6番重機と共に発進するセシリオ殿操縦の重機。高度500メートルの駆逐艦から飛び出す。

 徐々に降下する2体の重機。真下には、またしてもカターリア王国に侵攻するヴィレンツェ王国軍。今度の数は9000、場所は、平原のど真ん中だ。

 相変わらず長槍兵と騎馬隊を前面に出している。前回と同じ作戦のようだ。ということは、目眩ましをするつもりか?

 となると、出てくる魔導士は、1人しかいない。

 すでに、下の兵はその備えに入っている。しゃがみこみ、盾の裏に隠れている。まずい、くるぞ。


「セシリオ殿!『光』の魔導がくるぞ!」

「えっ!?光?」


 そう私が言った直後のことだ。

 突然、眩い光の塊が、上空に現れた。

 そう、この魔導は光の魔導士、ドーリスが放ったものだ。

 強い光で辺り一面、真っ白になり、相手の目を眩ませる。「闇」とは逆の魔導だ。

 降下中の人型重機の目が眩んだら、大変なことになる。地面が分からなくなり、激突するかもしれない。

 ……という心配は、まったく無用だった。

 重機のハッチを覆うガラスが黒くなり、その光を弱めてしまった。

 光の塊は見えるが、太陽よりちょっと暗い程度の明るさになっていた。地上の様子もはっきり見える。これなら、まったく目が眩むことはない。

 ああ、そういえばこの間セシリオ殿に聞いたことがある。

 宇宙空間での太陽は、地上で見るより何倍も明るい。大気がないため、光を遮るものがなく、とても眩しくなってしまうそうだ。

 だが、その太陽を直視しないための仕掛けが哨戒機や重機、それに駆逐艦の窓にも備わっているという。

 ある一定以上の明るい光が差し込んだら、眩しい光の部分に自動的に窓ガラスの中に封じられた「液晶」というものを使ってガラス自体を黒くして、その光を減じることができるという。

 これによって、宇宙空間でも太陽の眩しさを回避できる。その仕組みが、この光の魔導にも働いた。おかげで、なんの影響もなく地上に降り立つ。

 光がおさまる。だが、何事もなかったかのように陣形を整える我々重機隊を見て、彼らは動揺している。

 もう一度、光の魔導が放たれる。が、結果は同じだ。我々には、なんの影響もない。


「シェリル、魔導士の居場所は分かるか?」

「あそこだ。光の塊の真下辺り。手を広げている者が見えるか!?」

「視認した!じゃあ、あの魔導士を奪いに行く!走るぞ!」


 ガシンガシンと音を立てて、この重機は走る。前衛の長槍隊と騎馬隊の上をジャンプして、その魔導士の前に降りる。

 着地の衝撃で、その光の魔導士、ドーリスが倒れる。その次の瞬間、光は消える。

 その倒れたドーリスを、重機の手が掴む。そして、指揮官から奪い取るように、彼女を引き剥がすように持ち上げた。

 今回は強引だな。ハッチを開けて、ドーリスを中に放り込むように収容する。あっさりと魔導士を奪われて、呆然と立ち尽くす指揮官。


「えっ!?なにここ!?私、化け物に食べられた!?」


 混乱するドーリスを、私は抱きしめる。


「あれ!?シェリルじゃない!なぜ、ここに!?」

「お前を、助けに来た!」

「えっ、助けるって……どういうこと!?」


 その間に、セシリオ殿は拡声器で呼びかける。


『魔導士は奪った。お前達に勝ち目はない。前回と同じ悲劇を、ここで繰り返すか?それとも、もっと悲惨なものを見せてやろうか?』


 などと言いながら、右腕を向こうの丘に向ける。そして、あのビームを放った。

 猛烈な勢いで爆発するその丘。それを見た指揮官は、血相を変える。

 だが、逃げ出そうとする兵士達に、後ろから檄を飛ばす者がいる。


「何を恐れるか!こやつらは王国の敵!怯むな!囲い込み、槍で撃退せよ!」


 服装からすると、あれは王族のようだ。毎度撤退を繰り返す軍に苛立ち、とうとう王族を派遣してきたようだ。

 ぐるりと槍兵に囲まれる重機。一斉に槍兵が突く。だが、あのバリアとかいうやつが、一本残らず槍の先を焼き尽くす。

 何度攻撃しても同じだ。半分ほどの長さになったその槍を、重機が掴み上げ奪い、その槍を放り投げる。

 セシリオ殿は、その槍兵らを押しのけるように威圧しながら歩き、その王族の前に立つ。

 怯むなといった手前、逃げるわけにもいかないその王族の前で、ハッチを開くセシリオ殿。


「貴様、こんなカラクリに頼るとは、卑怯だぞ!」


 小国相手に9000もの兵を率いて、しかも魔導士まで連れて来るやつも大概卑怯だと思うが、そういう自覚はないらしい。そんな王族に向かって、セシリオ殿は1発、銃を放つ。

 バンッという音とともに、やつの足元に着弾する。地面には、こぶし大の穴が開いた。


「我々の目的は、あなた方の殺傷ではない。おとなしくここは兵を引いてくれれば何もしないと約束する。だが、兵を引かせるつもりがなければ、指揮官であるあなたを殺さねばならない。次はこの銃を、あなたの頭に当てる。すぐに選択してもらいたい!引くか、殺されるか!?」


 それを聞いた瞬間、その王族は叫ぶ。


「ひ、引けーっ!」


 一目散に逃げ出すその王族、それについていく指揮官、そして兵士達。

 あっという間に、その場から兵はいなくなった。後には6体の重機と、そしてドーリスが残った。

 首輪がついたままのドーリス。何が起きたのか、理解が追いついていないようだ。


「あれ……私ってもしかして、敵に捕まった!?」


 私は、応えた。


「いいや、助かったのじゃ」


 キョトンとした顔で私を見るドーリス。私は、にっこりと笑いかける。それを見て、ドーリスも笑う。


「そうだね、笑みを浮かべたことがほとんどなかったシェリルがこんなに笑うんだもん!きっと、これはいいことなんだよね!」


 彼女は楽観的だ。あの塀の中でも、笑顔を絶やさない。いつかいいことがある、そう言いながら毎日を過ごしていた。

 そんな彼女に、ようやくいいことが訪れた。私はそう思っている。

 だから、思わず笑みを浮かべてしまった。


「1番重機より2810号艦!撤退を確認、これより帰投する!」

「了解!こちらでも撤退を確認した!1番と6番、直ちに帰投せよ!


 セシリオ殿の重機が浮かび上がる。それを見て驚くドーリス。


「わっ!なにこれ!?さっきからずっと気になってるんだけど、どうやって飛んでるの!?」

「さあ、私にも分からない。じゃが!これは魔導ではないらしい」

「そ、そうなの!?魔導じゃないのに、空を飛べるんだ!それって、すごくない?」


 普通なら怖がるところだが、彼女は面白くて仕方がないようだ。

 艦内に戻ると、早速ドーリスの首輪を切ってもらう。自由になったドーリス。その格納庫に、ミレーユが現れる。


「ルーカさん、おかえり!早速、部屋へ……って、あれ、ドーリスじゃないの!?」


 久しぶりの再会で、思わず抱き合う2人。明るい性格のミレーユに楽観娘なドーリスは、当然仲が良かった。


「これで、王国から4人が集まったね!」

「てことは、ナタリーもいるの!?」

「いるよ!あと、カターリア王国からきたセイラって言う魔導士もいるんだ!」

「なんだ、みんなここにいたんだ!うわぁ!会えて嬉しい!」


 まだ手首や首に擦り傷が残る痛々しいドーリスだが、そんな痛みなど忘れて喜んでいる。


「そういえば、ミレーユはなんでここにきたんじゃ!?」

「ああ、シェリル、私ね、これからルーカさんの部屋に……」


 と言いかけて、急に黙り込むミレーユ。


「じゃ、じゃあね!シェリル!ルーカさん、行こう!」

「あ、おい!」


 私に何か言いかけたまま、ルーカ軍曹の腕を引いて、そのまま出て行ってしまった。何を言おうとしてたんだ?気になる。


「なんじゃ、ミレーユめ」

「まあ、あれだ、大人の事情ってやつだろう。そっとしておいてやれ」


 ポンと私の頭を叩いて諭すセシリオ殿。なんじゃ、大人の事情とは?


「さて、我々は食事の時間だ。ドーリスさんだが……どうするかな。一緒に行くかい?」

「はい!私も何か、食べたいです!もうお腹空いちゃって!」


 魔導を使った後でもあるしな。腹も減ったことだろう。3人で、食堂に向かう。

 通路を歩いてエレベーターの方に向かっていると、ちょうど艦橋の方から暗い顔をして歩いてくる人物と出会う。


「あぁ~……やっと仕事、終わった……」


 なんだこの男、よく見るとレオポルト少尉だ。何を暗い顔して歩いているのか?


「どうしたのじゃ、レオポルト殿!」

「うわぁ!って、シェリルさんにセシリオか。あれ……?となりの人は、誰!?」


 ニコニコとしているドーリスを見て、けげんそうな顔で見るレオポルト少尉。


「あ、私、魔導士のドーリスって言います!よろしくです!」

「魔導士?あの、さっきの戦いで保護されたって言う……」

「そうなんです!この人達に捕まって、首輪取られて、食べ物をくれると言うので、ついて行くんですよ!」


 ついさっきまで戦っていた相手とは思えないほど明るい振る舞いの彼女に、この死にかけた士官は戸惑っている。

 と、突然、セシリオ殿が言い出す。


「よし!レオポルト!彼女のことは任せた!」

「は?」

「どうせお前も、今から飯だろ!?」

「ええ~っ!?そ、そうだけどさ」

「私にはシェリルがいるからな。お前、今は非番なんだろう?だったら、ちょうどいい。彼女に付き合ってやれ」

「いや、おい!ちょっと待て!」

「あなたが私を連れて行ってくれるんですか?嬉しいです!よろしくお願いします!」

「そうだ、ついでに艦内の案内もしてやれ」

「ええ~っ!?セシリオ少尉!なんで勝手に……」

「ここの中まで案内していただけるんですか!?私、嬉しいです!よろしくお願いします!」


 戸惑うレオポルト少尉、能天気に喜ぶドーリス。結局、4人で食堂まで行くことになる。

 メニュー画面に狂喜乱舞するドーリス。これが食べ物の写真で、見たことのないたくさんの料理が選べることに感激している。

 で、グラタンを選んでいたが、あっつあつのグラタンを歓喜しながら食べるドーリス。


「ん~んまいでふ~!ふ~っ!ふ~っ!あつあつ……」


 初めての場所だというのに、何の疑いもなく喜ぶ彼女を見て、レオポルト少尉も少し興味を持ち始めたようだ。


「そんなに美味いか?ただのグラタンだぞ!?」

「美味いです!もう、最高です!生きててよかった~って思えるほどの味です~!これ!」

「いや、ちょっとそれは大袈裟じゃあ……」

「ここの食べ物、本当に美味しそうなものばかりですね!レオポルトさんのそのお肉も、美味しそうです!」

「そ、そう?気になるのか?じゃあ、ちょっとあげるよ」

「ええーっ!?く、くれるんですか!?やったぁ!嬉しいです!」


 ついこの間、死んだ方がマシだと言っていた人間が、急にグラタンやお肉ごときで大喜びする娘を相手にすることになった。レオポルト少尉は戸惑いながらも、なんだかちょっと面白くなってきたようだ。


「じゃあ、食事終わったら、この艦内を一通り案内するよ。で、シェリルさん、お風呂だけはお願いしますね」

「分かった。じゃあ、ドーリス、また後で」

「じゃあね、シェリル!また後で!」


 先に食事を終えた我々は、元気に手を振るドーリスに見送られて食堂を出る。


「どうだろうな、あの2人」


 セシリオ殿が私に話す。


「案外、上手くやれるんじゃないだろうか。ドーリスはあの通り、楽観的じゃからな」

「そ、そうか。そう思うか……」


 ドーリスのはなしをするセシリオ殿だが、なんだかちょっと、様子が変だ。

 そんなセシリオ殿が、私にこんなことを言い出す。


「我々は、どうだろうな?」

「何がだ?」

「いや、上手くやれてるんかなぁって、思ってさ」

「上手くやれておるだろう。そなたの重機に乗り、もうすでに3人の魔導士を助け出したのだぞ?」

「いやあ、そういうのじゃなくて……なんというかさ」


 なんだか煮え切らない物言いのセシリオ殿。どうしたというのだろうか?

 だが、何となく私は察する。私はセシリオ殿に言う。


「そなたの部屋へ行こう!」

「は?」

「なんじゃ、すでに一度、行っておるではないか。まだ何か、隠し事があるのか?」

「いや、あの抱き枕以外にはないけど……」

「ならば行くぞ!いざ、セシリオ殿の部屋へ!」

「あ、ちょ、ちょっと!シェリル!?」


 部屋につき、鍵を開けるセシリオ殿。その中にずかずかと入る。


「前から気になっていたのだが、要するにそなた、私の交わりたいのではないのか!?」

「ま、交わる……!?」

「なんじゃ、ここではそういう行為を、どう言うのだ!?」

「いや、なんていうか……そんなことよりシェリルさん?なぜ急に……」

「ミレーユといい、さっきのドーリスといい、そなたは相手のことばかり気にしておったではないか」

「まあ、それはせっかく自由になれた魔導士として、上手くやれているのかなぁって思ってさ」

「私だってその自由になれた魔導士の1人だ!私のことは、どうでも良いのか!?」

「いや、そんなことはないですよ!ただですね、交わるとか、そういうものは、互いに許し合った者同士がすることであって……」

「そんなことはないぞ。少なくとも、魔導士はな」

「えっ!?ど、どういうこと?」

「魔導士は、ある年齢になると、王族や貴族、または屈強な騎士の相手をさせられるんじゃよ」

「ええーっ!?な、なんでそんなことを!?」

「簡単じゃよ。より強力な魔導士を産ませるためじゃ。私もそうやって生まれてきた」

「じゃ、じゃあ、シェリルのお母さんって、魔導士だったの!?」

「私と同じ、火の魔導士だったらしい」

「らしいって、今どこにいるの!?」

「私を産んで、死んでしまった」

「な、なぜ……」

「魔導士は女しかなれぬ。女が生まれるまで、何度も産ませられるのだ。母は男を3人産んだ後に、私を産んだ。だが、その際に力を使いきり……」

「……死んでしまったんだ」

「ちなみに、父親は王族だったらしい。だが、誰かはわからぬ。王族にしてみれば、魔導士など、所詮は道具にしか思っておらぬからな。わざわざ名乗ることもなかったし、そもそも国が滅んでしまったから、どうなってしまったかはもはや分からぬ」

「じゃあ、シェリルもいずれは……」

「ヴィレンツェ王国の、どこかの見知らぬ王族や貴族などと交わる羽目になったであろうな」

「なんという……もはや、道具じゃないか!」

「そうじゃよ。魔導士として生まれた以上、道具として生きるほかないのじゃよ。しかしじゃ!」


 私は、セシリオ殿の腕に抱きついた。


「そなたが初めてじゃ。私を、人間としてみてくれた。だから、私はそなたの相手なら、良いと思っておる」

「シェリル……」

「ダメか?私のような世間知らずで貧相な娘では、そなたの相手にはならぬか?」

「そんなことはないよ」


 今度は、シェリル殿が私を抱きしめてきた。


「気づいたら、一緒に戦って、一緒に楽しんで、一緒にいることが当たり前になってきたけど、やっぱりどこか、私は君に遠慮していたのかな」

「そうじゃぞ。こんな強力な魔導を持った女なぞ、早々おらぬぞ?遠慮などしていたら、もったいない」

「いや、力の強さは、関係ないって」


 私の肩を握り、私の顔をじーっとみるセシリオ殿。


「でも、本当にいいのかい?相手が、こんな優柔不断なやつで」

「そうか?別に優柔不断だとは思わぬ。セシリオ殿なら、何ら問題ない」

「そ、そう……」


 それを聞いたセシリオ殿は、私の服をゆっくりと剥がしにかかる。そして、ベッドの上で抱き合う。肌と肌が、触れ合った。

 というわけで、結局そこから先は、セシリオ殿のいう「大人の事情」な状態になった。

 しかし、こういうのは予想以上に疲れる。私は疲れ果ててそのままセシリオ殿の部屋で寝てしまい、すっかりドーレスと一緒に風呂に行く約束を、忘れてしまった。

 翌日、あの楽観主義のドーレスから、文句を言われてしまうことになる。もちろん忘れた理由を聞かれるが、どうにも応えられるわけがないだろうが。

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